観客の心に深く刻まれる斬新で独創的な作品を生み、世界中の映画ファンから高い評価を得ている独立系映画スタジオ「A24」。前回のアカデミー賞では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)などで一大旋風を巻き起こしましたが、新たな年もその快進撃は続きます。2024年に日本で観られる「A24」の新作を紹介。

2024年注目の人
A24新作『僕らの世界が交わるまで』で初監督に挑戦
ジェシー・アイゼンバーグ インタビュー

画像: Photo by Kurt Krieger/Corbis via Getty Images
Photo by Kurt Krieger/Corbis via Getty Images

“役者たちを初めて外側から見て感動を覚えました”

──今回初めての監督に挑んだ理由を教えていただけますか?

僕はもともと舞台の脚本を書いてきた人間です。ただ、映画俳優としても現場経験をたくさん積んできていることもあり、その経験の中で、『いつか映画を監督してみたいかもしれない』という気持ちが芽生えました。

このストーリーはもともとAudible版のラジオドラマとして書いたのですが、『いい映画になるかもしれない』とも思っていました。

母親が運営するDVシェルターの世界と、その息子がロックスターとして世界的人気を誇るオンラインアプリの世界とを並列させたら面白いかもしれないと思って描いたストーリーなんです。

──主人公の親子は一見したところ正反対な生き方をしていますね。

僕はこの主人公2人を通じて、個人的に感じているさまざまな疑問を呈しています。僕自身、俳優やアーティストとして活動しているわけですが、自分の仕事の意義についてある種のアンビバレンツ(相反する感情)を感じています。

『僕は何か本当に意義深いことに貢献しているのだろうか、それともただ好き勝手なことをやっているだけなのだろうか』と。

僕の妻は活動家ですし、僕の両親は医療ケアシステムの中で教師として働いています。だから身の回りの人たちの仕事の意義と自分の仕事の意義とをいつも比べてしまいます。自分の中にあるそういう矛盾をこのストーリーに登場する2人のキャラクターで具現化しているんです。

──いつもと違う監督という立場に立ってみてどのように感じましたか?

今回の撮影は役者たちを外側から見ることができたから面白かったです。ジュリアン・ムーアとフィン・ヴォルフハルトの仕事ぶりを監督として見ていると、『役者はこんなにも心をさらけ出してくれるものなのか』と感動を覚えます。

彼らは僕が書いた脚本のために、自分たちの私生活における葛藤をもさらけ出してくれるわけですから、『ありがたいなぁ』と胸がいっぱいになりました。

いち役者としてのマインドセットも変わり、『こうやって心をさらす大変な仕事をしているのだから、失敗ばかり気にせず、夢中になって打ち込んでいいんだ』という確証を得ることができました。(ジュリアンとフィンの仕事に)がっかりすることは一度もありませんでした。

『僕らの世界が交わるまで』

2024年1月19日(金)公開

画像1: 『僕らの世界が交わるまで』

個性派俳優ジェシー・アイゼンバーグが監督初挑戦

『ソーシャル・ネットワーク』(2010)などの個性派俳優ジェシー・アイゼンバーグの初監督作。アイゼンバーグ自身がAmazonのAudible用に作った5時間分のラジオドラマを映画化。

DV被害に遭った人々のシェルターを運営する母と、ライブ配信で人気の高校生の息子、ちぐはぐにすれ違う親子の姿を描く。アイゼンバーグの盟友エマ・ストーンも製作に参加。

画像2: 『僕らの世界が交わるまで』

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『僕らの世界が交わるまで』
監督:ジェシー・アイゼンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、フィン・ヴォルフハルト
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

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『ボーはおそれている』

2024年2月16日(金)公開

ホアキン・フェニックス主演&『ミッドサマー』監督が放つ超問題作

画像: 『ボーはおそれている』

『ヘレディタリー/継承』(2018)『ミッドサマー』(2019)の鬼才アリ・アスターが主演に『ジョーカー』(2019)のホアキン・フェニックスを迎え、A24と三度目のタッグを組んだ話題作にして超問題作。

内向的な性格で社交性に乏しく、いつも不安におびえている主人公ボー。母の急死を知った彼はアパートを飛び出すが、その先には人生が転覆してしまうような体験が待っていた。

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『ボーはおそれている』
監督:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン
配給:ハピネットファントム・スタジオ

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『アイアンクロー』

2024年4月5日(金)公開

画像: 『アイアンクロー』

「呪われた一家」と呼ばれたプロレスラー親子の真実

1980年初頭、熾烈な競争のプロレス界に歴史を刻んだ“鉄の爪”フォン・エリック一家の実話を映画化。元AWA世界ヘビー級王者の威圧的な父親に育てられ、息子兄弟たちはレスラーとしてデビューするが、彼らを次々悲劇が襲う。

「呪われた一家」と呼ばれたその真実とは? レスラー体型を作り上げた主演ザック・エフロンらの肉体改造も話題。

『アイアンクロー』
監督:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト
配給:キノフィルムズ

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『ドリーム・シナリオ(原題)

2024年公開

画像: 『ドリーム・シナリオ(原題)』

突然人々の夢の中に現れ一躍有名になった男の運命は?

『シック・オブ・マイセルフ』(2022)で注目されたクリストファー・ボルグリ監督が、ニコラス・ケイジを主演に迎えた異色のブラック・コメディ。

ケイジ演じるごく普通の教授が、なぜか何百万人もの見知らぬ人々の夢の中に登場。突然誰もが知る“有名人”になってしまった男の運命は? プロデューサーを『ミッドサマー』のアリ・アスターが務める。

『ドリーム・シナリオ(原題)
監督:クリストファー・ボルグリ
出演:ニコラス・ケイジ、ジュリアンヌ・ニコルソン
配給:クロックワークス

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『プリシラ(原題)

2024年4月公開

画像: 『プリシラ(原題)』

ソフィア・コッポラ監督最新作はエルヴィスの元妻の物語

エルヴィス・プレスリーと10代で出会い、のちに結婚した元妻プリシラが1985年に出版した回想録「私のエルヴィス」を基に、『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)のソフィア・コッポラ監督が映画化。

彼女の人生とエルヴィスとの波乱に満ちた恋愛関係を描く。プリシラ役のケイリー・スピーニーが第80回ベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。

『プリシラ(原題)
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ
配給:ギャガ

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『チューズデイ(原題)

2024年公開

画像: 『チューズデイ(原題)』

娘の死を受け入れられない母親の寓話的な物語

ロンドンを拠点に活動するダイナ・オニユナス=プシッチ監督の初の長編映画で、死と喪失をめぐる母娘の寓話的な物語。

余命僅かな娘のチューズデイと、娘の死に向き合えない母親ゾラ。チューズデイの守護神のように現れた鳥のコンゴウインコに導かれ、やがてゾラは娘の死を受け止めていく…。『おとなの恋には嘘がある』(2013)のジュリア・ルイス=ドレイファス主演。

『チューズデイ(原題)
監督:ダイナ・オニユナス=プシッチ
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、リア・ハーヴィ
配給:ハピネットファントム・スタジオ

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