日陰で生きることしか出来なかったぼくらを照らした、ひとすじの愛―
安定した生活を夢見て、祖国ペルーを捨てNY で不法移民として暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら二人の息子を女手一つで育て、息子たちも配達員として家計を支えるギリギリの毎日。
街から疎外された自分を < 透明人間 > だと憂う二人の息子はある日、謎を秘めた美しい女性クリスティンと出会い、恋に落ちる。一方母ラファエラも白人男性からの耳触りのいい話に誘われ飲食店を開業するのだがーー。
アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち。そんな“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇。
日陰で生きる<何者でもなかった>彼らが恋をして、大切な何かに気づき、はじめて<自分>として生きる意味を見出していく。
貧しくも懸命に生きる姿をNY での大胆なロケと、ウィットに富んだ詩的な映像美で紡ぎ出し、観る者の心を掴んで離さない真の幸せとは何かを問う、珠玉の名作がここに誕生。
映画にも描かれている“不法移民”とは?WEB 限定ビジュアルも解禁!
“移民”とは、本人の法的地位や移動の自発性、理由、滞在期間にかかわらず、「本来の居住地を離れ
て、国境を越えるか、一国内で移動している、または移動したあらゆる人」のことを指す。
仕事や勉学といった自発的な理由の他、紛争や迫害、災害など自発的でない理由で移動を余儀なくされた人もいる。
移民の中でも、ニュースなどで話題となる“不法移民”は、不法に入国し、在留資格のないままその国に留まっている人や、在留資格を失った後もその国に留まっている人を指します。ヨーロッパでは、2015年に起こったアフリカや中東地域から難民が大量にヨーロッパに押し寄せた「欧州難民危機」によって、難民や移民の受け入れに反対する動きが起こった。
移民大国のアメリカでも、2001 年の同時多発テロ事件以降は移民の制限が厳しくなり、トランプ政権では不法移民の一斉送還が行われた。
日本では移民は主に労働力として扱われ、外国人労働者は年々増加している一方で、難民認定率は0.3%と主要先進国と比べて難民の受け入れ数が少ない状況である。
他国と比べて難民認定の基準が厳しく、国連難民高等弁務官からも改善を指摘されている。そんな今こそ、日本でも移民問題について真剣に考える時が来ている。
そこで今回は、“不法移民”が描かれている映画をいくつかご紹介する。まずは映画を観て移民問題について考えるきっかけにしてみてはいかがだろうか?
安定した生活を夢見て南米ペルーからNY に移り住んだ母と双子の兄弟が主人公の『ニューヨーク・オールド・アパートメント』(1月12日(金)公開)では、アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち、そんな“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れたある悲劇を描いている。
トランプ前米大統領による移民政策以降、不法移民を強制送還するなどさらに浮き彫りとなった移民問題を深堀し、アメリカが抱える社会問題がドキュメンタリータッチで見事に描かれている。
幼い頃から日本で育った在日クルド人の少女が主人公の『マイスモールランド』(2022 年公開)では、在留資格を失ったことをきっかけに、それまでの当たり前の生活が奪われ、自身の居場所に葛藤する少女の姿が描かれている。
韓国で生まれ3歳でアメリカに養子に出された青年が主人公の『ブルー・バイユー』(2022年公開)では、30年以上前の書類の不備によって韓国へ強制送還される危機に瀕し、アメリカ人の
身重の妻と幼い娘と一緒に暮らし続けるため、強制送還を避けようと必死に模索する姿が描かれている。
技能実習生として来日するも、劣悪な職場環境から逃げ出し、不法滞在者となってしまった中国人青年が主人公の『コンプリシティ 優しい共犯』(2020年公開)では、他人になりすまして蕎麦屋での働き口を見つけた青年と、孤独を抱えた蕎麦屋の店主が絆を深めていくが、やがて青年を追う警察の手が迫り、ある決断を下す二人の様子が描かれている。
内戦が激化する故郷シリアを逃れ、生き別れた妹を探して北欧フィンランドに辿り着いた青年が主人公の『希望のかなた』(2017年公開)では、ヨーロッパを悩ます難民危機のあおりを受け、街でいわれのない差別や暴力にさらされていた青年が小さなレストランのオーナーに救われる。
レストランで雇われたのをきっかけに、市井の人々が彼に救いの手を差し伸べ、全てを失った彼の人生に希望の光が差し込む様子が描かれている。
様々な事情から“不法移民”となってしまった主人公たちの姿から、騒がれている移民問題の実態がきっと見えてくるはず。
併せて解禁されたWEB 限定ビジュアルでは、高層ビルがひしめくNY に、所狭しと立ち並ぶアパートの外観を背景に、不法移民としてNY で暮らすデュラン一家の物憂げな表情と、謎の美女・クリスティンの険しい表情がコラージュされ、スタイリッシュな印象のビジュアルとなっている。
『ニューヨーク・オールド・アパートメント』
1月12日(金)、新宿シネマカリテほか全国公開
監督:マーク・ウィルキンス
脚本:ラ二・レイン・フェルタム
原作:「De heilige Antonio」(アーノン・グランバーグ)
出演:マガリ・ソリエル、アドリアーノ・デュラン、マルチェロ・デュラン、タラ・サラー、サイモン・ケザー
配給・宣伝:百道浜ピクチャーズ
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