2019年の「ライドwith ノーマン・リーダス」シーズン2プロモーション来日時にもSCREENの取材に応じてくれたノーマン。今回は「ウォーキング・デッド: ダリル・ディクソン」の取材ということもあり、筆者がダリルの顔がプリントされたTシャツを着て取材場所を訪れると、ノーマンは笑顔で迎えてくれた。そのあとノリノリで写真撮影に対応し、インタビューでは時折ユーモアを織り交ぜながら、本作の撮影エピソードを語ってくれた。(取材・文/奥村百恵、写真/久保田司)

“純粋さや正直さ、それが「ダリル・ディクソン」には詰まってるんだ”

ーーノーマンさんは制作総指揮に名前を連ねていますが、今回どういったところまで関わってらっしゃったのでしょうか。

「まずストーリーラインに関しては、僕がショーランナーを選んだんだ。それから、事前にフランスでロケを行うことが決まっていたから、クランクインの1ヶ月前に現地入りして、キャスティングやロケーション、武器や衣装などを選ぶ作業もしたよ。あと、シーズン1の最終話の終盤で流れるU2の『Seconds』という曲も『曲を使わせてほしい』とボノに直接僕から連絡をしてOKを貰ったんだ。今回プロデューサーとして関わることができて本当に楽しかったよ」

ーーフランスの美しい街並みに大量のウォーカーが歩いているシーンがとても印象的でした。撮影はどのように行ったのでしょうか。

「撮影したエリアはとても素敵な場所で、年配の方々が住む美しい家がたくさん並んでいたんだ。だけど『ウォーキング・デッド』と同じ世界観を作るために何トンものゴミを散乱させて、窓ガラスも割って物も壊して荒廃した街に変える必要があったんだ。だからちょっと申し訳ない気持ちになった。そこを200人ほどのウォーカーが歩くという光景を、その街に住んでいる人たちは外に出てきてじっと眺めていたよ。もちろん、撮影が終わったあとは綺麗に掃除をして帰ったから安心して(笑)」

ーー撮影現場を見ていた人たちはどんな様子でしたか。

「撮影現場を動画で撮っていた人がいて、それがYouTubeにアップされたからなのかフランスのニュースで大きく取り上げられてた」

ーーニュースになったんですね! 今回ダリルがモーニングスター(朝星棒)を武器として使うシーンがあり、とてもかっこよかったです。なぜあの武器にされたのでしょうか。

「『ウォーキング・デッド』で、敵のアルファらがヒルトップを襲撃してきた時に、ダリルが机からモーニングスターを掴んで戦いに行くという、スローモーションのかっこいいシーンがあったんだけど覚えてるかな?」

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ーー覚えています。

「モーニングスターは中世ではフレイルと呼ばれていた武器なんだけど、今回、修道院の武器庫にダリルが案内されるシーンがあって、その時にモーニングスターを見て“おお! この武器知ってる!”と思ったはずなんだ。だからこの武器を使うことにしたんだよ」

ーーローラン役のルイ・ピュエシュ・シグリウッツさんとはどのように関係性を作っていかれたのでしょうか。

「ルイは本作に出演するまで演技の経験がなかったから、たまに僕を真似して演じていたこともあったね。休憩中に僕の話し方を真似することもあったし、割と早い段階で関係性を作れることができたと思う。劇中でダリルがローランを怒鳴るシーンがあるんだけど、僕がどういう風に演じれば彼の感情を自然と動かせられるかがなんとなくわかっていたからやりやすかったね。今や彼のことを弟のように思ってる。シーズン2にはローランがパワフルで感情的になるシーンがあるんだけど、シーズン1の時よりももっと芝居が上手になっていたよ」

ーーアダム・ナガイティスさん演じるクインとは敵対している関係性ですが、6話で共闘する場面があり面白かったです。アダムさんとの撮影ではアドリブ芝居もあったのでしょうか?

「クインとダリルのアクションシーンの振り付けのほとんどは、撮影当日に作ったんだ。なぜなら二人が必要に迫られて、仕方なくチームとして動いていることをちゃんと表現したかったから。ただ、スタントチームがすごく派手な動きを要求してきてさ。『もっともっと!』って。だけどダリルが格闘技のような動きをしたりジャンプキックをするなんてヘンでしょ?(笑)。だからなるべくシンプルなアクションに変えて演じていたんだよ」

ーーダリルが切断したウォーカーの頭を、敵である生者の力のリーダー・ジュネに投げつけたシーンは鳥肌が立ちました。

「あのシーン面白いよね。でも撮影の時は投げるべき方向になかなか飛んでいかなくてめちゃくちゃ大変だったんだ。ジュネを演じたアンヌ・カリエールがウォーカーの頭を思わずキャッチしちゃって、『あ! ごめん!』って謝るハプニングもあったよ(笑)」

ーーダリルを長年演じてこられましたが、今後ダリルとしてやってみたいことはありますか。

「宇宙人を誘拐して拉致るなんてどうかな(笑)。「ダリル・ディクソン・イン・スペース」とかよくない?(笑)」

ーー急にSF要素が入るんですね(笑)。では最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

「いつも応援してくれてありがとう。『ウォーキング・デッド』がモンスター級の大成功を収める前の頃、シーズン4や5あたりかな、そこで描かれた純粋さや正直さがこのシリーズの魅力だと思っていて、それがダリルのシリーズには全部詰まっているんだ。役者もみんな本当に素晴らしいし、ぜひ何度も観てほしいな。次の『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソンーブック・オブ・キャロル(原題)』には、みんなが大好きなキャロルの魅力が詰まっているからお楽しみに」

ーーキャロルとダリルが再びタッグを組んで戦うのを楽しみにしています。

「キャロルは宇宙船から降りてくるよ。だって彼女は宇宙人だからね…って冗談だよ(笑)。ぜひ期待していて!」

Norman Reedus

1969年1月6日、アメリカ・フロリダ州生まれ。SFホラー『ミミック』(97)で映画デビュー。2010年から「ウォーキング・デッド」のメインキャラクターの一人ダリル役を演じている。ほか代表作にビデオゲーム「DEATH STRANDING」など。主演を務めた人気映画「処刑人」第3弾の製作も進行中。

「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」

画像2: “純粋さや正直さ、それが「ダリル・ディクソン」には詰まってるんだ”

世界的にヒットしたゾンビサバイバルドラマ「ウォーキング・デッド」で大人気のキャラクター、
ダリル・ディクソンを主人公に迎えて制作された本作。生存者のコミュニティー・コモンウェルスを旅立ち、海を漂流していたダリルがフランスに漂着するところから物語は始まる。ウォーカーや敵から逃れ、辿り着いた教会で修道女から助けられたダリルは、“救世主”と呼ばれている少年の護送を任されるが、その道を阻む新たな組織と対峙する。

「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」シーズン1 U-NEXTにて全話独占配信中
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