アクション映画史に残る〝伝説〞として今も語り継がれる『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。なぜ本作がこれほどの熱狂を呼び、日本でも多くのファンを生んだのか改めて振り返ります。そして今『マッドマックス:フュリオサ』が作られる〝必然〞とは?(文・斉藤博昭/デジタル編集・スクリーン編集部)

映画史上稀にみる〝産みの苦しみ〞が映画ファンの期待感を異様に高めた

画像: 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』製作の裏には映画史上稀にみる“産みの苦しみ”があった

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』製作の裏には映画史上稀にみる“産みの苦しみ”があった

1979年に公開された『マッドマックス』は、1985年の『マッドマックス/サンダードーム』まで計3作のシリーズとなった。人気シリーズが3本で完結するのは、よくあるパターンで、『マッドマックス』もその例にもれることがなく月日は流れた。

しかし3作で監督を手がけたジョージ・ミラーの情熱は消えておらず、3作目から13年後には次のアイデアが思い浮かび、シリーズ4作目を2001年に撮影がスタートするまで漕ぎ着ける。

しかし同年のアメリカ同時多発テロの影響で延期が決定。2003年にはアフリカのナミビアでの撮影が予定されるも、イラク戦争など世界情勢の悪化でまたも頓挫。その後、何度も企画の浮沈を繰り返し、2011年にはトム・ハーディ、シャーリーズ・セロンら主要キャストも決まって、ついに撮影が正式にスタートする。

そこからも天候不良などで困難を極め、ようやく2015年、シリーズ4作目『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開された際には、映画史上稀にみる“産みの苦しみ”が映画ファンの期待感を異様に高めることになった。

とはいえ、前作から30年ぶりの新作である。ジョージ・ミラー監督は、その30年の間に『ベイブ/都会へ行く』(1999)やアニメーションの『ハッピー フィート』(2006)など、全く違うジャンルの作品を手がけてきており、完成作がお披露目されるまで、その仕上がりに懐疑的な声が聞かれていたのも事実。

しかし、2015年の5月、カンヌ国際映画祭での公式上映とアメリカ公開で、評価は絶賛に染まる。映画批評サイトのロッテントマトでは批評家のフレッシュ(肯定)が90%台後半という高い数字を記録。サマーシーズンのアクション映画は基本的に批評家が辛い点数をつけるので、かなり異例の評価となった。

公開週末のランクでは『ピッチ・パーフェクト2』(2015)に次いで初登場2位となるも、高評価とともに、すでにこの時点でアカデミー賞レースに加わるとの噂も出始め、息の長いヒットで北米の興行収入は1億5363万ドルに到達。製作費が1億5000万ドルといわれたので、北米でその数字を回収することに成功した。

特殊スタイルの企画が各地で行われるなど日本でも観客の心を鷲掴みに

一方で、北米の1ヶ月後の6月に公開される日本では、どの程度のヒットになるか予想がつかなかった。すでに日本ではハリウッド映画を中心にした洋画の興行が低空飛行に入り、継続的に公開される人気シリーズや、超人気スター主演の作品以外は、かつてのようなヒットが見込めない状況だった。しかも『怒りのデス・ロード』はビジュアル的にもマニアックなテイストが漂って、“観客を選ぶ”作品だと考えられていた。

しかし日本でも各国と同様、観客のハートを鷲づかみにする。興行収入は18.1億円。特筆すべきは、通常の上映だけでなく、声を上げて応援しながら鑑賞する「絶叫上映」、すぐれた音響設備を備えたスクリーンでの「爆音上映」など、特殊スタイルの企画が各地で行われ、多数の観客が詰めかけたこと。

中でも東京の立川シネマシティは「極上爆音上映」と銘打たれ、『怒りのデス・ロード』のファンが全国から集まる“聖地”となった。同館では、2020年にヒュー・キース・バーン(イモータン・ジョー役)が亡くなった際の追悼企画など、極上爆音上映が何度も行われている。

画像: イモータン・ジョーを演じ たヒュー・キ ース・バ ーン が2020年に亡くなった際には日本で追悼上映なども行われた

イモータン・ジョーを演じ たヒュー・キ ース・バ ーン が2020年に亡くなった際には日本で追悼上映なども行われた

荒廃した近未来での砂漠を、超ブキミな外見の独裁者、イモータン・ジョーが治め、ウォーボーイズと呼ばれる白塗り&スキンヘッドの過激な軍隊が暗躍。彼らから逃れた5人の女性を、同じく女性である大隊長フュリオサが助け、ウォーボーイズに捕らわれた主人公のマックスもその逃亡劇に加わる。大量の改造バイクによる怒涛のアクションや、ウォーボーイズの狂気的な行動など、その過激さとテンションの高さが、日本の観客にも大受けしたのは事実。

また、日本の人気漫画「北斗の拳」が、1981年の『マッドマックス2』に大きな影響を受けて生まれたエピソードが改めて脚光を浴び、新たなファン層も開拓した。何度も観て確認したいディテールも含め、じつは日本のサブカル好きが歓喜する要素が『怒りのデス・ロード』には凝縮されていたのである。

公開翌年の第88回アカデミー賞では、作品賞をはじめ10部門にノミネートされ、最多となる6部門(美術、衣装デザイン、メイクアップ&ヘアスタイリング、編集、音響編集、録音)を受賞。作品賞こそ逃したが、この過激なアクション映画がアカデミー賞に絡んだこと自体が大きな話題となった。こうした『怒りのデス・ロード』への熱狂的支持によって当然のごとく新作が待望視される。

画像: シャーリーズ・セロンが豪快に演じたフュリオサは主人公をしのぐほどの人気キャラクターに

シャーリーズ・セロンが豪快に演じたフュリオサは主人公をしのぐほどの人気キャラクターに

3年前の『ダークナイト ライジング』などでトップスターの地位を確立していたトム・ハーディのマックスと同じくらい、それ以上に人気を得ていたのがバズカット姿のシャーリーズ・セロンが豪快に演じたフュリオサであり、本作から現在に至るまでに女性を主人公にしたアクション映画が数多く作られるようになったことを考えれば、ジョージ・ミラー監督が彼女を主人公にした新作に着手したのは必然と言えそう。

前作と同様、『マッドマックス:フュリオサ』は、またもカンヌ国際映画祭でお披露目され、世界公開となるので、新たな熱狂が巻き起こるのは確実だろう。

画像: ジョージ・ミラー監督がフュリオサを主人公にした新作に着手したのは必然と言える

ジョージ・ミラー監督がフュリオサを主人公にした新作に着手したのは必然と言える

ファン垂涎!
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』豪華封入特典付きコレクターズ・エディション 発売

『マッドマックス』制作45周年、そして『マッドマックス:フュリオサ』の劇場公開を記念して、『マッドマックス怒りのデス・ロード』の豪華封入特典付きコレクターズ・エディションが5月24日(金)に発売されることが決定した。

三方背アウターケースにスペシャルフォトブック(28P)、A3ポスター(3枚組・両面仕様)、ダブルサイド・アートカード(4枚組・両面仕様)を封入。さらにモノクロ版『マッドマックス 怒りのデス・ロード〈ブラック&クローム〉エディション』のブルーレイも収録。『マッドマックス:フュリオサ』に備えて、おさらいするのに最適の内容となっている。

画像: 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はなぜ〝伝説〞となったのか?

【初回限定生産】
マッドマックス 怒りのデス・ロード コレクターズ・エディション
〈4K ULTRA HD&ブルーレイセット〉
(3枚組/豪華封入特典付)
5/24 発売 8,580円(税込)

発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

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