狂気を体現した『ジョーカー』(2019)でアカデミー賞主演男優賞に輝いた名優ホアキン・フェニックス。気鋭の映画会社A24が製作を手掛けた『カモン カモン』では、そんなイメージを覆す優しい顔を見せています。ホアキンの新たな一面に、きっとあなたも魅了されるはず。(文・大森さわこ/デジタル編集・スクリーン編集部)

押さえておきたい『カモン カモン』3つのチェックポイント

【ポイント1】モノクロで映し出される都市の個性、人の表情

劇中ではロサンゼルス、ニューヨーク、デトロイト、ニューオーリンズと舞台が変わるが、すべてモノクロで撮影される。各都市の異なる個性が映画に変化をもたらし、街での人物の表情が印象に残る。

マイク・ミルズ監督は日常のヒトコマを写し取った作品だからこそ、あえてモノクロにこだわったという。そうすることで現実とは違う映画的な空間が生まれるからだ。『ペーパームーン』(1973)や『都会のアリス』(1974)等も意識して作り上げたという深みのある映像が美しい。

【ポイント2】監督はA24と2度目のタッグとなるマイク・ミルズ

画像: 【ポイント2】監督はA24と2度目のタッグとなるマイク・ミルズ

『ムーンライト』(2016)や『ミッドサマー』(2019)などで知られる映画会社、A24は意欲的な作品作りを見せるインディペンデント系の映画会社。監督のマイク・ミルズは前作『20センチュリー・ウーマン』(2016)でもA24と組み、高い評価を受けた。

アネット・ベニング、エル・ファニングが出演の前作は母と息子との絆に焦点を当てていたが、今回は叔父と甥っ子の関係を描く。ミルズは家族の問題をユニークな視点で見つめ、俳優を大事にする監督として定評がある。

【ポイント3】クラシックからUKロックまで。通好みの選曲

画像: 【ポイント3】クラシックからUKロックまで。通好みの選曲

映画全体の音楽を担当したのはアメリカのインディーロック・バンド、ザ・ナショナルのメンバーでもあるアーロンとブライスのデスナー兄弟。クラシック音楽はモーツァルトの「レクイエム」やドビュッシーの「月の光」など有名曲が登場。

舞台がニューヨークに移ると、この街の伝説のロッカー、ルー・リード率いるザ・プリミティヴズの曲が流れ、海辺の場面ではエチオピアの修道女でもあったピアニスト、エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーなど通好みの選曲。

『カモン カモン』
2022年11月2日(水)発売
Blu-ray:6,600円(税込) DVD:4,290円(税込)

ホアキンの優しさにあふれた『カモン カモン』。この度発売となるBlu-ray版の特典にはそんな本作についてマイク・ミルズ監督自らによる音声解説のほか、監督やキャストが製作の舞台裏を明かすメイキング映像も収録。温かさに溢れた現場であったことがしみじみと伝わってくる。

画像: Blu-rayにはポストカードが付属

Blu-rayにはポストカードが付属

<Blu-ray特典>
封入特典:ポストカード(3枚組)、音声特典:本編オーディオコメンタリー(監督・脚本:マイク・ミルズ)、映像特典:メイキング、日本版予告集(本予告(100秒)/本予告(60秒)/ショート予告(30秒)/15秒スポット①/15秒スポット②)、オリジナル予告

DVDジャケット

<DVD特典>
映像特典:日本版予告集(本予告(100秒)/本予告(60秒)/ショート予告(30秒)/15秒スポット①/15秒スポット②)、オリジナル予告

発売元:ハピネットファントム・スタジオ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
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