サマーシーズンの大ヒット作品が多くの部門で候補確定か
2023年のアメリカ映画界で最もヒットした作品は、サマーシーズンに大きな話題を呼んだグレタ・ガーウィグ監督の『バービー』だった。そしてその時同時に公開されたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』も期待を上回る大ヒット。この2作は間違いなくオスカー作品賞候補に挙がると、どのメディアも予想している。
その年の大ヒット作が作品賞候補に入らないという現象が続いた時期もあり、そのため授賞式の視聴率が落ちたという話しもあったが、今回は質の高い2大ヒット作が候補になることで、一般の映画ファンも注目する様になる。
これはアカデミー賞にとっても大手スタジオにとってもウィンウィンの構図になり、その予想は的中する可能性が高いといえそう。
『バービー』は作品、監督、マーゴット・ロビーの主演女優、ライアン・ゴズリングの助演男優、アメリカ・フェレーラの助演女優部門などでも候補になるという予想。
さらに『オッペンハイマー』も作品、監督、キリアン・マーフィーの主演男優、ロバート・ダウニー・Jr.の助演男優、エミリー・ブラントの助演女優部門などで大量候補が予想されている。ただ後者は原爆の父がテーマのためかいまだ日本公開が実現していない。
『バービー』
ブルーレイ&DVDセット
11月22日発売、5,280円(税込)
発売:ワーナー ブラザース ジャパン
販売:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All righ ts reserved.
ほかにも主要部門で大量候補に挙がりそうな作品があり、その一つがマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』だ。
マイノリティの先住民をメインに扱った大型映画というポイントが利点になりそうで、作品、監督、レオナルド・ディカプリオの主演男優、リリー・グラッドストーンの主演女優、ロバート・デ・ニーロの助演男優部門で有力視されており、リリーは受賞の可能性もあると予想するメディアもある。
こちらはApple TV+作品だが、これも配信系のNetflix作品で音楽界の巨匠レナード・バーンスタインを描く『マエストロ:その音楽と愛と』も主要部門で複数候補に挙がると見られている。
ちなみに本作のプロデューサーにスコセッシが含まれているので、彼は自身の『キラーズ…』と2作で作品賞を争うということになるかもしれない。
そして9度の候補経験がありながら無冠のブラッドリー・クーパーが監督賞と主演男優賞候補になる可能性もあり、キャリー・マリガンの主演女優賞候補も確定視されている。
オスカーの前哨戦で注目された作品もある。第80回べネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』も作品賞に挙がること必至と見られる一作だ。
自殺を図った女性が天才外科医の手によって奇跡的に蘇生することから始まる冒険を描く本作は、エマ・ストーンの主演女優、マーク・ラファロの助演男優賞候補も視野に入っている。
そしてオスカー作品賞へ直結する?とも言われるトロント国際映画祭観客賞を受賞したコード・ジェファーソン監督の『American Fiction』も一躍オスカー・レースに飛び込んできた注目作。
売れない黒人作家がやけくそで書いた典型的な黒人小説がバカ売れするという風刺劇で、作品、監督、ジェフリー・ライトの主演男優、スターリング・K・ブラウンの助演男優部門で候補入りするかもしれない。