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マッツ・ミケルセン
1965年11月22日デンマーク、コペンハーゲン生まれ。体操選手を目指していたが、プロのダンサーとして活躍するように。その後映画界にも進出し、『プッシャー』(1996)で俳優デビュー。『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)の悪役で国際的に知られるようになり、『偽りなき者』(2012)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞して、その演技力を広く認められる。
さらに2013年からTVシリーズ「ハンニバル」で主人公レクター博士を演じたことから人気がますます上昇。母国デンマークなどヨーロッパ映画に出演しながら、MCU映画『ドクター・ストレンジ』(2016)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022)といったハリウッドのヒット・シリーズでも活躍している。
“ヴィランを演じる上で気をつけるのは、何か一つでも観客の心に響かせるものが必要ということだ”
観客として最も思い出深いのは第1作の『レイダース/失われたアーク』だね
──『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に出演することになった経緯を教えてください。
ある日、友人が、私がこれまで出演して来たシリーズ作品を列挙してこう言ったんだ。「唯一、実現してないのは『インディ』シリーズだ」ってね。ところが、その一週間後、電話がかかってきて「『インディ』シリーズの新作に出演しないか」と言われた。驚いたよ(笑)。
それからはスムーズだった。Zoomでのミーティングで数時間も話し合い、ストーリーについても解説してもらった。脚本を送ってもらい、すぐに気に入って「じゃあ、やろう!」となったわけさ。
──『インディ』シリーズにはどんな思い出がありますか?
これはみんな同じだと思うんだけど、何と言っても最初の『レイダース/失われたアーク〈聖櫃〉』(1981)がもっとも思い出深い。映画館で観ていて完全に圧倒されたのを憶えている。なぜなら今までに観たことのない映画だったからだ。
魅力的で物語が最高に面白く、まるでジェットコースターに乗っているようで、アクションも素晴らしかった。私と同じ世代の、映画を作りたいと思っていた大勢の人たちに影響を与えた映画だ。
──監督のジェームズ・マンゴールドとはどんなことを話しましたか。
ジェームズ(・マンゴールド)からは毎日、さまざまな助言があった。監督というのはわれわれ俳優がやっていることを常に見張る役目を負っているからさ(笑)。そういう日々だったので、具体的なことは覚えていない。
でも、ひとつだけアメリカ映画としてはチャレンジングなことをした。映画の冒頭はドイツでのエピソードで、ドイツ人同士が話している設定なんだ。普通のアメリカ映画ならば、こういうシーンの場合、最初だけドイツ語を使って、その後は英語に切り替えるんだが、私はそういうやり方が好きじゃなかった。嬉しいことにジェームズも同じ意見だったので、そのシーンは全部ドイツ語で通すことになったんだ。
でも、私はすぐに後悔してしまった。なぜなら、私はドイツ語を話せないからだ。結局、必死で覚えるしかなかったよ(笑)。
デンマークの映画では朝、30人に挨拶するけど、ハリウッドでは500人に挨拶しなくちゃいけない!
──フォラーを演じる上で気を付けたことは?
フォラーを語る上でのキーワードは“科学への愛”や“歴史愛”になると思う。それが彼の情熱の原動力だった。つまり、科学がいかに魅力的であり得るのか、だ。フォラーのイデオロギーよりも、その部分をより強調して演じたつもりだ。そういう部分では考古学や歴史に生涯を捧げたインディ・ジョーンズと共通している。ふたりとも同じような情熱を持っているが、目的が違うんだよ。
──そのインディ役のハリソンとはどんな話を?
たくさんのことを話したよ。映画は待ち時間が多いから、その間、ずっと喋っていたこともあった。具体的に何を喋ったかは憶えていないが、ハリソンは一緒にいて楽しい人だ。プロ意識が強く、仕事を愛していて、仕事以外の人生もとても大切にしている。そういうところが興味深いと思ったよ。
──撮影方法で驚かれたことはありましたか?
昨今はデジタルで処理できることを多くの人が知っている。しかし、本作のような本物志向の映画では今でもセットを建設するものだ。ドアを開ければ、そこは洞窟の中。洞窟の一部を建設し、残りはグリーンスクリーンでやるのではない、そのシーンのために洞窟全部を作るというわけだ。
もちろん、本作にもグリーンスクリーンを使ったシーンはある。でも、その少なさにはきっと驚くだろう。素晴らしいセットやリアルなロケ地に足を踏み入れ、職人芸を目の当たりにするというのは、いつでも圧倒されるものだよ。
──ハリウッドの大作に出演することが多くなりました。役者として、デンマークやヨーロッパの映画に出演するときと違いを感じますか?
一番の違いは映画のスケールだね。デンマークでは朝の挨拶を30人にすればいいけど、今回の『インディ』の場合だと500人に挨拶しなきゃいけない。ただし、一度撮影が始まってしまえば、やっていることは同じ。そのシーンに入り込んで、親密なものにする。そのためには周りのことを忘れる必要がある。映画の規模はまるで違うからといって、演技する上では差はないんだよ。
──ヴィランを演じることが多いですが、心掛けていることがあれば教えてください。
誰を演じる上でも重要なのは、そのキャラクターの思考プロセスを理解することだと思う。彼にとっては美しくても、ほかの人にとってはおぞましい。それを理解する必要がある。そしてヴィランをより魅力的に見せるためには、何かひとつでも観客の心に響くものが必要だと考えている。解釈が間違っていたとしても一理あると思わせる、それを心掛けているんだ。
──シリーズは本作で終わりだと言われています。それは意識していましたか?
意識していた。そう言われていたからね。でも、どうだろう‥‥ハリソン・フォードだから、“絶対”はないと思う。
──ということは、終わらない?
どうだろう? わからないな、やっぱり(笑)。
『インディ・ジョーンズと 運命のダイヤル』いよいよ公開!
1969年、考古学者にして冒険家のインディ・ジョーンズもついに引退の時を迎えたが、そこに現れたのは旧友の娘ヘレナ。彼女の口から出たのはインディが全人生をかけて追いかけてきた究極の秘宝「運命のダイヤル」! ヘレナと共にインディは謎に満ちたこの秘宝を追うことになるが、彼の前には因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラーが待ち構えていた……。
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『インディ・ジョーンズと 運命のダイヤル』
2023年6月30日(金)公開
監督: ジェームズ・マンゴールド
出演: ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、マッツ・ミケルセン
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
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