今年5月に開催された第76回カンヌ国際映画祭で初上映され、長いスタンディングオベーションで賞賛されるや否や、本年度の賞レースにおいて早くも一二を争う注目作となっている巨匠マーティン・スコセッシ監督の待望の最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。
主演は今やハリウッドを代表する名優であり、監督とは6度目のタッグとなるレオナルド・ディカプリオが務める。そしてディカプリオとは27年ぶり、スコセッシ監督作品では初共演となるロバート・デ・ニーロが脇を固めるという、映画ファン垂涎のトリプルタッグが初めて実現した。共演には、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞ノミネート経験のあるジェシー・プレモンスや、『ザ・ホエール』で昨年度アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーなど、今旬な豪華キャストが集った。
本作は、デイヴィッド・グランによる同名小説を原作とする、真実の愛と残酷な裏切りが交錯するサスペンス。1920年代のオクラホマ州、石油の発掘によって一夜にして世界でも有数の富を手にしたアメリカ先住民族・オセージ族。すぐにその財産に目をつけたのが白人たち…。すでに町に入り込んでいた彼らはオセージ族を巧みに操り、脅し、奪える限りの財産を強奪し、やがて殺人に手を染めていく。実際に起きた残酷な連続殺人事件が、アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)とオセージ族のモリー・カイル(リリー・グラッドストーン)の夫婦の愛を通して描かれる。
そんなアーネストとモリー夫婦を利用しようと企むのが、ロバート・デ・ニーロ演じるウィリアム・“キング”・ヘイルである。今回解禁された特別映像では、スコセッシ監督や主演ディカプリオらがヘイルという“悪”について語っている。
スコセッシ監督はヘイルについて「ウィリアム・”キング”・ヘイルは並外れた人物。表の顔は優しいが残忍さを隠し持つ」と話す。アーネストをオセージ族の町に迎え入れたヘイルは、すでにオセージ族の人々との関係性を築いていた。アーネストと結婚することになるモリーともすでに家族ぐるみで交流があり、ヘイルは事あるごとにモリーの母や姉妹らの病気や生活を心配するなど、人々から信頼を得ていた。
しかし、アーネストとモリーが結婚すると、ヘイルのもう一つの顔が見え始める。映像では、ディカプリオがヘイルという人物について話しており、「実際、ヘイルは悪の典型だった」という。「彼はオセージの富と領土を奪い取ろうとする。彼らを利用し操る」とヘイルの表の顔に隠された恐ろしい企みについて語っている。
コメントでスコセッシ監督は、そんな2つの顔を持つヘイルについて「とても複雑。彼はまるで預言者。彼ら(白人)の時代が来たと信じている。『彼ら(オセージ族)を助けよう。ゆっくりと死に向かわせよう。楽にそうさせてやろう。文明は行き来するものだ』と話す。映像にはヘイルの「オセージはこの世で最も素晴らしい人々だ」という台詞があるが、スコセッシ監督は「肝心なのは、ヘイルは彼らのことが確かに好きだったということ」と話す。スコセッシ監督が知るところでは、実際のヘイルの葬式には数名のオセージ族が参列しており、「だから、悪役とヒーローという単純な話ではない」と2つの顔を持つヘイルの複雑な人間性を語っている。
演じるロバート・デ・ニーロといえば、アカデミー賞助演男優賞を受賞した『ゴッドファーザー PART II』(74)などの“悪役”を思い浮かべる人も多いが、『マイ・インターン』(15)や『ダーティ・グランパ』(16)など、最近では優しくユーモアのある役も話題となるなど、2つの別々の顔を思い浮かべる人も多いはず。
そんなデニーロが、本作ではオセージ族から全てを奪おうとするヘイルという悪の顔を隠し持つ男を演じており、善良な笑顔から途端に180°切り替わるデ・ニーロの演技に、「真の極悪人の恐ろしさ」を感じること間違いナシ。次々と人を騙し、操り、消していくデ・ニーロ演じる“キング”に慄きつつも吸い込まれていく感覚を、この特別映像でも味わえる。
決して繰り返してはならない歴史的悲劇をかつてない壮大なスケールで描き、スコセッシ監督がこの現代に生きる我々にメッセージを投げかけている本作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、10月20日(金)劇場公開。
Apple Original Films『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
10月20日(金)より世界同時劇場公開
配給:東和ピクチャーズ
画像提供 Apple / 映像提供 Apple