セレブからスタッフまで、今年のカンヌもいろいろありました
カンヌを華やかにするのはやはり豪華なセレブたち。最旬のスターからハリウッドの大御所まで一堂に集まって、今年もいろいろと話題を提供してくれました。
遅ればせながら#MeToo
アメリカで#MeToo運動が始まったとき、フランスの反応はいま一つだった。清教徒的なアメリカとカソリック的なフランスの文化の差だったのだろう。しかし、だからこそ嫌なものは嫌と言いにくくしてしまったとやっと反省、改めて性虐待について「もう黙らない」と声を上げようという17分の映画『Moi Aussi』が作られた。
監督は10代のころブノワ・ジャコ監督やジャック・ドワイヨン監督に性的虐待を受けていたと告発した女優ジュディット・ゴドレーシュ。ある視点部門の開会式で上映され、あいさつに立ったゴドレーシュは何回も涙をぬぐっていた。
パレスチナに連帯を! ケイトねぇさんかっこいいぞ
昨年10月ハマスの襲撃に対して始まり激しさを増しているイスラエルのパレスチナ自治区ガザ攻撃。対してカンヌ映画祭は特別上映でガザのトランスジェンダー女性を追った『La Belle de Gaza』を上映。監督週間ではパレスチナ難民の青年を描く『To a Land Unknown』を上映した。
映画祭は公式にUNHCRの親善大使であるケイト・ブランシェットの記者会見をセット。ブランシェットはソワレのレッド・カーペットに黒と白の裏地に緑をあしらったドレスを着用。レッド・カーペットで裾を翻して見せるとパレスチナの旗カラーになるという粋なパフォーマンスを見せた。
カンヌ映画祭にて、スト決行中
フリーの芸術家が一定収入を得られるように作られた失業保険のシステムなど国を挙げて芸術文化を支援してきたフランスだが、マクロン政権は労働法を変えようとしている。そもそも映画祭従事者はこの失業保険の範囲外とされているのも問題。
映画祭労働者組合はこれに対し、賃金の引き上げと芸術家失業保険への加入、及び労働法の改悪阻止を掲げてカンヌ映画祭期間中にストライキもやむなしとしていた。レッド・カーペット前でのシュプレヒコールやデモも行われたが、理解を示す映画人も多く、映画祭運営が止まるようなことは避けられた。
監督賞を受賞したミゲル・ゴメスは受賞者の会見に組合のマークを持参しかかげていた。組合に連帯を示したラジオフランスは2日間記者会見のデータをアップする作業をボイコット。けれど文句を言う人はいない。労働者は連帯するのだ。
ファッショニスタ対決!? エルVS.アニャ
ここのところカンヌのファッショニスタ、レッドカーペット・プリンセスったらエル・ファニングで決まりね、と思っていたのだが強敵現る!と思いましたね。はっきり言ってファニー・フェイスだよねーと前々から思っていたアニャ・テイラー=ジョイがすごい。グラマラスな往年のハリウッド女優をほうふつとさせるゴージャスさで、プリンセスなエルちゃんを圧倒する勢い。いや、参ったわ。
来年はぜひ審査員になって毎日とっかえひっかえドレスアップしてレッド・カーペットに登場していただきたいものです。
お久しぶりです。 大御所様御一行
今年のカンヌには大御所が集合。36年ぶりのメリル・ストリープ、コンペでは15年ぶりのフランシス・フォード・コッポラ、ジョージ・ルーカス、ポール・シュレイダー、ケヴィン・コスナーにデミ・ムーア、デヴィッド・クローネンバーグと1970年代から1990年代のスターや監督が大集合の懐かし地獄(笑)。
すごいのは皆さん新作を持ってきて現役バリバリをみせつけているところ。と、いってもやりたい放題の世界を構築するやり方やその美的センスは変わってないのね~、懲りないのね~とも思うコッポラ御大。どうにかアメリカの配給が決まったようでホッとしました。
仕事熱心すぎる警備員?!
元デスティニーズ・チャイルドで歌手兼女優のケリー・ローランド。5月21日『Marcello Mio』のソワレ、レッド・カーペットに登場した際に警備員ともめたところを動画でキャッチされていた。階段下のレッド・カーペットでポーズをとり撮影された後、階段を上がっているところで振り返った際に女性警備員が肩に手を添えて早く上がるよう促したらしい。それにかっとなったケリーが指を突き付けて叱責したという。
ケリーが数日後amfARのカンヌ・ガラで言ったことによると、同じところに他のセレブもいたのに私だけが促された、つまり人種差別されたので怒った、とのこと。後日、ドミニカの女優や少女時代のユナも同じスタッフに促されていることから、そういうところも可能性はあるかもしれない…。
ただ私が思うにですね、『Machello…』はカトリーヌ・ドヌーヴはじめフランスの大物スター勢揃いの映画なんですよ。彼らが最後にやってきて撮影して階段上がってまた挨拶してで普段以上に時間がかかることはスタッフはわかってます。皆、カメラマンにサービスするしね。だからセレブ枠の人でもできるだけ早く進んでほしかった。階段上りかけてふりかえってまたポーズとかやめて~という気持ちだった。のかなと思うんですよね。しらんけど。
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今年のカンヌのベストドレッサーは誰?
映画祭の大きな見どころは、やはりセレブたちがズラリ集合するレッドカーペットやフォトコールなどで見せるファッションの数々。今年も世界中の注目を浴びながら、豪華なスターたちが一流デザイナーたちの気合の入ったドレスやジュエリー、個性的な着こなしを披露してくれました。
『マッドマックス:フュリオサ』のヒロインを演じたアニャ・テイラー=ジョイが纏っていたディオールのベージュのオートクチュールドレスが神々しいと評判に。刺繍になんと1200時間かかっているとか!
今年もカンヌのミューズ=エル・ファニングが来場。今回多くの女優が纏っていたネイキッドドレスの中でも、エルがチョイスしたグッチのホワイトドレスは彼女の柔らかな個性にぴったり。ジュエリーはカルティエ。
今回の審査員長で連日異なるドレスを披露してくれたグレタ・ガーウィグ。クロージング・セレモニーにはセリーヌのワンショルダードレスでエレガントな装いで出席。ジュエリーはショパール。
フランス映画『The Most Precious of Cargoes』のプレミアに来場したジョーイ・キング。タイトなシアー素材のネイキッドブルードレスはコン・チーのデザイン。エレガントでいてセクシーな魅力を醸している。
『マッドマックス:フュリオサ』のプレミアでヘムズワースはトム・フォードをノータイでゴージャスに着こなし、さすがのパーフェクトボディ・オーラを発揮。ウォッチとカフリンクスはショパールで統一。
コンペ部門出品作『憐れみの3章』でまたカンヌに戻って来たエマ・ストーンは、ルイ・ヴィトンのワインレッドの深いVネックが印象的なスパンコールドレスとジュエリーでドラマチックな演出を引き出した。
コンペ部門出品作『Limonov- The Ballad』の上映会場にやってきたベン・ウィショーはスーツもシューズもボッデガ・ヴェネタでまとめつつ、堅苦しいシャツとタイはなしでフォーマルな場に出るのが彼らしい?
『Emilia Pérez』で見事女優賞を共同受賞したゾーイ・サルダナとセレーナ・ゴメスが同作プレミア上映のレッドカーペットでツーショットを披露。2人ともサンローランのブラックドレスを基調に、セレーナはエレガントでシックなオフショルダーのドレスとブルガリのジュエリーの組み合わせ、ゾーイはオーバースカートとリボンでアクセントをつけたドレスでそれぞれの個性を感じさせた。
Photo by Lionel Hahn/Getty Images, Samir Hussein/WireImage, Dominique Charriau/WireImage, Daniele Venturelli/WireImage, Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images, Marc Piasecki/FilmMagic