『第9地区』ニール・ブロムカンプ監督が描く〝世界一過酷な夢〞への挑戦
1997年にPlayStation®用のゲームソフトとして誕生して以来、全世界でこれまでにシリーズ累計9000万本を売り上げ、レーシング・ゲームの頂点に君臨するリアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」シリーズ。
この“日本発”のゲームから生まれた奇跡の実話を映画化。「グランツーリスモ」のゲームに明け暮れていた一人の青年が、本物のプロレーサーを育成するプログラムに参加し、バーチャルの世界の“ゲーマー”から本物の“レーサー”へと成長していく。
映画の基になったのは、2008年に発足した前代未聞のプログラム“GTアカデミー”。
これは日産、プレイステーション®、ポリフォニー・デジタルによって実際に行われたドライバー発掘・育成プログラムで、世界中から選抜された「グランツーリスモ」のトッププレイヤーに、本物のプロフェッショナルレースドライバーになるチャンスが与えられた。
このプログラムに参加した青年ヤン・マーデンボローの感動の実話がベースになっている。
主人公ヤン役には『ミッドサマー』(2019)のアーチー・マデクウィ。GTアカデミーを立ち上げたダニー役に「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのオーランド・ブルーム、レーサーを育成するジャック役に『ブラック・ウィドウ』(2021)のデヴィッド・ハーバー。
メガホンを取ったのは『第9地区』(2009)『チャッピー』(2015)など大ヒットSF映画を手掛けてきたニール・ブロムカンプ監督。
撮影には本物のレーシングカーや本物のサーキットを使用するなどリアルさを追求し、FPV(一人称視点)ドローンカメラなども駆使して時速320kmという超高速のカーレースの世界を圧倒的な臨場感で描いていく。
【あらすじ】「グランツーリスモ」に夢中な青年に思いがけないチャンスが舞い込む
人気ドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中な青年ヤン(アーチー・マデクウィ)。ゲームに明け暮れる姿に「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」と父親は苦言を呈している。そんなヤンに思いがけないチャンスが訪れる。
「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを本物のプロレーサーとして育成するという夢のプロジェクト「GTアカデミー」のメンバーの一人に抜擢されたのだ。
レーシングチームに参加するチャンスをかけて、ゲームの世界ではトップの実力を誇る若者たちの熾烈なトレーニングが始まる。
「GTアカデミー」の発案者ダニー(オーランド・ブルーム)がその指導者として白羽の矢を立てたのは元レーサーのジャック(デヴィッド・ハーバー)。ジャックは「ただのゲーマーがレーサーになれるわけがない」と懐疑的だったが、彼の厳しい指導のもとでヤンは次第に才能を開花させていく。
【登場人物&キャストインタビュー】
ゲーマーからレーサーへ
ヤン・マーデンボロー(アーチー・マデクウィ)
レースゲーム「グランツーリスモ」に夢中の青年。天才的なゲームの腕を買われて本物のプロレーサーを育成する「GTアカデミー」の一員に抜擢され、夢への一歩を踏み出す。
「この物語を伝えたいと信じられないほど強く思ったんです」
─あなたが演じるヤンはどのような人物ですか?
彼が暮らす小さな町では、毎日が同じことの繰り返し。でも彼には、考えられないようなことを成し遂げたいという想いと情熱があったんです。
彼はシャイで、引っ込み思案なところがあります。自分のスキルや才能がどれほどすごいものなのか、わかっていなかったんです。それが、(レーシングカーの)狭い車内で過ごす時間が増えれば増えるほど、彼は自信を高め、本来なるべきだった人間になっていくんです。
僕が子どもの頃は、僕のような顔をしている主人公が夢を叶える物語を見ることはありませんでした。なので、この物語を伝えたい、と信じられないほど強く思ったんです。
─撮影では実際に本物のレーシングカーに乗ったそうですね。
僕は実際ずっと車の中にいました。映画から伝わるアドレナリンやスピード感は全てリアルなものです。グリーンバックで撮ったものは一切ありません。
僕らは常に車に乗っていて、あのスピードで走っていました。全てリアルだからこそ、映画を見ていてもタイヤの焼ける匂いが伝わるし、僕の表情や顔の汗から、僕が感じていたのと同じ“G”が体感できるはずです。車好きにはたまらないはずですよ。
発案者
ダニー(オーランド・ブルーム)
「GTアカデミー」を生んだ日産のマーケティング担当役員。「グランツーリスモ」のプレイヤーの若者たちを招集し、前代未聞のチャンスを与える、情熱にあふれた楽観主義者。
「夢を追う全ての人が見るべき作品です」
─本作をどんな人に見てもらいたいですか?
この映画はとてもユニークなプレイステーションのゲーム「グランツーリスモ」を基にしています。
映画化にあたり、当初は「一体どうやってストーリーを作り上げるんだ?」と思っていましたが、これは、僕が演じるダニーという人物の発案のもと、「グランツーリスモ」が得意な若者を集め、本物の車に乗せ、何ヶ月ものトレーニングを経て、レースの表彰台に立たせるという夢を叶えていく物語なんです。
だからこの映画は夢を追う全ての人が見るべき作品です。
─デヴィッド・ハーバーやアーチー・マデクウィとの共演はいかがでしたか?
デヴィッドは努力を惜しまない素晴らしい俳優です。僕も息子も彼が出演している作品の大ファンで、ずっと彼の演技を見てきました。『ストレンジャー・シングス』は皆に愛されている作品ですし、共演できてうれしかったです。
アーチーとの共演も楽しかった。彼はいま俳優人生のスタートラインに立っていて、すごく熱心に撮影に取り組んでいました。愛嬌のある青年で、彼と一緒にいると心地いいんです。
アーチーはヤン本人と交流しながら関係を築いていました。そうすることで真実味を持たせ、ヤンを見事に演じていました。
指導者
ジャック(デヴィッド・ハーバー)
ゲーマーたちに本物のレースのすべてを教えこむ元ドライバー。最初は「GTアカデミー」を非現実的と感じていたが、厳しい指導でヤンと本物の師弟の絆を結んでいく。
「ニール監督の映画は壮大な内容であってもリアルなんです」
─ゲームを基にした映画に出演していかがでしたか?
この映画で私がすごく気に入ったことの一つが、ビデオゲームについての映画ではないということ。
もちろんストーリーの中にはビデオゲームが包含されています。でも本作は、信じられないようなことを成し遂げる非凡な才能を持った青年の物語であり、人生の困難を味わい、頑なになっていたけれど、その青年の才能を信じるようになる指導者についての映画なんです。
─ニール・ブロムカンプ監督との仕事について教えていただけますか?
ニールの映画は、壮大なSFであっても核心的でリアルです。この作品も同様です。ニールなら、直感的で血が沸き立つような映画にしてくれるとわかっていました。でもまさか、あれほど本物のレーシングカーやドライバーやサーキットを使って撮影するとは思っていませんでした。
私たちは実際にレーシングカーに乗ったし、他のドライバーたちがコースを周回する中、ピットでタイヤ交換や給油もしました。そうしたことがすべて強烈な体験を作りあげていく。それが、大好きなことのためにすべてを失う覚悟で挑む、非常に強烈な体験をしている人たちについての映画を作る際には必要不可欠なことでした。
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『グランツーリスモ』
2023年9月15日(金)公開
アメリカ/2023/2時間14分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:デヴィッド・ハーバー、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィ、ジャイモン・フンスー