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スタローン、ジャッキー、エイリアン! 1986年下半期は人気アクション連発
1986年下半期公開の映画では、シルヴェスター・スタローン主演の刑事アクション『コブラ』(8月/配収4位)、ジャッキー・チェン演じる冒険家の活躍を描いた『サンダーアーム/龍兄虎弟』(8月/SCREEN映画大賞9位)、“今度は戦争だ!”というキャッチコピーの下、無数に繁殖したエイリアンと兵士との戦いを描いた、シガニー・ウィーヴァー主演、ジェームズ・キャメロン監督の 『エイリアン2』(8月/配収6位、SCREEN映画大賞2位)が目立った。
アンブリン作品が躍進した一年! アート&ミニシアター系作品も話題に
また、スピルバーグ監督が、一人の黒人女性の自立を描いた『カラーパープル』(9月/SCREEN映画大賞6位)は、アカデミー賞で11部門にノミネートされながら無冠に終わり物議を醸したが、彼が設立したアンブリン・エンターテインメントの躍進には目を見張るものがあった。
前年末に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『グーニーズ』も含めて、1986年には同社製作の『ファンダンゴ』(3月)『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(3月)『カラーパープル』『マネー・ピット』(12月)が公開されたのだ。その後もアンブリンは精力的に映画製作を続け、2024年にはミュージカル化された『カラーパープル』が公開された。
一方、いわゆるアート系、ミニシアター系映画の台頭も顕著だった。この方面では、南米某国の刑務所を舞台に、政治犯と同性愛者の交流を描き、同性愛者役のウィリアム・ハートがアカデミー賞の主演男優賞を受賞した 『蜘蛛女のキス』(7月)、さまざまな悲劇を乗り越えていく一家の姿を描いた、ジョン・アーヴィング原作、ジョディ・フォスター主演の 『ホテル・ニューハンプシャー』(7月)、ジャズミュージシャンとファンの友情を描いた『ラウンド・ミッドナイト』(10月)、情報管理された近未来社会の恐怖を描いたテリー・ギリアム監督のカルト映画『未来世紀ブラジル』(10月)などがある。
1986年の締めくくりにトム・クルーズがテイク・オフ!
ところで、1980年代のハリウッドの青春映画に出演した若手俳優たちは、総称して「ブラット・パック」(日本ではYA(ヤングアダルト)スター)と呼ばれたが、その中の一人モリー・リングウォルドの代表作でジョン・ヒューズが監督した『ブレックファスト・クラブ』(5月)と『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(11月)も1986年に公開された。
そして、1986年を締めくくったのが、今も現役バリバリのトム・クルーズ。『ハスラー2』(12月/SCREEN映画大賞8位)では、若きビリヤードプレーヤー役でポール・ニューマンと共演。ニューマンは、クルーズの助演もあって『ハスラー』(1961)から25年ぶりの続編となったこの映画で、翌年のアカデミー賞で念願の主演男優賞を受賞した。
もう一本は、艦上戦闘機F-14のパイロット、ピート・ミッチェル(コールサイン:マーヴェリック)を演じた、言わずもがなの『トップガン』(12月)。年末公開にも関わらず1986年のSCREEN映画大賞では1位に輝いている。
『ハスラー2』のニューマン同様、36年後にクルーズ主演の続編『トップガン マーヴェリック』(2022)が製作されたことは、彼がいかに息の長いスターであるかの証明でもある。