2024年秋、これまでのフランス映画のイメージを一新する変わり種作品が相次いで日本公開を迎える。その作品のジャンルは、日本では不動の人気を誇るホラー・スリラー。どの作品も斬新な恐怖のアイディアと社会的なテーマ、そして濃厚な人間ドラマを練り上げ、見応えたっぷりの物語が描かれる。ジャパニーズ・ホラーで目が肥えた日本の観客も満足させる秀作フレンチホラー・スリラー映画を3本ご紹介!

『動物界』 

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人間が様々な動物に変異する奇病が蔓延している近未来を舞台に、人種差別、移民、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包したドラマを描き、観客を釘付けにする“突然変異”のアニマライズ・スリラー。

2023年にフランスで公開され、観客動員100万人越えの大ヒット。フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞では、日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぐ最多12部門のノミネートを達成した。

最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、ジャック・オディアール監督の『真夜中のピアニスト』(05)、フランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』(14)などでセザール賞主演男優賞に5度ノミネートされた実績を誇るロマン・デュリス。名優イレーヌ・ジャコブの息子であり、『Winterboy』でセザール賞有望若手男優賞候補になった新星ポール・キルシェが、少しずつ動物化していくエミールの心の叫びを、驚くべき繊細さで体現する。さらに、『アデル、ブルーは熱い色』(13)のアデル・エグザルコブロスら、フランス映画界を代表する豪華実力派が集結。

監督・脚本を務めたのはトマ・カイエ。2014年のデビュー作『LesCombattants(英題:Love atFirst Fight)』で数々の賞に輝いた新鋭である。本作は「『ロブスター』の系譜に生まれた、極上の家族ドラマ(DEADLINE)」、「革新的なビジュアル(SCREENDAILY)」、「2023年度フランス映画の頂点(CHALLENGE)」と批評家たちから絶賛を受けた。

<ストーリー> 
近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。“新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める…。人間と新生物の分断が激化するなかで、親子が下した最後の決断とは——?

『動物界』 
11月8日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開 
監督・脚本:トマ・カイエ 
出演:ロマン・デュリス、ポール・キルシェ、アデル・エグザルコプロス、トム・メルシエ、ビリー・ブラン 
配給:キノフィルムズ 
© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.

『ACIDE/アシッド』

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人、家、街、すべてを溶かしていく、超高濃度の死の酸性雨が降り出した世界を舞台に、極限状態に陥った人々の脱出劇を描いた黙示録的な衝撃作。監督はジュスト・フィリッポ。イナゴの狂気を描いたNetflixのホラー映画『群がり』(2020)で長編デビューを果たした新鋭である。

2作目となる『ACIDE/アシッド』では、ダイナミックなワイドショットと視覚効果を駆使して迫り来る“殺人雲”から降り注ぎ、人間や動物はもちろんのこと、車や建造物までも溶かす“死の酸性雨”の恐ろしさを生々しく映し出し、第76回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門やシッチェス・カタロニア国際映画祭に出品され、第49回セザール賞視覚効果賞にノミネートを果たした。

<ストーリー> 
異常な猛暑に見舞われたフランスの上空に突如、不気味な雲が現れる。それは南米に壊滅的な被害をもたらした酸性雨を降らせる危険な雲だった。あらゆるものを溶かす強酸の雨は容赦なく大勢の人間の命を奪っていく。フランス全土が大混乱に陥るなか、安全な場所を求めてあてどなく彷徨う親子の行く手には高濃度酸性雨のさらなる恐怖が待ち受けていた……。

『ACIDE/アシッド』 
全国公開中 
監督:ジュスト・フィリッポ 
出演: ギヨーム・カネ、レティシア・ドッシュ、ペイシェンス・ミュンヘンバッハ 
配給:ロングライド 
©BONNE PIOCHE CINEMA, PATHE FILMS, FRANCE 3 CINEMA, CANEO FILMS – 2023

『スパイダー/増殖』 

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過去20年間のフランス・ホラー映画史上最大のヒットを記録した “毒グモパニックホラー”。メガホンをとったのは、1989年生まれの新鋭セヴァスチャン・ヴァニセック監督。衝撃のデビューを飾った本作は、初登場第1位を獲得後、第49回セザール賞では、最優秀新人監督賞と最優秀視覚効果賞にノミネートを果たし、第35回シッチェス・ファンタスティック映画祭では審査員賞を受賞。ホラーの帝王スティーヴン・キングは「恐ろしく、気持ち悪く、よくできている」と大絶賛し、サム・ライミ監督からは『死霊のはらわた』シリーズのスピンオフ作品の共同脚本兼監督のオファーを受け、製作が決定するなど、ホラー界の巨匠から熱いラブコールを受ける注目監督のひとり。

<ストーリー> 
パリ郊外の団地で暮らす、エキゾチックアニマル愛好家のカレブはある日、珍しい毒グモを手に入れる。日々、スニーカーの転売で稼ぐカレブは、同じアパートに住むトゥマニから注文を受けたスニーカーを渡す。その直後、原因不明の死を遂げるトゥマニ。警察は謎のウィルスが発生していると判断し、建物は封鎖され住民たちは閉じ込められてしまう。その裏で、カレブの購入した毒グモが脱走し、猛スピードで繁殖し始めていて……。

『スパイダー/増殖』 
11月1日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 
監督・脚本:セヴァスチャン・ヴァニセック 
脚本:フローラン・ベルナール 
出演:テオ・クリスティーヌ ソフィア・ルサーフル ジェローム・ニール リサ・ニャルコ フィネガン・オールドフィールド 
配給:アンプラグド 
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