“みんなが一緒にいるから、大学生感がすごく強く出ていました”（浅沼）
ーーSCREEN本誌のインタビューでテレビアニメ「四畳半神話大系」は浅沼さんにとってターニングポイントになった作品で、特別とおっしゃっていましたが…。
浅沼「脚本を上田誠さんが書かれていたから、ということももちろん大きいのでしょうが、演劇界の方にも多く観ていただいた作品で、僕が一方的に知っていた演劇界の先輩役者さんから『観たよ』『あれ、すごいね』と声をかけてもらったことは本当にうれしかったです。普段アニメに触れないような方にも届いた作品という意味では、本当に特別な作品になったと思います」
浅沼晋太郎
ーー お馴染みのメンバーが小さなことで大騒ぎするいつものドタバタ感もあり、タイムマシンも登場する“融合”ならではの物語が描かれます。
吉野「今回は言ってみれば『四畳半神話大系』のキャラクターを使って違う作品をやるという感覚です。みんなの関係性もできていて、小津役でお芝居をしているような感じです」
吉野裕行
ーー 同じキャラクターだけど「四畳半神話大系」とは違いや変化も少しある、といったところでしょうか？
浅沼「テレビシリーズのときはまるでBGMのような、右から左に駆け抜けていくみたいなナレーションだったのですが、今回は状況を説明したり、SFの解説を担う意味もあって、少しだけゆっくりになっています。自分の中にあった『四畳半神話大系』は一度捨てて、新しい『四畳半』を受け入れるイメージでしたね。僕の中に『12年前より劣ってはいけない』みたいな強迫観念に近い思いがあり、アフレコ序盤は以前よりも早く読んでしまったりして（笑）」
吉野「役者としては『あの頃より劣らないように』というのはすごく分かります。すごく分かるし、そうありたいけれど、年齢も重ねているし、感性だって変わるからできることとできないことは正直あります。何より『四畳半神話大系』はレギュラーでやっていたからこそ出せるリズムやテンポ、グルーヴ感のあるお芝居になるわけで。今回はこれで1本の作品として見せるわけだから、もう別物。作品にあわせたアプローチをするのがいいと思って臨みました」
浅沼「テレビシリーズでは、回ごとに出会い方も立場も役職も違っていて、小津の神出鬼没のモンスター感がすごく強かったけれど、今回は以前より人間味が増してとてもチャーミングに見えました。自分の周りにもいそうな親しみやすさが前面に出ている感じがしましたね」
吉野「小津は相変わらず迷惑かけているキャラクターだけど、僕からすると『そんなに迷惑かけてるかな？』という程度（笑）。小津ばっかりモンスターみたいに言われるけれど、なんなら樋口師匠だって結構迷惑なタイプだよね？」
浅沼「嫌なやつで言ったら、相島先輩もいるし…」
吉野「今回はみんなでひと夏の思い出を共有できる物語。テレビシリーズでもみんな少しずつ関わってはいるけれど、一堂に会してべったり行動していなかったので、今回は『そんなに悪い間柄でもないよね』という発見がありました。小津もちょっとめんどくさいヤツだなって感じるくらいじゃないかな」
浅沼「プチトラブルメーカーくらいな感じですよね」
吉野「そうそう。ちょっとした遊び心程度のいい塩梅の悪さだったと思います」
浅沼「『四畳半神話大系』では、飛行船が出てきたり、宗教が出てきたり、スケールがデカくなって『これって大学の話だよね？』と思うことがたくさんありましたが、今回はみんなが一緒にいるからか、大学生感がすごく強く出ていました」
吉野「ときどき『四畳半神話体系』のあのキャラじゃない？みたいな人も出てきたりして。大家さんとか…」
浅沼「違う役でしたね。そういうところに『四畳半神話大系』のキャラクターが『サマータイムマシン・ブルース』という物語を演じているという感覚があって…そう考えると、猫ラーメンのおやじとか、ジョニーとかも出てきて欲しかったな」
吉野「ジョニーは出てきようがない、一体化してるんだから（笑）」
