A24配給のホラー映画史上最高の北米興収を記録した『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』が12月22日(金)より日本公開される。この度、本作で長編映画デビューを飾ったダニー&マイケル・フィリッポウ監督が来日。10月16日(月)に実施されたプレミア試写会後のトークイベントに登場し、MCや観客の質問に答えた。

「YouTube は映画を作るための準備段階」

本作はごく普通のティーンエイジャーたちが体験する恐怖を描いたオーストラリア発のホラー映画。90秒の憑依チャレンジ――ルールは簡単、“手”を握り、「Talk to Me」と唱えて招き憑れるだけ。しかし、一つだけ注意が必要だ。制限時間の90秒を超えて霊を憑依させ続けては、絶対にいけない。手軽にスリルと高揚感を味わえる行為にハマっていく若者たち。だがその代償はあまりにも大きかった。

プレミア試写の上映後に登壇したダニー&マイケル・フィリッポウ監督。挨拶ではマイケルが「皆さん映画楽しんでいただけたかな・・・と神経質になっていますが、いかがでしたか?」と質問。いち早く映画を鑑賞していた観客たちはこれに大きな拍手で応答し、二人も喜びを見せていた。

ダニー・フィリッポウ

マイケル・フィリッポウ

総再生数15億回以上、679万人の登録者数を誇るYouTubeチャンネル「RackaRacka」で活動する二人。実は最初から長編映画を作りたかったとのことで「YouTube は映画を作るための準備段階というか、自分たちの映画スタイルをいろいろ探すための手段としてやっていたんです。2018年から映画にフォーカスしようと決めて、脚本を書き始めました。それが『Talk to Me』になりました」とダニーが明かした。

また、YouTubeと映画について、ダニーは「両方とも、自分たちを表現しようということを念頭に置いています」としつつ、「YouTubeの方は色んなテクニックを学んでいこうと。今回はスタントをやろう、あのエフェクトを使おう、セットを作ってみようといった感じで。あるいはビッグバードを殺してみようとかね(笑)。『Talk to Me』は、もっと自分たちを個人的により深く表現したいと思ったんです」と、その表現の方向性の違いがあることも明かした。

2023年のサンダンス映画祭ミッドナイト部門でプレミア上映されるやいなや話題を呼んだ本作。名だたる監督からも反響があったとのことで「観終わってから私たちに連絡をしてくれた方々もいたんです。ジョーダン・ピール、アリ・アスター、ピーター・ジャクソンやサム・ライミなど自分らが尊敬する人たちから連絡をもらえて凄くラッキーだなと!」とダニーが興奮。また、「叫んだり、映画を観ながら『そこ行っちゃダメだよ!』とか口に出したりするんですよ。何人かは気絶もしてました」とアメリカの観客たちのリアクションへの喜びをマイケルが語った。

画像1: 「YouTube は映画を作るための準備段階」

本作の北米配給を担当し、続編『Talk 2 Me』の製作を担当するのは気鋭の映画スタジオA24。A24についてはダニーが「スクリーニングをした際にA24の方がアプローチしてきてくれて。それだけでも『凄い!夢が叶った!』と思いました。その後ニューヨークに戻ってまたお会いして『ぜひA24でお願いします』となったんです。続編についても本当にサポートしていただいていて、何も書いていない時点からOKとしていただいていて本当にラッキーだなと思っています」とその良好な関係性を語り、マイケルは「大ファンのA24からお話をいただけたので『すぐに決めよう』と話してはいましたが、A24の人の前では『別に・・・』みたいな顔をしていましたよ。実はすごい喜んでいるのに(笑)」と裏話を語り会場を沸かせた。

観客からは作品に関する鋭い質問も飛び出し、「本作はティーンエイジャーと依存症を描いているように思った」とのコメントに対してダニーは「『手』が表しているのは、仰る通りドラッグ中毒など悪意のあるものです。ドラッグやアルコール、セックスだったり、何か暗いものから逃げようとして、何かネガティブなもので埋めようとして結局は自分が犠牲者に陥ってしまうということを表しています」と作品のキーポイントを解説。

そして本作のキーアイテムとなる「手」。なぜその形になったか問われると「脚本の初稿では物が何かはまだ決まっていなかったんです。何か呪われた物が必要だなと思っていたんですけども、書き終わって読んでみたら『触る』とか『繋がる』といったものが出てきて、ホラーのシンボルになるものってなんだろうと思ったら『手』かなと思ったんですよ」と、手をモチーフにした理由を解説し、また「手」に書かれた無数の文字に関して「いろんなことが書かれていますが、これは『手』の歴史を表しています。世界中のいろんなところを回ってきて、映画の彼らたちに渡ったということなんです」と劇中で語られない設定も明かした。

また、本作の前日譚に関する質問も。「前日譚はダケット(映画の登場人物の一人)の視点から撮ったものなのですが、フェイクのアカウントでアップロードしたらあまりにも暴力的でいじめも激しすぎるということで既に削除されてしまったんです。これからどうしようかなと思っているところですね(笑)」とこれからの動向が気になるコメントも残した。

画像2: 「YouTube は映画を作るための準備段階」

多くの質問に答えてくれた二人。最後はマイケルが「皆さんご来場いただいてありがとうございます!映画楽しんでいただけたら嬉しいです!」と言えば、ダニーが「つまんないな!」とツッコミ、マイケルが「じゃあ最後にダニーを殴って終わろ!(笑)」とユーモアあふれる挨拶をし、イベントは終了した。

『Talk to Me/トーク・トゥ・ミー』
12/22(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ギャガ
© 2022 Talk To MeHoldings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia 

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