映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫る音楽ドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』(1⽉13⽇(⾦)公開)より、モリコーネの妻マリア、⼩学校の同級⽣だったセルジオ・レオーネ監督らモリコーネをめぐる<特別な⼈>たちに関してジュゼッペ・トルナーレ監督が語ったインタビューが解禁された。

妻、小学校の同級生、そして・・・トルナーレ監督が明かすモリコーネ秘話

2020年7⽉、世界は類稀なる存在を失った。エンニオ・モリコーネ、享年91歳。500作品以上の映画とTVの⾳楽を⼿掛け、アカデミー賞®に6度ノミネートされ『ヘイトフル・エイト』(15)で遂に受賞、全功績を称える名誉賞にも輝いた。そんな伝説のマエストロに、弟⼦であり友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ監督が密着、結果的に⽣前の姿を捉える最後の作品となってしまった⾳楽ドキュメンタリー映画が本作『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』だ。

映画の中で“証人”としてこそ登場はしないが、モリコーネに長年寄り添い、守り、側で⽀え続けた妻・マリアについてトルナトーレ監督は次のように語っている。

「マリアはエンニオの⼈⽣において決定的な⼈物でした。彼⼥はエンニオという天才を⾒守っていたのです。彼⼥がいたからこそエンニオは、本来なら彼の時間を占めていたであろう⽇常⽣活の些細なことに対応する義務をなくし、⾃⾝の作品と⾳楽との愛する戯れの時間をあれ程まで発展させることができたのです。要するに彼⼥は、⽇常⽣活の⼤いなる煩わしさからエンニオを守っていたのです。エンニオが割くことのできる時間は貴重でしたから、これには極めて⼤きな意義がありました」

加えてトルナーレ監督は、マリアがエンニオの⾳楽的な決断においても重要な役割を果たしていたことを明かしている。

「エンニオは⾃分の作品を取捨選択するのが得意ではなかったからです。並外れた曲を作っていながら、彼⾃⾝は<嘲笑に値する出来栄え>と⾒なしたこともしばしばありました。(そのため)⾃分では『つまらない』と思った楽曲を監督に提案してしまったり、逆に彼らが好む⾳楽を破棄してしまったり。

(そんな危険を避けるために)エンニオは⼈⽣のほとんどの間において、作曲した曲を監督に聴かせる前に、妻に聞かせていました。彼⼥が事前に選び、良いと思ったものだけを、監督にも聴かせたのです。マリアが彼に与えたのは、⼀般⼈の視点でした。うぬぼれや、⾳楽⽂化や、⾳楽業界に染められていない⼈々の視点です。こうして彼は、⼤衆が本当の意味で新鮮で純粋に消費する⾳楽を作れるようになったのです」

モリコーネを⼀躍世界的に有名にした“マカロニ・ウエスタン”。タッグを組んだセルジオ・レオーネ監督とモリコーネはなんと同じ⼩学校の同級⽣であったという。運命的かつユニークな2人の関係についてトルナーレ監督は振り返る。

「劇中に出てくる古い集合写真で、セルジオ・レオーネとエンニオ・モリコーネが通った同じ学校のクラスが映っていますが、何年も後になって、2⼈は再会しました。この2⼈の関係性は特に、映画監督と映画楽曲の作曲家という関係を遥かに超えていました。彼らの関係⾃体がひとつの物語であって、もう1本別の映画ができてもおかしくない。

彼らは時を経て再会し、切っても切り離せない存在になりました。⾯⽩おかしい掛け合いができる間柄にもかかわらず、難しい話もできる関係性だったのです。2⼈はつねに議論していて、どちらも⾃分の頑固さや主張を譲ろうとしませんでしたからね。そのおかげで、素晴らしい結果が⽣まれたのです」

初めてモリコーネと出会った時のエピソードや思い出を語ったトルナトーレ監督。⼀番多かったエピソードについても教えてくれた。

「私が取り組み始めたアイディアを彼に会って話すと、遅くとも2⽇以内に電話を折り返してきて『翌朝8時過ぎに家に来い』と⾔うんです。彼がこう⾔ってくるのは、つまりアイディアが浮かんだという時です。その後は、2⼈でその曲について話し合うのです。

30年以上⼀緒に仕事をする中で、彼は私に多くのことを教えてくれました。時が経つにつれ、私はより主体的になり、⾯と向かって議論することもできるようになってきました。(結果として)時に彼に良い刺激を与えるようになったため、互いにとって実りの多い関係でした。当然、私にとっての恩恵のほうが多かったわけですが(笑)。

私は、⼀度か⼆度顔を合わせて私が気に⼊ったテーマをいくつか選び、後⽇録⾳スタジオでまた顔を合わせるーといった⽅法は取りませんでした。私たちは幾度も会って、修正に修正を重ねました。時にはテーマ曲を録⾳した後でさえも。編集が終わったあとでも、最後にもう⼀度顔を合わせていました。そうするのは、完成した映画がさらなる探求、⾳楽の挿⼊においてさらなる変貌を引き出してくれるからです。完成後、更に彼は楽曲に⼿を加え、私は楽曲に最⼤の効果を持たせるべく編集に⼿を加えるということもありました。とても楽しかったですよ」

本作『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』では、モリコーネ⾃らが⾃⾝の半⽣を回想し、かつては映画⾳楽の芸術的地位が低かったため、幾度もやめようとしたという衝撃の事実の告⽩、そして、いかにして誇りを⼿にしたかが、数多の傑作の名場⾯とワールドコンサートツアーの演奏と共に紐解かれていく。

画像: (左から)エンニオ・モリコーネ、ジュゼッペ・トルナーレ

(左から)エンニオ・モリコーネ、ジュゼッペ・トルナーレ

さらに、クエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、ウォン・カーウァイ、オリバー・ストーンら70⼈以上の著名⼈のインタビューによって、モリコーネの仕事術の秘密が明かされる。モリコーネのメロディを聴くだけで、あの⽇、あの映画に胸を⾼鳴らせ涙した瞬間が蘇る。同じ時代を生き、私たちの⼈⽣を豊かに彩ってくれたマエストロに感謝を捧げる、愛と幸福に満ちた⾳楽ドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』は本日1月13日(金)より公開。

映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』関連情報

映画『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』公開記念イベント【1月19日(⽊)開催】

今夜は恵⽐寿・ブルーノート・プレイスが、惜しまれながらも2020年に逝去した映画⾳楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネの名曲にあふれた” ラ・カーサ・デ・ムジカ(⾳楽の家)”となる。 そこでは特別に集った豪華DJが、モリコーネの名曲の数々を披露。スクリーンに映し出されるVJによる映像とともに、天才作曲家の映画⾳楽だけではない、ジャズやロック、ボサノバなどあらゆるジャンルの珠⽟のメロディが ”ラ・カーサ・デラ・ムジカ”に響きわたる。

【タイトル】ラ・カーサ・デラ・ムジカ by Rambling RECORDS featuring ENNIO MORRICONE
【⽇程】2023年1⽉19⽇(⽊)
【時間】Open 5:30pm/start DJ : 6:00pm/end DJ : 10:00pm/close : 11:00pm (L.O : 10:00pm)
【場所】恵⽐寿・ブルーノート・プレイス(東京都渋⾕区恵⽐寿4-20-4 恵⽐寿ガーデンプレイス)
※Music Selector/TBA
※詳細は公式サイトまで:https://www.bluenoteplace.jp/

オリジナル・コンピレーション盤『ENNIO MORRICONE』【1月11日(⽔)発売】

20世紀が⽣んだ最⼤の⾳楽家のひとり、エンニオ・モリコーネが⼿がけた映画⾳楽から、 バロック⾳楽を始め、ジャズ、ロック、ボサノヴァまで、ほぼすべての⾳楽スタイルを 網羅した⽇本独⾃のコンピレーションが登場!! 本盤には、ドキュメンタリー映画にも使⽤された『荒野の⽤⼼棒』『死刑台のメロディ』 『殺⼈捜査』『ある⼣⾷のテーブル』『歓びの毒⽛』なども収録した2枚組ベスト盤。

【タイトル】ENNIO MORRICONE
【発売予定⽇】2023 年1 ⽉11 ⽇(⽔)
フォーマット:CD(2 枚組) 価格:3,080 円(税込)
発売元:ランプリング・レコーズ

書籍『エンニオ・モリコーネ 映画⾳楽術』【発売中】

「映画⾳楽の⼤家」が、盟友でもある巨匠トルナトーレ監督(『ニュー・シネマ・パラダイス』)を聞き⼿に迎え、⼈々の記憶に残る“モリコーネ・サウンド”の創作秘話を語り尽くす。『荒野の⽤⼼棒』から『ヘイトフル・エイト』まで..傑作群を彩った名旋律はいかにして⽣み出されたのか?幻のモリコーネ版『天地創造』『時計じかけのオレンジ』、そして『エンドレス・ラブ』と『ワンス・アポン・ア・ タイム・イン・アメリカ』をつなぐ知られざるエピソードなども織り交ぜながら、その創作秘話とテクニックを 「マエストロ」⾃⾝が明らかに。

『エンニオ・モリコーネ 映画音楽術 マエストロ創作の秘密――ジュゼッペ・トルナトーレとの対話』
エンニオ・モリコーネ+ジュゼッペ・トルナトーレ[著] 真壁邦夫[訳]
予価(本体3,000 円+税) /432 ページ/2022 年11 月30 日発売

『モリコーネ 映画が恋した⾳楽家』
1月13日(金)TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras

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