「電波少年」シリーズでは人気バラエティー番組を演出・出演。欽ちゃんのドキュメンタリー映画では監督も務めるなど、今なお幅広い活躍をしている、伝説の「Tプロデューサー(T部長)」こと土屋敏男さんが、幾多のTVドラマから映画を紐解くおすすめのお話などや予測不可能な未知なお話等、テレビと映画がこれからどうなっていくのか?を中心にさらに熱く、紹介していきます。今回はTBSの日曜ドラマ「VIVANT」。放送終了後も何かと話題が尽きないこの作品について独自の見解とその素晴らしさを語ってくれました。

土屋 敏男
日本テレビホールディングスR&Dラボアドバイザー。ひまわりネットワーク(株)アドバイザー。WOWOW(株)新規事業アドバイザー。みんなのテレビの記憶(同)代表社員。Gontents(同)代表社員。1964TOKYO VR(社)代表理事。

TBS「VIVANT」の続編はあるのか? 独断と偏見で予測する!

TBSの7月期のドラマ「VIVANT」が終了後も話題である。筆者は見たかというとスタートしてから5週目くらいに「今これ見ないのはテレビウォッチャーとは言えない」という世間の圧力が凄すぎてU-NEXTで見始めた。

評判は聞いていたので「これが世間の度肝を抜いたという砂漠のトップシーンか」などとやや冷めた目で見ていた。

1話見終わって「まあこんなもんだろうなあ。大体わかったからここで見終わってまた他の海外ドラマでも探そうか?」という気にもなったが適当なのが見つからず何となく2話3話と1日おきに見続けてしまった。

確かに日本の連続ドラマのスケールではない。そのうち「1話1億円の制作費で今現在の標準のドラマ制作費3000万の3倍以上」という噂が聞こえ始めた。

元テレビ局員としてはここがすごく気になり始めた。中身よりも…

なぜ「VIVANT」は1億円もかけられたのか?

ぶっちゃけていえば最近のテレビの制作費はどんどん落ちていることは確かだ。その理由はテレビ広告費が落ちているから。さらにその理由は言うまでもなくテレビを見る人が少なくなっているから。

だから標準のドラマ制作費が3000万と言っているが現在はもっと少なく2500万でもおかしくない。そんな時代に1本1億の制作費は異例中の異例と言っていい金額だ。益々なぜか?と言いたくなる。

明らかにあるであろう事情がU-NEXTの独占見逃し配信であり制作費の一部をU-NEXTが負担したのは間違い無いだろう。ましてそれまでTBSのVODプラットホームだった「Paravi」とU-NEXTはその直前に経営統合をしたばかりだ。

経営統合と言っているが実質的にはU-NEXTがParaviを引き取ったと言う形だろう。だからその引き取る交渉の過程で統合直後の日曜9時ドラマを大型化してその独占配信で最初の統合の花火にしようと話し合われたことは想像できる。

しかしだ! 1億−3000万=7000万円をその花火のためにU-NEXT、TBS両方から出し合えるか? ちょっと多すぎる。それ以外の理由があるはずだ。

するとこの「VIVANT」の原作、演出をやっている福澤克雄さんが来年定年なのだと言う話も聞こえてきた。福澤さんと言えば「半沢直樹」のディレクターでも知られていて“今日本で一番視聴率が取れる演出家”と言われている。

その人が定年前に「どうしてもやりたい!」と言ったらTBSも無碍には絶対にできない。長年の功労に対して製作費を積み上げるのはあり得る。

しかし! それでもやっぱり足りない。U-NEXTとの経営統合花火代が2000万、福澤さんの定年功労代が1000万というのが順当な金額だろう。あと1億には4000万円足りない。

その答えはドラマ終盤に行われた福澤監督とTBS社長のインタビューや会見の中にあった。

VIVANT2は海外進出次第!

福澤監督は「この作品は世界レベルのものを作りたいと思っている」とか「海外に進出をしたいと思っている」と何度も“世界”そして“海外”というワードを出している。

また佐々木社長も最終回終了後の会見で「未来に向けて、我々TBSのドラマが世界へ進出していく道を切り開いてくれた。日本のテレビドラマというのが世界基準になっているんだと。今後のどんどん世界に向かっていくきっかけになった」とはっきり言っている。

つまり福澤監督が言うようにこの「VIVANT」は三部作であって、シーズン2、シーズン3は世界公開を狙っているのだと。そしてそれができるかは今このTBS放送終了後にどのくらい反響が続くのか?

例えばU-NEXTの再生回数がどこまで伸びるのか?にかかっているのではないか?

この「日本のテレビ局が作ったドラマが世界に本当に進出できるのか?」という大きな賭けにTBSはこの「VIVANT」を作ることで最大のエース福澤克雄監督と出たのだ!

だから福澤監督は「続編があるのですか?」という問いにこう答えている。

「視聴者のみなさんの声次第です」と答えているのはそういうことだ。

“こんなに反響があるのです!世界同時配信をしてもかなりの反響が得られるはずです!”とTBSの担当者は今もNetflixかDisney+かPrimeVideoか、またはまだ日本に進出を検討しているもう一つの海外プラットホームと交渉しているはずだ。

今回の「VIVANT」が日本のドラマが海外に本格的に進出できるかどうかの大きな賭けであり布石。本格的な第一歩なのだということは間違いない。

つまり韓国ドラマが「愛の不時着」や「イカゲーム」の世界的ヒットでそのプレゼンスを圧倒的に高めたように次の「VIVANT2」を1本製作費2億いや「ONEPIECE」Netflix版のように一話26億につなげることへの挑戦なのだ。

最初は何気なく見始めた「VIVANT」だったが、そのうち見る間隔が詰まってきて最終回はU-NEXTではなくTBSの放送で見たことを告白しよう。そして最後のあのドラマの展開は間違いなく“世界の人たちが見ても心震える、感動する”ものだった。

このTBSと福澤監督の大いなる挑戦が成功することを心から祈り応援したい。

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