7月16日(火)一周忌の命日には、東京と大阪で『ジェーンとシャルロット』を特別追悼上映
長い闘病生活を経て復調を伝えられ、パリ・オランピア劇場での公演に向けて準備を進めてているとその動向が報道されていた矢先の2023年7月16日に急逝したジェーン・バーキン。マクロン大統領が弔意を示し、カトリーヌ・ドヌーヴ、シャーロット・ランプリングら多くの映画人・音楽家がその死を悼んだ。葬儀は全仏に生中継され、国民の悲しみは計り知れず、また親日家だった彼女の訃報は、日本のファンの心の中にも、悲しみの記憶として深く刻まれた。あれから一年。ジェーン・バーキンの魅力を再認識するために、弾けるような彼女の美しさと生命力を封じ込めたような二作品を、新たにデジタルリストア版・日本語字幕新訳版で公開される。
ヌーヴェルバーグ左岸派の母として、『幸福』『歌う女、歌わない女』『冬の旅』などの映画史に残る作品を残し、2019年に90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ。彼女がプライベートでも親交のあったジェーン・バーキンという女性を、自由な創造的アプローチで映像化したのが、今回上映する『アニエス V.によるジェーン B.』と『カンフーマスター!』。この二作品はバーキンのパリの私邸とロンドンの実家で撮影されており、出演しているのも彼女の家族や友人たち。『カンフーマスター!』ではヴァルダと夫ジャック・ドゥミ監督の実子であるマチュー・ドゥミが、バーキンの相手役を演じるなど、非常にインティメイトな関係性の中で撮影され、ドキュメントとファンタジーが融合されたような、ヴァルダらしい世界観が描かれている。
ポスターデザインを手掛けるのは、日本における映画ポスターデザインの第一任者、大島依堤亜氏。今回三つのパターンのデザインを発表した。ジェーン・バーキンのBとアニエス・ヴァルダのAを大胆に配置し、フランスを代表する二人の女性の世界観を、大島氏らしいユーモアとフェミニンでスタイリッシュな表情に仕上げている。これまでフランソワ・オゾンやアキカウリスマキなどのヨーロッパ映画を多数手掛けている大島氏だが、アニエスとジェーンの作品を手がけるのはこれが初めて。
予告編を演出したのは、『ジェーンとシャルロット』の遠山慎二氏。セルジュ・ゲンズブールはもちろん、ドジャースやヤードバーズなどのヒットチューンを配したクールな演出に仕上げた。シャルロット・ゲンズブールやルー・ドワイヨン、ジャン=ピエール・レオーなどの顔が見られるのも、フランス映画ファンには嬉しい。また今回、日本語字幕も新訳版で公開。『アニエス V.によるジェーン B.』は、『ジェーンとシャルロット』『恐るべき子供たち4Kレストア版』の横井和子氏、『カンフーマスター!』は『ソウルに帰る』『エッフェル塔〜創造者の愛〜』の橋本裕充氏が手がけた。
さらにジェーン・バーキン一周忌にあたる7月16日(火)には、娘シャルロット・ゲンズブールが母親の真実の姿に迫ったドキュメンタリーで、バーキンの遺作となった『ジェーンとシャルロット』を、バーキン本人と交流のあった著名人を招いて、東京(ヒューマントラストシネマ有楽町)と大阪(テアトル梅田)で1日限定特別上映することも決定。
『ジェーンとシャルロット』ジェーン・バーキン遺作
監督:シャルロット・ゲンズブール
日時:2024年7月16日(火) 18:00〜(予定)
東京会場: ヒューマントラストシネマ有楽町
ゲスト: 村上香住子(著述家) / 松山晋也(音楽評論家)
大阪会場: テアトル梅田
ゲスト: 木村宗慎(茶道家) / 岡村詩野(音楽評論家・音楽ライター)
入場料: 2,500円(税込)*ご来場者全員に当日限定ポスタープレゼント
●上映作品紹介
『アニエス V.によるジェーン B.』
Jane b. par agnes v.
デジタルレストア版
「ジェーン、いつもカメラのレンズを直視することを躊躇うのはなぜ?」
ジェーンが40歳の誕生日に、自身の30歳の誕生日を回想する間、アニエス・ヴァルダの伝説の女性への尽きることのないイメージがヴィヴィッドに展開する。その空想は、犯罪映画の妖婦、サイレントシネマの凸凹コンビ、モンローのような男たちのファンタジーの対象、よくあるメロドラマの恋人たち、西部劇のカラミティ・ジェーン、ターザンとジェーン、そしてジャンヌ・ダルクへと、ジェーンのイメージを自由自在に拡張させていく。一方で綴られるジェーンの日常のスケッチ。そこにはセルジュ・ゲンズブールや娘たちとの時間も織り込まれる。そのどれもが、シャイで大胆で逞しくて危うくて儚くて美しい、ジェーン・バーキンの魅力が余す事なく詰まっている。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品
ジェーン・バーキン / ジャン=ピエール・レオー ラウラ・ベティ フィリップ・レオタール アラン・スーション セルジュ・ゲンズブール シャルロット・ゲンズブール マチュー・ドゥミー フレッド・ショペル
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 99分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕翻訳 : 横井和子 ]
『カンフーマスター!』
Kung-fu Master
デジタルレストア版
ジェーン・バーキンの発案にア二エス・ヴァルダが応じる形で映画化が実現した作品。この作品の制作の延長線上で、『アニエスV.によるジェーンB.』が撮影されている。娘ルシー(シャルロット・ゲンズブール)が自宅の庭で開いたパーティーで、泥酔した同級生の少年ジュリアン(マチュー・ドゥミ)を介抱したマリー・ジェーン(ジェーン・バーキン)は、あろうことか15歳の少年に不思議な感情を抱く。ジュリアンもまた、40歳のマリー・ジェーンに恋愛感情を抱くようになる。微妙な力関係の中、人目を盗んで密会を重ねる二人。そんなある日、二人がキスを交わしているところを、ルシーに目撃されてしまう。パリとロンドンのジェーンの自宅と実家で撮影。シャルロットの他、ルー・ドワイヨン、アンドリュー・バーキン、ジェーンの実の両親などファミリーが総出演している。タイトルはジュリアンが夢中になっているゲームの名前が由来。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品
ジェーン・バーキン マチュー・ドゥミ / シャルロット・ゲンズブール ルー・ドワイヨン デヴィッド・バーキン ジュディ・キャンプベル アンドリュー・バーキン
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 88分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕翻訳 : 橋本裕充]
リアリーライクフィルムズ配給