カバー画像:Photo by Steve Granitz/FilmMagi
杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
マーベル・コミック超重要作だけにMCU版は焦らず凄い映画にして!
サンディエゴ・コミコンに行ってきました。(そのレポートはこちら)。どのパネル(発表)も素晴らしかったのですが、ちょっと残念だったのはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の発表で『ファンタスティック・フォー(原題)』についてのキャスト&監督のアナウンスがなかったこと。今回は本作がフェーズ6の作品になるのと公開タイミングだけの告知でした。
本作は当初、トムホ版スパイダーマンを手掛けたジョン・ワッツが監督するハズでしたが降板。従ってプロジェクトをじっくり練り直しているのかな? いずれにしてもマーベルにとって大切な作品なので焦らずすごい映画にしてほしい。
なぜ「ファンタスティック・フォー」が重要なのか? 実はこの作品をきっかけにマーベル・コミックはブレイクしたからです。コミックのデビューは1961年。宇宙線を浴びた4人の男女が超人になるというストーリー。このコミックが画期的だったのは家族ドラマ的にこの4人を描いたことでした。夫婦喧嘩があったり内輪もめしていたり。人間味あふれる、共感できるヒーローというマーベルの基礎を作った作品です。一方彼らの冒険は宇宙から秘境、ミクロ世界、異次元にまで及び、ブラックパンサー等のヒーローもここでデビューし、マーベルの世界を広げたわけです。「ファンタスティック・フォー」の成功なくしていまのマーベルはなかったと言っても過言ではありません。
今回はオリジンにならなそう! 監督候補の一人はスピルバーグ!?
なのでもっと早くMCUに登場すべきだったのですが、MCUが始まる前に映画化権を20世紀フォックス(現20世紀スタジオ)に売っていたので、MCU版とは別の20世紀版“ファンタスティック・フォー”映画が計3作作られるという状況でした。しかし20世紀フォックスがMCUを展開するディズニーに買収されたことで、晴れてMCU版が作られる条件がそろったというわけです。当然熱心なマーベル好きなら誰でもこの4人をリスペクトしていますから本当に楽しみです。
なおMCUのキーマンであるケヴィン・ファイギは、MCU版『ファンタスティック・フォー』は彼らのオリジン(誕生秘話)を描く映画にはしない的な発言をしているので、フェーズ5から6にかけてちょっとずつ彼らを紹介、映画で集結みたいなパターンかもしれません。
すでに『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)では別バースのファンタスティック・フォーのリーダーということでジョン・クラシンスキー演じるミスター・ファンタスティック/リード・リチャーズが登場しています。彼がまたこのキャラを演じるかはわかりませんが、こういう伏線はすでにちりばめられています。監督候補の一人にはスピルバーグ、主人公の一人スー役に『SUPERGIRL/スーパーガール』のメリッサ・ブノワの名もあがっていたことも!(*編集部注:監督はマット・シャックマンに決定) ブノワ好きの僕としては実現したら鼻血ものです(笑)。
スティーヴン・スピルバーグ(左)、メリッサ・ブノワ(右)がMCUに参戦!?
DCではベン・アフレックが『アクアマン』新作に登場か?
さてこの原稿を書いている時にサプライズが。『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』の出演スター、ジェイソン・モモアが突然ベン・アフレックとの2ショット写真を自身のインスタにあげました。これってベン・アフレック版のバットマンがアクアマン映画に出る、というティザー? DCはエズラ・ミラー出演の『ザ・フラッシュ(原題)』でマルチバースがリセットされ、ベン・アフレック版のバットマンではなくマイケル・キートン版のバットマンが今後活躍すると言われています。
しかし『ザ・フラッシュ』の方が『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』より後に公開されるため、アクアマン映画の時点では設定的にそのユニバースではまだベン・アフレック版のバットマンが健在ではあるのです。だからこの共演は「あり」なわけです。
DCと言えばCGアニメ映画の『DC がんばれ!スーパーペット』が公開。楽しい映画ですが本作のバットマン(オリジナル版ではキアヌ・リーヴスが声)がいい味だしてます。バットマンらしい“面倒くささ”が見事に描かれています(笑)。