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精神的には幼くてもベラは私が演じた中で最も進化した女性です(エマ)
──まずアラスター・グレイの原作との出会いについて教えてください。
ランティモス 原作を読んで、登場人物、テーマ、ユーモア、その複雑さに惹かれました。アラスターは自分で挿絵も描いていて、視覚的にも興奮し、アラスターに映画化権を得られるか確認するためグラスゴーに向かったのは2011年か12年ころでした。
ランティモス 彼は私の『籠の中の乙女』(2009)を気に入ってくれていて、一日一緒に過ごした後、許可をもらいました。一度映画化を進めた時は上手くいかなかったのですが、『女王陛下のお気に入り』(2018)の後、ようやくその時期が来たと思い、再度進めることになったのです。
エマ 私がこの話を初めて聞いたのはヨルゴスと一緒に仕事をした『女王陛下のお気に入り』の製作を終えたころです。トニー(マクナマラ)がまだ脚本を書いていて、製作のとても早い時期でした。ヨルゴスがアラスターから映画化権を手に入れたことは重要です。彼のようなレベルでこの原作を映画化できる人は他にいないでしょうから。
──ヒロインとなるベラ・バクスターの魅力についてどう感じましたか。
エマ ベラは女性にとって典型的な制約を強いる社会で育っていないため、自由に世界を探求することができるという刺激的な役でした。現代でも信仰心のあるなしに関わらず、社会に適応することを教え込まれるやり方は私には興味深く、というのもベラという一人の女性の誕生から成人まで、ずっとその体でいられるという機会は貴重なものなのです。
エマ 彼女はセクシュアリティにおいても羞恥心や判断力がありません。私たちは周囲の人が自分を好きかどうかを社会的に考えてしまうものですが、彼女はそんなことは考えません。精神的には幼くても私が演じた中でベラは最も進化した女性です。
ランティモス 私はベラに恋をしました。すると、彼女は何を考えているか? 次にどんな行動をするか? 次々に考えてしまうものでしょう。ベラが適合しない世界に彼女はどう反応するのか? そこがこの物語の軸です。彼女を様々な状況に置くことで、彼女の周りにいる様々な男性たちとの関係がどんどん変化していくことに気づいたのです。
──ベラの旅路の変化について教えてもらえますか。
エマ 彼女はまるでスポンジのように、出会う人々、食べるもの、自分がいる環境からいろいろなことを吸収し、引き出していきます。幼児期、児童期、また十代のころの自分が欲しいものを考える時期から、どうすれば社会の役に立ち、外の世界のために何かを生みだせるか考えるメンタリティに急速に変化します。世界には残酷さや痛みがあることを理解し、社会主義者になり、さらに医師になっていく。観客はその旅路を目撃することになるでしょう。
『哀れなるものたち』公開中
自ら命を絶った女性ベラが、天才外科医の手によって奇跡的に蘇生。甦ったベラは「世界を自分の目で見たい」という好奇心に駆られ、放蕩者の弁護士ダンカンと冒険の旅に出る。
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『哀れなるものたち』
公開中
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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