原作は、門井慶喜が大量の宮沢賢治資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、究極の家族愛を描いた、第158回 直木賞受賞の傑作。
宮沢政次郎(役所広司)は、父の代から富裕の質屋を営み、家業を支える一家の主人として、責任感と情熱はあるが、長男・賢治(菅田将暉)が生まれると、明治の男には珍しく子育てに熱心で子供にはめっぽう甘い。
宮沢賢治は、本来は長男として家業の質屋を継ぐのだが、それに反発し、学力もないのに学問の道へ進み、さらには商人家系にもかかわらず農業や宗教の道に進みたいと、親泣かせの我が道を行く。父・政次郎と長男・賢治の、人間味あふれる親バカ・ダメ息子のユーモアと苛烈な闘いの日々。宮沢家の面々は、そんな2人がお互いうまくいくように指南するなど、賢くしっかり者の妹・宮沢トシ(森七菜)、賢治可愛さで突っ走る政次郎、そして時に対立する政次郎と賢治を誰よりも深い愛で見守る賢治の母・イチ(坂井真紀)、賢治に甘い政次郎を厳しく諭す、賢治の祖父・喜助(田中泯)、自由奔放に家族を振り回す賢治に密かに憧れを持つ賢治の弟・清六(豊田裕大)たち。
この度、解禁となった特報は、暗闇を走る汽車の中で「宮沢賢治の父、政次郎でございます。」という政次郎の自己紹介から始まる。古い町並みの中、「熱く心揺さぶる笑いと涙の家族の物語が誕生する」というナレーションが流れ、「賢治、ただいま帰りました!」と純粋さ溢れる賢治の帰宅シーン、宮沢家それぞれの紹介映像と続く。「賢治の世話は私がする」と政次郎が割烹着をまとい、賢治が「じゃじゃ!?」と驚くカットが壮大な音楽とともにテンポ良く流れる。「明日から家業の修行さ励め」と父親らしく賢治に言い渡す政次郎に対し、「イヤです。」と切り返す賢治。「え!?」という政次郎の驚きもつかの間、賢治は「俺はエマーソンやベルクソン、ツルゲーネフやトルストイの本を読んで勉強しました・・・」と語り出し、「うるせぇ、うるせぇ、ああああ、うるせぇ!」と政次郎はうんざりするという、思わず笑みがこぼれてしまうような親子のやり取りが繰り広げられる。ラストは、「このバカ息子!でもラブだ!超マジだ!」という一筋縄にはいかない親子関係、宮沢家を包み込む愛、ぶつかり合いながらも支え合う家族愛が伝わってくるコピーが印象的な特報映像となっている。
日本のみならず世界中の“人の心”に生き続ける宮沢賢治。没後90年となる2023年(1896年8月27日生―1933年9月21日没)、不安定で激動の時代に、人の心に生きる力を与えてくれる珠玉の一本が誕生する。
銀河鉄道の父
2023年5月5日(金・祝)全国公開
配給:キノフィルムズ
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会