“ファクトリー”で受付や電話番をするアンドレ
大物ばかりが訪れるそこでの仕事は、貴重な体験の連続で……
昨年1月18日に73歳で他界した、ファッション界の巨匠と呼ばれたアンドレ・レオン・タリー。『プラダを着た悪魔』でスタンリー・トゥッチ演じるナイジェルのモデルとされ、白人の占める割合の多いファッション業界において、黒人モデルや非白人デザイナーたちの進出に積極的に貢献。彼の死に際してはミシェル・オバマをはじめ、ビヨンセ、ゼンデイヤ、マライア・キャリーなど各界の著名人が弔意を表した。
人種差別が色濃く残る時代のアメリカ南部で幼少期を過ごしたアフリカ系アメリカ人の彼が、如何に最も影響力のあるファッション・キュレーターにまでのし上がったのか。彼の人生と彼が残した数々の功績をマーク・ジェイコブス、アナ・ウィンター、トム・フォードなどファッション界を代表する人物たちのインタビューと共に振り返るのが本作『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』だ。
今回、公開されたのはアンドレ自身が“雑用係“だった頃を回顧する映像。アンディ・ウォーホルのアトリエ兼サロン”ファクトリー”の裏側について語っている。
車中でアンドレが思い返すのは、1974年の年末のこと。ファッションの祭典・メットガラでダイアナ・ヴリーランドに「年明け早々にチャンスがある」と伝えられたアンドレは、その年のクリスマスに初めて帰省をせず、祖母の怒りに触れた思い出を笑い混じりに語る。
そうして得た仕事とは、インタビュー誌の雑用係。映像にはアンディ・ウォーホルのアトリエ兼サロンである”ファクトリー”で受付や電話番をしているアンドレの姿が収められている。ヴリーランドがランチをしに現れたり、モナコ公女やマイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロスなどの大物たちがポラロイド撮影のためにファクトリーを訪れる貴重な日々の連続。
様々な経験を通して、ファッション界のレジェンドとなったアンドレの仕事への熱意が画面越しにも感じられ、彼の歩んできた人生が一層気になる映像となっている。
『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』
3月17日(金) Bunkamura ル・シネマ にて公開
監督:ケイト・ノヴァック
製作:アンドリュー・ロッシ(『メットガラ ドレスをまとった美術館』監督)
出演:アンドレ・レオン・タリー/アナ・ウィンター/トム・フォード/マーク・ジェイコブス/イヴ・サンローラン/カール・ラガーフェルド/ノーマ・カマリ/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ/ウーピー・ゴールドバーグ/イザベラ・ロッセリーニ/ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)/ラルフ・ルッチ/サンドラ・バーンハード/マノロ・ブラニク/アンドレ・ウォーカー ほか
英題:THE GOSPEL ACCORDING TO ANDRÉ
日本語字幕:柏野文映
提供/配給:リージェンツ
2017/アメリカ/93分
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