本作は 2020 年から4年間をかけて撮影され、世界中が止まったコロナ禍、そして少女時代に経験した戦時下においても、自分が愛すべき音楽に向き合ってきた姿を記録している。
“年齢非公表のアーティスト”として、80 歳を超えた現在でも精力的に活動する彼女の姿は、人間の情熱に決して期限はないということを私たちに教えてくれる。その太く力強い指先から生み出される癒やしの音色(ねいろ)とともに、フジコの人生に迫った美しいドキュメンタリー作品。
併せて解禁されたティザーポスターには、愛犬とくつろぐフジコの周りに、定評のある自身が描いた花や動物たちのイラストが躍動し、観る者をフジコの世界に誘うようなデザインに仕上がった。
フジコ・ヘミング(FUZJKO HEMMING)
日本人ピアニストとロシア系スウェーデン人画家を両親としてベルリンに生まれる。
母の手ひとつで東京に育つ。幼少の頃よりピアノを始め、世界的音楽家・レオニード・クロイツァー氏に師事。ベルリン芸術大学を優秀な成績で卒業後、ヨーロッパ各国でキャリアを重ね大作曲家レナード・バーンスタインらから高い評価を受け支援されるが、コンサート直前に風邪をこじらせ聴力を失ってしまう。絶望と貧困の中で治療に専念し、その後はドイツ各地で音楽教師として生計を立てながら演奏活動を続ける。
1999 年、NHK ETV 特集でその存在が紹介されると大反響を呼び、2 年連続「日本ゴールドディスク大賞クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞した CD アルバムは 200 万枚というクラシック界では異例の大ヒットを記録した。その後はパリに居を構え海外公演の足場とし、世界の著名オーケストラとの共演も数多い。
2018 年 6 月、ワールドツアーや知られざる生活を描いた初の劇場映画『フジコ・ヘミングの時間』が全国公開されると立ち見の続くロングランヒットとなり、第 22 回上海国際映画祭に招待されるなど海外でも公開が広がった。
また、終戦翌年の 1946 年に描いた絵日記が『フジコ・ヘミング 14 歳の夏休み絵日記』(暮しの手帖社刊)として出版されるなどイラストレーターとしての評価も高く、ファッション、インテリア、ライフスタイルなど、その強烈な個性は多くの人気と支持を集めている。
2021 年、自身で選曲した渾身の5枚組オールタイムベストアルバム『COLORS』をリリース。2023 年 10 月 25 日には、横浜で開催された一夜限りのスペシャルコンサート映像が『赤いカンパネラ』として Blu-ray リリースされる。
メジャーデビューから 20 数年を過ぎた現在でも、世界中で年間約 60 本に及ぶコンサートで演奏しその多くはソールドアウトとなっている。
ベジタリアンで敬虔なクリスチャンでもあり、動物保護や被災地、戦争被害地への支援など、チャリティー活動も精力的に行っている。
恋するピアニスト フジコ・ヘミング
2024 年秋 新宿ピカデリーほか全国公開
©2024「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」フィルムパートナーズ