最新インタビューを通して編集部が特に注目するキーパーソンに光をあてる“今月の顔”。今回は『ジョンウィック:コンセクエンス』で主人公ジョン・ウィックの旧友シマヅを演じる真田広之。今作への出演経緯や、娘役・リナ・サワヤマとの思い出深い役作りについて語ってもらいました。(インタビュー、文・Izumi Hasegawa(はせがわいずみ)/Hollywood News Wire Inc./デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by Weiss Eubanks/NBCUniversa via Getty Images
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真田広之

1960年10月12日、東京都出身。1966年に千葉真一主演『浪曲子守唄』で子役として映画デビュー。13歳の頃に千葉主宰のジャパンアクションクラブ(JAC)に入団し『柳生一族の陰謀』(1978)より本格的に俳優の道へ。

『忍者武芸帳 百地三太夫』(1980)で映画初主演を果たし、大河ドラマ「太平記」(1991)「秀吉」(1996)や大ヒットした「高校教師」(1993)などでは、幅広い世代から人気を博す。

『たそがれ清兵衛』(2002)では日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。翌年にはトム・クルーズ主演『ラスト サムライ』に出演。『亡国のイージス』(2005)出演以降は国際的に映画・ドラマで活躍している。

“自分をごまかさず、自分の本当の奥底、心の声を聞く。そうすると、今、自分がやるべきことや、本来やりたかったことが見えてくるんです”

──キアヌ・リーヴスとは『47 RONIN』(2013)以来ですが、連絡を取り合っていましたか?

『47 RONIN』の仕上げ作業が割と長くて、のべ2年くらいかかったと思います。その後、最後に会ったのは、『47 RONIN』のニューヨークでのプレミアでした。それ以降は直接会うことはなかったですね。

人伝えに「よろしく」とか、いわゆる「ニアミス」というのはありましたが…。お互い携帯の番号は知っていてもそう頻繁には連絡取り合わないですね。

実は、『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)にキャスティングされていたのですが、直前にケガをしてしまって…。現地まで行ったんですが、どうにも回復が間に合わなくて、キアヌと監督のチャド(・スタエルスキ)に「ごめんね。怪我をしてしまって、ご一緒できません」と伝えました。キアヌも心配して電話をくれたので、それ以来ですね。

ケガは、その後すぐに回復したので、申し訳ないことしたなぁと思っていましたら、今回の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』で、監督から電話がきて『君のために役を作ったから、“はい”と言ってくれ』と言われました。

しかも、「ジョン・ウィックの古い友人という設定でお願いしたいんだけど」と。前回、迷惑かけたにも関わらずまた声をかけてくれて、これは何としても応えなきゃという思いがあるうえに、「長年の友人」という設定がすごく嬉しかったです。二つ返事で「やります。撮影現場で会いましょう」と、即答しました。

──ケガは何が原因で、どんなケガだったんですか?

セルフトレーニングでケガをしました。『ジョン・ウィック:パラベラム』への出演が決まってから、自分なりの強化トレーニングのメニューを作ってやっていたんです。それこそ、「待ってろ、キアヌー」って言ってる最中に「おっとっとっと」と…。

自主トレでのケガなので、本当に申し訳なくて…。アキレス腱を切ったんです。撮影までには治る期間があったんですが、大事をとることになったんです。

──本作では娘を持つ父親役。実生活でも息子さんが2人いらっしゃいますが、親になって、それまでの自分と変わった点や、彼らから逆に学んだことを教えて下さい。

自分の小さかった頃を思い返して、「今のこの時代だと、そういうことを考えるんだ」というのを発見します。彼らからは、自分と違う世代のことを知ることができるというのは確かにあります。

今回、娘役のリナ・サワヤマさんは、演技が初めてということもあって、なるべく父親と娘の絆作りをしようと思い、トレーニング中やトレーニングの後に1日1回は読み合わせをしたり、歩きながら演技のプランを立てたりっていう時間を極力作りました。

その中で、自分の世代とは違うもの、彼女なりの感性で感じること、脚本から読み取ることの違いなどを知って、学ぶところもありましたし、それを活かすにはどうしたらいいかと考えて、逆にいろいろ教えたりもしました。動きの見せ方でもカメラのアングルによって、どうすれば最も効果的に見えるかとかね。

そうして、できるだけ時間を共有して親子の距離を縮める役作りをしました。なので、初日に現場に入る頃には、なんだか本当の親子のような感じがしました。

彼女も自信を持って現場に出て来たので、短期間でも、いい時間を持てばここまでこれるんだということを知って、その反応の早さや良さ、感覚の素晴らしさを見せてもらえました。

──人生山あり谷ありですが、谷に落ちた際の経験談や、どうやって這い上がったのか、後輩へのアドバイスとして教えて下さい。

落ちる時は落ちるところまで落ちてしまえって感じで、自分をほったらかすんです。それでほんとに落ち切ったところで、どっちの方向に這い上がればいいか、自分の心の声を聞くといいますか、自分をごまかさず、自分の本当の奥底、心の声を聞く。そうすると、今、自分がやるべきことや、本来やりたかったことが見えてくるんです。

今までの方向が違っていたとしたら、軌道修正するいい機会をもらったと思って、今、信じられるベストの方向に向かって這いあがろう、一から始めようって考えます。

そして、なぜ今、このタイミングで、こういうことになったんだろうと考えます。今、ハードルを与えられている、これをどうやって這い上がるのかを見られている、試されているなって思うんです。もう1人の自分が頬杖をつきながら「さあこいつはどうやって立ち直るんだろう」って見ている…ってね。

立ち直った暁には、ここまで今度は行くぞと、沈み込んだ分もっと高く飛ぶぞって自分に誓ったりする。そうやって、どこか越えられないハードルは用意されないだろう、っていうポジティブな考えを元に、試されていると考える。

跳ね返して立ち直るまでのプロセスをもう1人の自分が面白がって見ているような…。どこかそういう客観的な目を持つと、ただただ暗闇で苦しむだけでなく、割と光明が早く見えてくるのかもしれないという気がします。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』公開中

画像: 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』公開中

裏社会の掟を破った伝説の殺し屋ジョン・ウィックは、粛清の包囲網から生還し、全てを牛耳る組織・主席連合からの自由を求め立ち上がる。

組織内での勢力拡大を狙う高官・グラモン伯爵が、これまでジョンを守ってきたNY・コンチネンタルホテルを爆破。そんな中、ジョンが日本の旧友シマヅに協力を求める為、大阪・コンチネンタルホテルに現れる。

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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーヴス、ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之
配給: ポニーキャニオン

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