『アド・アストラ』のジェームズ・グレイ監督最新作は、激動の1980年代ニューヨークを舞台にした半自伝的な物語。少年の成長物語を通して、当時の社会状況や現代に通じる格差問題を浮き彫りにする野心作です。アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンスら豪華キャストが集結した本作。主人公の母親役アン・ハサウェイのインタビューとともにお届けします。

多感な12歳の少年の目を通して差別と格差の不条理な現実を描く

画像: 多感な12歳の少年の目を通して差別と格差の不条理な現実を描く

『エヴァの告白』(2013)『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(2016)『アド・アストラ』(2019)など社会派作品からSFまで多彩なジャンルの映画を精力的に世に送り出す俊英監督ジェームズ・グレイ。その最新作は、監督の少年時代の実体験を元にした半自伝的な物語。

レーガン政権が誕生し、冷戦の緊張が高まる80年代ニューヨークを舞台に、多感な12歳の少年の成長と葛藤を描き、時代を取り巻く不条理な現実、光と影を浮き彫りにしていく。

『レ・ミゼラブル』(2012)のアン・ハサウェイ、『ファーザー』(2020)のアンソニー・ホプキンスという2大オスカー俳優が父娘役で共演。主人公の少年役に『悪魔はいつもそこに』(2020)で主演トム・ホランドの少年期を演じて一躍注目を浴びたバンクス・レペタ。『シカゴ7裁判』(2020)のジェレミー・ストロングらが脇を固める。『タミー・フェイの瞳』(2021)のジェシカ・チャステインがカメオ出演。

【あらすじ】2人の少年の出来心が招いた騒乱が思わぬ波紋を広げていく

1980年代、ニューヨーク。白人の中流家庭に生まれ育ったポール(バンクス・レペタ)は公立学校に通う12歳。PTA会長を務める母エスター(アン・ハサウェイ)、働き者の父アーヴィング(ジェレミー・ストロング)、優秀な兄テッドと不自由なく過ごしているが、近ごろは家族に対して苛立ちと居心地の悪さを感じる毎日。そんなポールにとって、愛情深い祖父アーロン(アンソニー・ホプキンス)は良き理解者で心強い味方だった。

想像力が豊かで芸術に興味を持つポールにとって、規律を重んじる学校生活は窮屈そのもの。そのため周囲との集団生活にうまく馴染めずにいたが、クラス一の問題児である黒人生徒ジョニー(ジェイリン・ウェッブ)とはかけがえのない友情を築く。

しかしある日、ポールとジョニーがやらかした些細な悪さが、大きな波乱を巻き起こすことに。そして不条理な現実が、2人の行く末を大きく分けることになる。

【登場人物紹介】アン・ハサウェイやアンソニーホプキンスなど、豪華キャストが集結!

画像: 【登場人物紹介】アン・ハサウェイやアンソニーホプキンスなど、豪華キャストが集結!

エスター(アン・ハサウェイ)
(画像左)

主人公ポールの母親。教育熱心で、反抗的な息子に手を焼いている。家庭科の教師であり、PTA会長も務める。

アーロン(アンソニー・ホプキンス)
(画像右)

ポールの理解者となる祖父。欧州出身のユダヤ人で亡命した過去がある。不条理な現実や善悪についてポールに説く。

アーヴィング(ジェレミー・ストロング)

画像1: アーヴィング(ジェレミー・ストロング)

ポールの父親。配管工の息子で、エンジニアとして働く。子供に愛情を持っているが、悪さをすれば容赦しない。

画像2: アーヴィング(ジェレミー・ストロング)

ポール(バンクス・レペタ)
(画像右)

本作の主人公で、監督の分身的な存在。絵を描くことが好きで、宇宙に夢中。偏食家で、兄とは喧嘩ばかり。

ジョニー(ジェイリン・ウェッブ)
(画像左)

ポールと同級生の親友。トラブルの多い問題児。アルツハイマー病の祖母のもとで暮らし、宇宙飛行士を夢見る。

【インタビュー】アン・ハサウェイ、『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』を語る

画像: アン・ハサウェイ Photo by Marc Piasecki/Getty Images for Bvlgari

アン・ハサウェイ

Photo by Marc Piasecki/Getty Images for Bvlgari

─本作への出演の経緯を教えてください。

2020年の春に脚本が手元に届きました。とても大きな優しさを感じる内容で、迷わず参加することを決めました。私は、ジェームズ(監督)のストーリーテラーとしての素晴らしい才能を知っています。だから、彼がこの奥深く私的な脚本を、感動的な映画に変えることができると確信しました。

この作品はアメリカにおける重要で歴史的なポイントを捉えたパーソナルな物語であり、私はその一部になりたいと強く思ったんです。監督からは(自伝的内容であるものの)事実に縛られず演じてほしいと言われました。

でも母親に対する彼の思いは大事にしたかったから、彼の母親について詳しくヒアリングしました。だから2人で役を作り上げました。最高の経験でしたね。

─あなたが演じたエスターはどのような人物ですか?

彼女は家庭科の教師であり、PTA会長でもあります。さらに、教育委員会の役員に立候補することを決める。地味な環境にありながら、上昇志向の強い女性です。

彼女は、自分の父や母が努力して一家を発展させていく過程を見て育ったけれど、それは決して容易なものではなかったことも知っている。つらい時期を乗り越えてきた彼女の理想主義が、希望にそぐわない現実に直面し、本当の彼女があらわになります。

─このキャラクターのどんな部分に惹かれましたか?

私は“矛盾”が大好き。そういう役に入り込むのが好きです。つまり…矛盾する側面を持ってる人に。

一歩下がって眺めてみると分かります。彼女の心の奥には家族への深い愛があると。でも1980年代には選択肢が少なかったから愛の形が複雑になります。彼女を演じるのは難しそうだと思いました。過酷な挑戦になるだろうと。そうした過程もすべて含めて、彼女に魅力を感じました。

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『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』
2023年5月12日(金)公開
アメリカ/2022/1時間55分/配給:パルコ
監督:ジェームズ・グレイ
出演:アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンス、ジェレミー・ ストロング、バンクス・レペタ、ジェイリン・ウェッブ

© 2022 Focus Features, LLC.

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