デヴ・パテル(監督・主演)&ジョーダン・ピール(製作)Wインタビュー
“ブルース・リーの映画を見て育ち、もし自分の映画を作れることになったらアクション映画だと思っていました” ーデヴ・パテル
──あなたが良い俳優なのはみんな知っていますが、こんなすばらしいアクション、監督、脚本も手掛けたことに観た人は驚くことでしょう。そもそもこの映画はどんなところから始まったのですか?
デヴ「子どもの頃からアクション映画が大好きだったんです。僕はブルース・リーの映画を見て育ちました。もう寝なきゃいけない時間なのに、『燃えよドラゴン』をずっと見たりしていたものです。あの映画からは大きな影響を受けました。僕の部屋の壁は、ブルース・リー関係のもので埋め尽くされていました。彼の影響で、僕自身もマーシャルアーツを習うようになりましたし、もし幸運にも自分の映画を作れることになったらアクション映画だと思っていたんです」
──ジョーダンはどの段階でこの映画にかかわることになったのですか?
ジョーダン「撮影が終わり、編集作業がいくらか終わった頃です。デヴが監督し、主演したこの映画を、僕はすごいと思いました。アクションのレベルが高く、とても楽しく新しいことをやりつつも、感動的なストーリーを犠牲にしていないからです。キャラクターやストーリーに思い入れができないのなら、アクションがすごくても意味はないと僕は思っています。この映画の中心にあるのは、リベンジ。そこがすばらしいと思いました」
──この作品はジョーダンが作る映画に通じるものがあるのでは?
ジョーダン「デヴは俳優で、映画を監督するのはこれが初めて。そんな彼が作った映画を見ながら、僕たちには共通する部分がたくさんあると気づきました。そのひとつに、僕たちはどちらもジャンルの型にはめられることを望まないというのがあります。僕たちは観客にアクションを見せたいし、怖がらせたいし、どきどきさせたいし、笑わせたい。歓声を上げさせるようなことをやりたい。『モンキーマン』は特別な形でそれをやる映画なのです」
“僕たちはどちらも“そんな映画が作られることはありえない”と言われてきたような映画を作ってみせると決めたんです” ージョーダン・ピール
──あなたは初めて監督に挑戦し、主演もするどころか、激しいアクションもたっぷりやりますね。そこまで背負うことに迷いはありましたか?
デヴ「そうなることは早くからわかっていました。このプロジェクトは僕が10年以上温めてきたもの。僕自身が主演するのでなければ、お金も集まらず、実現はしないとわかっていたのです。それに、僕自身がやることで、自分の持つビジョンをある程度守れるという意味もありました。僕が語りたかったのは、真のアンダードッグ(負け犬)の話。しかも、それは僕みたいに見える人です。このジャンルに欠けているのは、そこ。僕みたいに見える人は出てきませんし、出てきたとしても笑いを取るための脇役です。僕は、僕のカルチャー、神話、祖先、ジョーダンの作品も含め僕が見てきた大好きな映画の要素を盛り込んだ映画を作りたいと思いました。それが僕のミッションでした」
──あなた自身はすでに有名な俳優ですが、初監督となると資金集めや実現にこぎつける上で苦労されたのでしょうか?
ジョーダン「“すごく大変だったに違いない”と感じさせることも、この映画のアイデンティティの一部だと思います」
デヴ「ええ、めちゃくちゃ大変でしたよ(笑)」
ジョーダン「それを感じますよ。このすばらしい映画を作るためにあなたが乗り越えたことを僕は感じました。今日では、自分の心を守るためにも、楽な道を選ぶことがあります。でも、彼はものすごくたくさんの努力をしたのです。特別なものを作るのに、10年かかることが、時にはあるのです」
デヴ「あなたが(監督デビュー作の)『ゲット・アウト』を作るのにはどれだけかかったのですか?」
ジョーダン「(ゴーサインをもらうまで)8年です。それから実際に製作するのに、また2年。僕とデヴは、人生の同じようなところにいたんだと思います。僕たちはどちらも、“そんな映画が作られることはありえない”と言われてきたような映画を作ってみせると決めたのです。それには時間がかかります。そして、戦い続けなければいけません。この2本の映画には、それが見て取れると思います。ですが、同時にそれはこれらの映画に自由を与え、ほかと違うものにしたのです」
『モンキーマン』
2024年8月23日(金)公開
アメリカ=カナダ=シンガポール=インド/2024/2時間2分/配給:パルコ ユニバーサル映画
監督:デヴ・パテル
出演:デヴ・パテル、シャールト・コプリー、ピトバッシュ、ヴィピン・シャルマ、シカンダル・ケール
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