藤井道人監督にとって初の国際プロジェクト『青春18×2 君へと続く道』で、道枝駿佑がまたひとつ新たな世界への扉を開いた。日本と台湾を舞台に紡がれるラブストーリーで道枝が演じるのは、失意のなか、18年前に出会った日本人旅行者アミとの約束を果たすために彼女の故郷を目指す青年ジミーと出会うバックパッカー。ワンポイント的な出演ながら重要な役割を演じた道枝と、藤井監督の間にもかけがえのないものが生まれていた。(文・杉谷伸子/写真・久保田司/デジタル編集・スクリーン編集部)

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道枝駿佑 プロフィール

2002年7月25日、大阪府生まれ。アイドルグループ「なにわ男子」のメンバー。2017年、初出演となるドラマ「母になる」(NTV)で注目を集め、以降「金田一少年の事件簿」(2022/NTV)、「マイ・セカンド・アオハル」(2023/TBS)、「マルス-ゼロの革命-」(2024/EX)などに出演。

主な映画出演作に『461個のおべんとう』(2020/兼重淳監督)、『99.9 -刑事専門弁護士- THE MOVIE』(2021/木村ひさし監督)がある。

2022年初主演映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022/三木孝浩監督)同作で第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞において「石原裕次郎新人賞」と「ファンが選ぶ最高演技賞」を受賞。

藤井道人 プロフィール

1986年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。2014年伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』で商業作品デビュー。第43回日本アカデミー賞にて映画『新聞記者』が最優秀作品賞含む6部門受賞、他にも多数映画賞を受賞する。

『青の帰り道』(2018)、『デイアンドナイト』(2019)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020)、『ヤクザと家族 The Family』(2021)、『余命10年』(2022)『ヴィレッジ』、『最後まで行く』(ともに2023)など精力的に作品を発表。

今年はNetflixオリジナル映画『パレード』も配信されており、今最も動向が注目されている映画監督の1人である。

──シュー・グァンハンさん演じるジミーが旅の途中で出会う青年・幸次役に、道枝さんを考えられた理由は?

藤井 みっちーのことは(アミ役の清原)果耶ちゃんと共演してる作品とか、10代の頃から観ていて、きっと日本の芸能界を背負って立つ俳優になるんだろうなと。

今回みたいなワンポイント的な役は出てくれないだろうと思ったんですけど、海外にも興味を持ってるところとか、哲学として近いところは年が離れてても感じてたし、一度ご一緒してみたい想いがあったので、“ダメ元でもオファーして”って。

それをみっちーサイドが“じゃあ、一回ご飯食べましょう”と一緒に話す時間を作ってくれて。真横で“ぜひ、出て欲しいんです”と言いました。

道枝 藤井監督の初の国際プロジェクトで重要なキャラクターに僕を求めてくださって嬉しかったですし、光栄でしたね。僕もいつか海外との作品に出ることが夢でしたし、『セカコイ』(『今夜、世界からこの恋が消えても』)を韓国のたくさんの方々に見ていただいて、本格的にアジアにももっと出ていきたいという目標が固まったタイミングでもあったので。

脚本を読んだ時にピュアな思いやりがバトンに託されていくのを感じたんですけど、映像になると台詞がさらに刺さるというか。文字で読むのとキャストの皆さんの声で聞くのとでは感じ方が違ったので、すごい作品に参加できたんだなと改めて思いました。

“夢を実現させられる人は、ひと握りだよ”という黒木華さんの台詞は、グッときましたね。誰もがわかっているつもりでもなかなかその現実を受け入れられないし、僕もなかなか思いどおりにいかない経験もありましたから。

──あの台詞は、監督がずっと大切にされてきた言葉だとか。

藤井 原作があるなかで、ほぼオリジナルで書かせてもらってたうちのひとつで。今、みっちーが言ってくれて嬉しかったんですけど、僕も“なんで俺だけこんな辛いんだ”とか思うこともあった時期に、自分に言い聞かせるようにしていた言葉なんです。

ただ、僕が僕らしく言うと驕りに聞こえてしまうものを、黒木さんが演じる由紀子があのトーンで言うからこそ、すごく意味のあるセリフになったなって思いました。

画像: 『青春18×2 君へと続く道』道枝駿佑 × 藤井道人 インタビュー

──今回ご一緒されて監督が改めて感じた道枝さんの魅力を教えてください。

藤井 みっちーは主演として責任感を感じざるをえない役が多いと思うんですね。ただ、本当に感じなきゃいけないのは多分そこじゃなくて。役をどう生きるかとか、どう演じることが楽しいのかとか、映画って楽しいなとか。モノ作りの世界では、結果は後からついてくる。だから、僕はあえてミッチーのお芝居を研究しないで現場に行って、一緒に幸次という役を使って遊ぶなかで、いいものができていくフローを共有したかったし、みっちーもそれを楽しんでくれた。なので、次はみっちーが主演で何かやりたいなとすごく思ってます。

──楽しみにしてます。ところで、監督はどのタイミングで道枝さんを「みっちー」と呼ぶようになられたんですか。

藤井 最初に食事した時からかな? 撮影中にはもう言ってた気がした。

道枝 いつの間にか、みっちーでしたよね。

藤井 バレないようにね。演出なの。

道枝 演出かぁ(笑)。藤井さんもミッチー。だから共通点なんですよ。僕は“藤井さん”って呼んでますけど。

藤井 そう、俺もミッチーって言われることもあるんです。だから全然いいよ、ミッチーで(笑)。

『青春18×2 君へと続く道』2024年5月3日(金)公開

画像: 『青春18×2 君へと続く道』2024年5月3日(金)公開

台湾、現在。大学の同級生とゲーム会社を立ち上げて以来、走り続けてきた36歳のジミー。周囲を顧みず仕事に没頭してきた彼は反感を買い、代表の座を解任されてしまう。人生の目標も居場所もすべてを失い、失意の中故郷へと戻ってきたジミーは、実家の引き出しに仕舞われていた一枚のハガキを手に取る。それは、初恋相手のアミからかつて届いたもの。ハガキに微かに残る香水の香りから、ジミーは“あの夏”を思い出すのだった。

幸次(道枝駿佑)

画像: 幸次(道枝駿佑)

長野県飯山線でジミーと出会う18歳のバックパッカー。ジミーから岩井俊二監督の映画『Love Letter』の思い出を聞く。

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『青春18×2 君へと続く道』
2024年5月3日(金)公開
日本/2024/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:藤井道人
出演:シュー・グァンハン、清原果耶、道枝駿佑、黒木華

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