ハードな役柄から、無骨な優しさが味わい深い男まで!
映画ファンたちを魅了する名作のリバイバル上映。本年に入ってからも多数の名作が再び銀幕に蘇っているが、ハーヴェイ・カイテル出演作が多く公開されており話題を呼んでいる。犯罪者でありながら仲間思いなミスター・ホワイトを演じた『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』<1月9日(火)より公開中>、悪徳警官LTを怪演してみせた『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』<1月19日(金)より公開中>、かと思えば人情味あふれる刑事を演じた『テルマ&ルイーズ 4K』<2月16日(金)より公開>、さらには3月22日(金)からは第46回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝くなど世界中の映画祭を席巻した『ピアノ・レッスン』が上映開始となる。
『ピアノ・レッスン』では、主人公エイダ(ホリー・ハンター)に心惹かれていくべインズを演じたカイテル。先述の通り、ワイルドかつハードな役柄が多かったが、本作では一転して無骨な優しさが味わい深い男を演じ切っている。『タクシードライバー』『パルプ・フィクション』、近年では『アイリッシュマン』など、映画デビューから半世紀を経た今もなお第一線で活躍し続けているハーヴェイ・カイテル。歴代の映画監督達が出演を望むその理由は、なんといっても彼の出演作が時代の流行に左右されず、ことごとく称賛、注目され、映画ファンの心を掴んできたことに尽きるだろう。自身が出演するにあたっての脚本選びや、スタッフ・キャストにまで徹底して吟味し、なにより俳優としての個性を極め、主役脇役にこだわらず幅広い役柄を演じてきたからではないだろうか。
この機会にハーヴェイ・カイテルの名演技を是非スクリーンで味わってみてほしい。
『ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター』
3月22日(金) TOHOシネマズ シャンテ 他 全国ロードショー
監督:ジェーン・カンピオン
出演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン
19世紀半ば、ニュージーランドの孤島。エイダは父親の決めた相手と結婚するために、娘のフロラと1台のピアノと共にスコットランドからやって来る。「6歳で話すことをやめた」エイダにとって、ピアノは声の代わりだった。ところが、夫になるスチュアートはピアノを重すぎると海辺に置き去りにし、先住民との通訳を務めるベインズの土地と交換してしまう。エイダに惹かれたベインズは、ピアノ1回のレッスンにつき鍵盤を1つ返すと提案する。渋々受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちに彼女も思わぬ感情を抱き始める――
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©1992 JAN CHAPMAN PRODUCTIONS&CIBY 2000
上映中&間もなく公開のハーヴェイ・カイテル出演の名作たち
『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』上映中
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、スティーブ・ブシェミ、クエンティン・タランティーノ他
クエンティン・タランティーノが監督・脚本・出演の三役を務めた名作。ハーヴェイ・カイテルは、当時まだその頭角を現す前の若手だったタランティーノ監督に、助力の意から出演を含め製作サイドに参加したことでも知られている。本作では宝石強盗団一味のリーダー格、仲間想いのミスター・ホワイト役を熱演。
『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』上映中
※初のデジタルリマスター版でリバイバル上映
監督:アベル・フェラーラ
脚本:ゾーイ・ルンド、アベル・フェラーラ
出演:ハーヴェイ・カイテル、ゾーイ・ルンド、ヴィクター・アルゴ、ポール・ヒップ他
ハーヴェイ・カイテルが怪優と称されるようになったのは本作の主人公・ニューヨーク警察の警部補LTを演じてからではないだろうか。麻薬、アルコール、信仰、暴力が過剰に渦巻く街で生きる主人公を演じ、その特異な男の表現方法は公開当初物議を醸すと同時に、批評家を含めた玄人好みの映画ファンからは稀代の名演技として高く評価された。
『テルマ&ルイーズ 4K』2月16日(金)全国順次公開
監督:リドリー・スコット
脚本:カーリー・クーリ
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、ブラッド・ピット他
リドリー・スコット監督の大ヒット作。アカデミー賞で6部門にノミネートされて脚本賞に輝き、若かりしブラッド・ピットが少ない出番ながら強い印象を残し、彼の出世作となったことでも有名。いかにハーヴェイ・カイテルが脚本、スタッフ・キャストに恵まれ(こだわり)、自身のキャリアに繋げているかがわかる至極の一本だ。本作では逃亡を続ける主人公2人を追う刑事役を演じ、当時「女性版アメリカン・ニューシネマ」と絶賛されたロードムービーに華を添えた。