A24初の本格ファンタジー『グリーン・ナイト』は、一人の青年の成長譚
「指輪物語」の作家J・R・R・トールキンが現代英語に翻訳したことで広く読まれてきた4世紀の作者不明の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」を、『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』ロウリー監督が深い愛と敬意をもって大胆に脚色し映画化した本作『グリーン・ナイト』。『ミッドサマー』『ライトハウス』のA24初の本格ファンタジーということもあって大注目の作品だ。
アーサー王の甥として恵まれた環境で怠惰な日々を送る主人公サー・ガウェインを演じるのはデヴ・パテル。まだ正式な騎士ではなく未熟でどこか頼りないガウェインが、クリスマスの残酷な“遊び事(ゲーム)”から1年後、未知の世界へと挑んでゆく姿を魅力的に演じる。そして、ガウェインの故郷の恋人エセルと彼女に瓜二つの女性を、アリシア・ヴィキャンデルが一人二役で演じている。
妖艶すぎる!『グリーン・ナイト』アリシア・ヴィキャンデル出演シーン
円卓の騎士たちが集うアーサー王の宮殿に現れた緑の騎士が持ちかけてきた恐ろしい首切りゲームに乗り、ガウェインはその首を一振りで斬り落とすが、緑の騎士は転がる首を自身の手で拾い上げ「1年後に私を捜し出し、ひざまずいて、私からの一撃を受けるのだ」と言い残して去ってゆく。
その1年後、ただの遊び事だと思っていたガウェインだったが王に諭され、キャメロット王国を離れ緑の騎士を捜す旅に出るが、過酷の旅の末ついに力尽きてしまう。今回の映像は、ある城にたどり着いて倒れてしまったガウェインに訪れる新たな展開を捉えたものだ。
ガウェインを助け看病してくれた『スター・ウォーズ』シリーズのジョエル・エドガートン演じる城の主人は、なぜか彼の名前を知っていた。驚くガウェインに主人は「名前以外にも知っている」と謎めいた言葉をかける。主人に案内され大広間に入ると、そこには妖艶なその奥方(アリシア・ヴィキャンデル)がいたが、ガウェインはその姿に目が釘付けになる。彼がキャメロットに残してきた恋人エセルと瓜二つだったのだ。
そして、主人だけではなく奥方までもがガウェインの名前だけでなくその境遇を知っていた。主人はガウェインに「国じゅうの食卓で君の噂をしているよ。世にも高潔な騎士がこの地で運命を探し求めている」と讃えるが、なぜ国じゅうの誰もがガウェインのことを知っているのか? ガウェインは緑の騎士がいるという緑の礼拝堂がこの城から近いことを知り、この城にしばらく滞在することになるが・・・。
このシーンで登場する奥方とエセルを1人2役で演じたのは、第88回アカデミー賞®にて『リリーのすべて』で助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。ロウリー監督は彼女について「この詩は両面性、隠された両面性ということがテーマでもありますが、アリシアと会った時に“彼女は一役では足りない。もっと出演させなければならない”という想いに駆られました。それで彼女のことをイメージしながら当て書きで二役で書きました」と1人2役になったエピソードを明かしている。
また、本シーンについてガウェイン役のパテルは、奥方やエセルをはじめとする劇中登場する強い女性たちに直面する中で描かれるガウェインの“男らしさ”について「ガウェインは特権を行使できる身分にいて、かなりの恩恵にあずかっていますが、この映画を通して、彼の周りにいる賢い女性たちによって謙虚になっていきます。彼が旅をしている間、彼の男らしさに対する局面は一変し、実際はただの大きな子どもであることが分かるのです」と、この脚本の鋭く現代的な解釈に共感を覚えたことを明かしている。
ヴィキャンデル演じる2人の女性がガウェインにどんな体験と影響を与えるのか。ぜひ劇場でチェックしてみてほしい。
『グリーン・ナイト』好評公開中
配給:トランスフォーマー
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