映画全体のテーマをもとに、クリエイターたちが物語を創造し作り上げる短編集。数本の作品の中から好きな作品を見つける楽しさはもちろん、数人の監督が集まったオムニバス作品では1本の映画の中からお気に入りのクリエイターも見つけることができる、まさに“タイパ”の時代ならではの楽しみ方もあるオムニバス映画の魅力を感じて欲しい。
『私たちの声』 9月1日(金)公開
「映画、芸術、メディアを通して女性を勇気づける」をスローガンとして掲げる非営利映画制作会社<We Do It Together>企画のもと、世界の映画界で活躍する女性監督と女優が集結し、女性が主人公の7つのショートストーリーを描いた作品。
出演者は、ジェニファー・ハドソン、カーラ・デルヴィーニュ、エヴァ・ロンゴリア、マーシャ・ゲイ・ハーデン、マルゲリータ・ブイ、ジャクリーン・フェルナンデスらが名を連ね、監督には、『トワイライト~初恋~』のキャサリン・ハードウィック、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』や『ドリーム』で知られる女優タラジ・P・ヘンソン、他にも世界の映画賞で賞を獲得している注目の女性監督たちが参加している。
日本からは、唯一無二の存在感が光る女優・杏と、『そこのみにて光輝く』が国内外で高い評価を受けた呉美保が前作『きみはいい子』以来8年ぶりにメガホンをとり、家事、育児、仕事に励み毎日忙しく過ごすシングルマザーの物語を描いている。
実際の出来事から着想を得たエピソードから、物語仕立てのフィクション、さらにはアニメーションまで、スクリーン越しに観る者へ称賛を贈るような7つの珠玉のヒューマンドラマとなっている。力強く懸命に生きる主人公たちの姿が観る者に勇気を与えるエピソードばかり。7つの物語の中から等身大の“あなたの物語”がきっと見つかるはず。
9月1日(金)、新宿ピカデリーほか全国 ロードショー
配給:ショウゲート
©2022 ILBE SpA. All Ri ghts Reserved.
『 パリ、ジュテーム 』(2006)
『アメリ』のプロデューサー、クローディ・オサールの呼びかけにより、コーエン兄弟、ガス・ヴァン・サント、トム・ティクヴァらパリを愛する世界中の名だたる映画人たちが集結し、パリ18区を舞台に18編の恋物語を描く。1話5分足らずの短編であるが、作り手たちの個性が強くにじみ出ており、短編とは思えない満足感を味わえる。日本からは諏訪敦彦監督が参加しており、ジュリエット・ビノシュとウィレム・デフォーをキャストに迎えパリ2区のヴィクトワール広場を舞台に息子を亡くした母親の悲しみと愛を描いている。
『TOKYO!』(2008)
独自の世界観を持つことで知られる、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノの3人の豪華鬼才監督たちが、思い思いの視点で見つめた東京を描く。個性豊かな海外監督が大都市・東京から得たアイディアが自由に表現され、新鮮な東京が楽しめる。加瀬亮、蒼井優など日本人キャストたちの活躍も見逃せない。第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品作品。
『もしも建物が話せたら』(2014)
第76回カンヌ国際映画祭で『PERFECT DAYS(原題)』の主演・役所広司に男優賞をもたらしたヴィム・ヴェンダース監督が製作総指揮を務め、ロバート・レッドフォードら6人の監督たちが自身の思い入れのある建築物を主人公に建物の魅力を深堀りしていくマニアックな作品。世界中の建築物自体が語り手となってその街の歴史や文化を解説していき、一般公開されていない建物の内部も見ることができる。実際に建物内を見学しているような貴重な体験が味わえる。
『七人樂隊』(2021)
世界から、ではなく香港を代表する七人のベテラン監督陣が、“フィルムの時代”へリスペクトを込め全編35mmフィルムで撮影したノスタルジー溢れる七本の短編映画。ジョニー・トー、ツイ・ハーク、サモ・ハンら長らく香港映画界を索引してきた映画人が古き良き香港に思いを馳せつつ、1950年代から未来まであらゆる時代の香港を舞台に哀愁溢れる物語を綴る。一時代を築き上げてきたベテラン達だからこそ描ける香港愛が詰まった作品。