ウェディングプランナーとして仕事は充実しながらも恋愛音痴な主人公・輪花(りんか)役には土屋太鳳、輪花とアプリでマッチングする“狂気のストーカー”永山吐夢(ながやま とむ)役にSnow Manの佐久間大介、輪花に想いを寄せるマッチングアプリ運営会社のプログラマー・影山剛(かげやま つよし)役を金子ノブアキが演じる。
そして輪花、吐夢、影山が巻き込まれていく「アプリ婚連続殺人事件」を杉本哲太、片山萌美、真飛聖、後藤剛範、片岡礼子、斉藤由貴ら実力派キャスト陣が、逼迫した演技のリアリティで恐怖を煽り、主題歌Aimer「800」がクライマックスを切なく彩る。
『ミッドナイトスワン』(20)にはじまり、阿部寛主演で一昨年公開された『異動辞令は音楽隊!』(22)、そして先日公開を迎えたばかりの『サイレントラブ』。話題作を世に放ち続けている内田監督だが、特筆すべきはこれらのどの作品もすべて内田監督によるオリジナル原作という点。そしてこの度、2月23日(金・祝)に公開を迎える『マッチング』も内田監督によるオリジナル作品だ。特に小説や漫画原作の作品が多い邦画業界で、ここまで精力的にオリジナル作品を手掛け続けている監督は稀有な存在といってもよいだろう。
“マッチングアプリ×サスペンス“という企画の発端は、5年程前に遡ると内田監督は語る。「サスペンスやスリラーを撮ってみたいと考えたとき、マッチングアプリを題材にしたら面白いと思いつきました。『ミッドナイトスワン』が公開される頃だったでしょうか、今度は感動を与えるヒューマンものではなく、サスペンスやスリラーをやってみたいと思ったんです。その題材にはマッチングアプリがピッタリと感じました。日常化しているとはいえ、出会う人の素性がわからず、そもそも顔も登録されている写真通りかも、わからず、謎に包まれていますから、これほどふさわしい題材はないなと」。今回、内田監督にとって初めてのサスペンス・スリラー作品となったが、脚本作りについては「結論としては、サスペンスは大変だと感じました。従来撮ってきたヒューマンドラマと比べ、脚本づくりに倍ほど時間がかかりました。愛憎――反転した愛情も描きつつ、エンターテイメント性を大事にしようと思って、犯人を決めずに書き始め、マッチングアプリに絡んでくる事件の内容やその結末をどういうふうにしたらいいか頭を悩ませました。そもそも、最初はストーリーが全然違っていて、書きながら、変更していったんですよ。オリジナルのサスペンス・スリラーを作ることは大変ではありますが、原作ものだと結末がわかったうえで見る人が多くなるので、ネタバレのないオリジナル脚本の映画を作る意義があると思っています。僕は、日本でも『セブン』や『シックス・センス』のようなサスペンスを作りたいですね。」と、オリジナル作品への矜持と意義を語る。キャストが口をそろえて「監督とすごく話し合いをした」と話している通り、オリジナルだからこそ、キャストやスタッフと現場で密にコミュニケーションをとりながら柔軟に作品を作っていくことができ、それが内田監督が作る作品の魅力に繋がっているのではないだろうか。
現代社会にも広く普及したマッチングアプリによる“出会い”から始まる恐怖、ジェットコースターのようなノンストップの展開。今の時代だからこそ引き込まれる設定とストーリーで贈る、映画『マッチング』に注目だ。
『マッチング』
2月23日(金・祝)全国公開
©2024『マッチング』製作委員会
配給:KADOKAWA