カバー画像:Photo by Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic
美しき瞳の奥に潜むマーゴットの強さ
誰もが必ず虜になってしまう美しきマーゴットの眼力
現在のハリウッドで最も勢いがあり、影響力が強いスター俳優は誰か? もしトップ5を挙げるとしたら、誰もがこの人の名前を入れるのではないか。
2023年の夏も主演を務めた『バービー』が予想を超える大ヒットを記録。あまりに有名なおもちゃの“人形”を、人間の肉体に違和感なく変換させる。
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そんな離れ業を鮮やかに、そして軽やかになしとげたマーゴット・ロビーは、もはや向かうところ敵ナシの状態だ。このところ出演作がつねに大きな話題になるマーゴットには、明らかに追い風が吹いている。
マーゴット・ロビーの魅力は、何と言っても“眼力(めぢから)”。スクリーンに彼女の瞳が映し出されたとき、そこから喜びや悲しみ、怒りや絶望など、さまざまな感情が伝わってくる。目の表情だけで、キャラクターの隠れた思いを引き出せる、数少ない俳優の一人ではないだろうか。
その瞳に見つめられたら、誰もがマーゴットの虜になってしまう……。
初めての大役となった2013年の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。主人公ジョーダンを、元モデルである妻のナオミが子供部屋で大胆なポーズもとって誘惑するシーン。彼女の挑発的な瞳に、レオナルド・ディカプリオのジョーダンが完全にノックアウトされていくプロセスに、映画を観るわれわれも心から納得してしまった。
久々に「“大物”が現れた」という予感は、その後、現実となるのだが、マーゴット自身は『ウルフ〜』のそのシーンの前に「あまりの緊張でテキーラ2杯飲んで挑んだ」と告白。そんな裏話を聞くと、不敵な演技の裏の初々しさのギャップにさらに心がときめく、というもの。
自分の個性に寄せて演じきった強烈なインパクトを残すキャラクター達
『ウルフ〜』のナオミ役をはじめとして、マーゴットの代表作を振り返ると、実在の人物、あるいは実在の事件をモデルにした役どころが非常に多いことがよくわかる。そしてそのほとんどが、良くも悪くも強烈なインパクトを放つキャラクター。
フィギュアスケートの黒歴史を作った『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)のトーニャ・ハーディング、実際の歴史では悲劇の最期をとげた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)のシャロン・テート、王室での確執に苛まれる『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018)のエリザベス1世……と、マーゴット本人のイメージに近い人物、決してそうではない人物と、20代でここまで“有名人”を自分の個性に引き寄せて演じきった、その度胸と実力には恐れ入るばかり。
中でもアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたハーディング役は、邪悪さの中の素直さ、母親への複雑な感情で繊細な演技もこなし、本人と演じる側のボーダーを超える奇跡を生み出した。
一方で『スキャンダル』(2019)『アムステルダム』(2022)『バビロン』(2022)など、モデルとされる人物がいながら自由に表現できる役では、明らかにマーゴットは自身の魅力を全面に押し出した印象。
よく考えれば、DC映画のハーレイ・クイン役も原作のモデルがあるわけだが、その元ネタを忘れさせるほどの振り切った演技を披露。ハーレイ・クインは作品を重ねるごとに、こちらの期待をいい意味で裏切り、爽快になっていくから不思議!
若くして映画を作る側を意識し24歳の時に製作会社を設立
若くしてこれだけの成功を収められた理由のひとつが、マーゴットが早くから「映画を作る側」を意識したことかも。2014年、つまり24歳の時に製作会社、ラッキーチャップ・エンタテインメントを設立。
基本的に女性にフォーカスした作品を手がけるポリシーで、『アイ,トーニャ〜』から『バービー』まで自身の出演作だけでなく、アカデミー賞脚本賞に輝いた『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2021)を送り出した。
今後はディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンを題材にした作品にも関わるようなので、マーゴットのプロデューサーとしての手腕が注目される。
ラッキーチャップを一緒に設立した夫、トム・アッカーリーとの生活も順風満帆のようで、スキャンダルがほとんど報道されないところからも、マーゴットの自覚の強さが伝わってくる。
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