誰もが耳を疑った衝撃の死から20年、人気絶頂の中、急死した伝説のスター、レスリー・チャンの魅力が、いま再び話題を呼んでいます。特に代表作ともいわれる名作『さらば、わが愛/覇王別姫』が製作30年を記念して4Kで再公開が決定。レスリーの迫真の演技に心を奪われるこの夏、不死鳥のような彼の足跡を今一度振り返ってみましょう。(文・望月美寿/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by David Lefranc / Didier Baverel/Kipa/Sygma via Getty Images

何度見ても新たな発見がある名作『さらば、わが愛/覇王別姫』

画像: 『さらば、わが愛/覇王別姫』

『さらば、わが愛/覇王別姫』

そんなレスリーの代表作『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)が公開30年を記念してリバイバル公開される。巨匠チェン・カイコー監督が、半世紀に及ぶ中国激動の歴史を背景に、京劇俳優たちの愛憎を壮大なスケールで描いた一大叙事詩。

カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルム・ドール賞を受賞。ゴールデン・グローブ賞では外国語映画賞受賞、アカデミー外国語映画賞ノミネートなど数々の国際的な賞に輝いた名作が4Kで蘇る。

レスリーが演じるのは遊郭の母親に捨てられ、京劇の養成所で育った美しい女形の程蝶衣。つらい修業時代、兄弟のように互いを支え合ってきた段小樓とともにスターになり人気演目「覇王別姫」を演じるが、小樓が娼婦の菊仙と結婚したことに深く傷つき、激動する時代の波にのみこまれていく…。

過酷な運命に翻弄されながらも、たったひとつの愛を貫こうとする蝶衣を、触れれば真紅の血が噴き出てくるような鮮烈さで演じたレスリー。

チャン・フォンイー演じる小樓を巡って燃えるような嫉妬心をたぎらせる相手は中国が生んだ大女優コン・リー。相手にとって不足はない。何度見ても新たな発見がある真の名作だ。

俳優として数多くの作品を残し、ポップスターとして時代の先端を走ったレスリー・チャン。彼が活躍した期間は中国への返還を前に香港映画がもっとも輝いていた時期でもあった。

生きていた頃から、出会ってしまったことを後悔するような、甘美でうずくような痛みを内包していたレスリーは、美しいまま私たちの手の届かないところにいってしまった。

だが今もなお、世代を超えて永遠に人々の記憶と心の中で生き続けている。こんなスターにはもう二度と会えないだろう。

『さらば、わが愛/覇王別姫 4K』

画像: 『さらば、わが愛/覇王別姫 4K』

中国激動の時代を背景にした一大映像叙事詩

第46回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞したチェン・カイコー監督作品で、半世紀に及ぶ中国激動の時代に翻弄された京劇俳優たちの愛憎を壮大なスケールと映像美で描く。

京劇俳優養成所で厳しい稽古を兄弟のように支えあい耐えてきた2人の少年たちは、やがて人気演目「覇王別姫」を演じる程蝶衣、段小樓としてスターとなった。蝶衣は秘かに小樓に思いを寄せるが、小樓は娼婦の菊仙と結婚してしまう。そして彼らは時代の容赦ない変動に飲み込まれていく……。

『さらば、わが愛/覇王別姫 4K』
2023年7月28日(金)公開
中国=香港=台湾/1993年/2時間52分/配給:KADOKAWA
監督:チェン・カイコー
出演:レスリー・チャン、コン・リー、チャン・フォンイー、グォ・ヨウ

©1993 Tomson(Hong Kong)Films Co, Ltd.

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