『赦し』は娘を殺された元夫婦と、犯行時に未成年だった加害者の女性という、癒しようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を見すえ、魂の救済、赦しという深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作(3/18(土)よりユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開)。
愛する者の「命」を奪われた親の深い喪失感、そして奪った加害者の少女が抱く後悔と痛み。監督は加害者の少女だけではなく「被害者遺族も精神的な牢獄に閉じ込められている」と話す。重厚でリアリスティックな語り口で本格的な裁判劇でもある映画『赦し』。法廷における裁判官、弁護士、検察官、証人のやりとりを臨場感たっぷりに描出し、スリリングな展開と、登場人物たちが抱く不安、迷い、痛みをシンクロさせた濃密な映像世界から目が離せない。
『赦し』に加え、ます紹介したいのが2月10日より公開中の『対峙』。高校銃乱射事件で共に息子を失った家族、被害者両親と加害者両親の対話が胸をえぐり、魂を震わせる衝撃作。不寛容やリアルな⼈間関係の希薄さが問題視される現代社会で、〈被害者と加害者の対話〉という極めて重くセンシティブなテーマを圧倒的な臨場感とスリルで描き切っている。ほぼ全編、密室4⼈の会話だけで進⾏するにもかかわらず、どんなスリラーにも勝る緊迫感に満ちた脚本と、俳優陣が⽣み出す臨場感によって、本作は英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部⾨でノミネート、釜⼭国際映画祭フラッシュフォワード部⾨観客賞をはじめ43映画賞を受賞。映画批評サイトRotten Tomatoesでは、批評家 95%・観客 90%を叩き出し、今観るべき1本と言える。
3作品目は、42人もの人間を殺した“殺人犯VS検事”の運命の激突を描く3月24日公開の『ロストケア』。介護を巡る事件が後を絶たない高齢化社会の日本。その問題に鋭く切り込んだ葉真中顕の第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を、「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」、「そして、バトンは渡された」の前田哲監督が映画化。松山ケンイチ×長澤まさみ、初共演の二人が入魂の演技で激突する、社会派エンターテインメント。現代社会に家族の在り方と人の尊厳の意味を問いかける感動作となっている。
赦し
3月18日(土)より、ユーロスペース, アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:彩プロ
©2022 December Production Committee. All rights reserved