『エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』と題し、4/19(金)より新宿武蔵野館ほかで公開。活動家で歌手のジョーン・バエズが歌う『死刑台のメロディ』主題歌に込められた想いとは?
その91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)。昨年劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作である『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
1920年のアメリカで起きた「サッコ=ヴァンゼッティ事件」を描いた『死刑台のメロディ』では、エンニオ・モリコーネ作曲で本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。「勝利への讃歌」は原題が「Here’s To You」(あなたがここにいる:あなたを祝福)で、「長い投獄生活から、やっとここに帰ってきた」と、悲しみを湛えて、死刑執行で開放されたふたりをねぎらうタイトルになっていると言われている。
アメリカにおけるモダンフォークブームの先頭に立ち、平和主義者として活動もしていたジョーン・バエズ。1967年に来日公演を行った彼女は「私は歌手であるよりもまず人間。次に平和主義者です」と語ったという。映画では、徴兵反対のグループに入っていたために“赤狩り”の生け贄として冤罪判決で死刑となる。夫と共に徴兵反対運動をし、3年もの刑を受けていた彼女の声は、美しく、力強く、そして悲しく、わたしたちに訴えかける。「あなた方を祝福しよう、二コラとバート。わたしたちの心の中で永遠の安らぎを。最後の最期の瞬間はあなたたちのもの。受難があなた達の勝利となるとき」。サッコとヴァンゼッティへの追悼とその生涯への敬意、そして二度と同様なことが起きないようにという願いが、主題歌には込められている。
改めてモリコーネとジョーン・バエズによる珠玉の名曲「勝利への讃歌」に酔いしれてみよう。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
4/19(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
配給:キングレコード
©UNIDIS JOLLY FILM