名優ショーン・ペンが、構想15年をかけて監督・主演を果たした本作。ショーンが演じるジョンの娘ジェニファーを、彼の実娘であるディラン・ペンが演じている。全米が祝福するアメリカ国旗制定記念日 “フラッグ・デイ”に生まれたジョンは、自分は生まれながらにして祝福されていると感じ、特別な存在として成功する当然の権利があると信じていた。それは彼の人生を大きく左右し、父と娘の重要な日になっていく・・・・・・。
高校を中退したジェニファーは父ジョンと久しぶりに一緒に暮らし始めるが、やがてジョンが起こしたある事件により決定的な決別のときを迎える。自分を見つめ直すことになった彼女は一度は飛び出した母親の家を訪ね、初めて対等な関係で語り合うことに。そして母親は、娘の新たな生活のために少しばかりのお金を渡すのだ。今回公開された映像は、ジャーナリストを目指すジェニファーが初めてひとり暮らしを始める様子と、人生を変えることになる進学のための面接に臨む様子を捉えたもの。
ジャーナリストを目指し大学の面接へ。そこで人生を変える一言が・・・
面接官の教授からジャーナリストになりたい理由を聞かれ、そつなく回答するジェニファー。教授は準備した模擬記事も高く評価してくれたが、「なぜ応募書類にウソを?」と切り出す。教授はジェニファーが提出した書類のウソを突き止め、ジョンが容疑者として撮られた写真を彼女に差し出すのだ。
全てを察したジェニファーは「そうです。父は銀行強盗で15年の刑に服しています。お時間のムダを…」と投げやりに立ち去ろうとする。しかし教授はそれを引き留め、「本気でジャーナリストを目指す人間なら、真実を追求する強い意欲を持たねばならない」とジェニファーに告げ、「なぜジャーナリストになりたい?」と再び問うのだ。人生の岐路とも言える問いに対して、ジェニファーは何と答えるのか――?
ジェニファーの姿にも重なる、「真実の探求者」たるディランの姿勢
父ショーンの監督作で初めて映画主演を務めることになったディラン・ペンが、初めて本作の脚本を読んだのは15歳のころ。彼女はその時のことを「まるで自分の日記を読んでいるかのようでした」と振り返っている。当時は自信がないと即座に断った彼女がこの役を引き受けるまでに15年の時間を要したというが、それまでのことを「最初はとても不安だったんです。OKする前に、おそらく10回はノーと言ったと思います」と明かす。
ディランは、結果的にこの役柄を演じるための準備に必要な時間を得ることになったが、「やがて30歳になろうとする頃に再び脚本を読んだ時は、自分が悩める10代だった頃のことを思い出すような感じで、とても懐かしい気がしました。ジェニファーがこの物語の中でそうだったように自分も成長したのだと感じ、この物語は自分自身の人生と似ていると思ったのです」と振り返る。
ディランは自身が演じることになる原作者のジェニファー・ヴォーゲルに、彼女自身と母親との関係性について度々質問をしたという。ヴォーゲルは、ディランのことを「物事の核心を追求する人物という意味で、“真実の探求者”だと思います」と評している。ヴォーゲルが評したディランの姿は、劇中彼女が見せるジェニファーの姿そのままであることにぜひ注目してほしい。
『フラッグ・デイ 父を想う日』
12月23日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ショウゲート
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