第76回カンヌ国際映画祭 カンヌ・プルミエール正式出品、横浜フランス映画祭 2024で観客賞を受賞した『画家ボナール ピエールとマルト』が公開される。この度、ピエール・ボナールとクロード・モネ、ふたりの名画家が過ごした穏やかで美しい時間を映し出す本編映像が解禁となった。

睡蓮をめぐってピエール・ボナールとクロード・モネが語り合う

20世紀絵画の巨匠のひとり、ナビ派の代表格であるピエール・ボナール。大胆な色彩と日常の些細な事象を好んで描いたことで知られるが、平面的な画面構成を試みたり、見ることのプロセスそのものを描こうとするなど、終生実験的な姿勢を貫いていた。彼は日本美術から大きな影響を受け「日本かぶれのナビ」とも呼ばれた。近年の再評価と人気は非常に高く、20世紀の最も偉大な画家の一人という評価が揺るぎないものとなっている。2018年には日本でも国立新美術館でオルセー美術館のコレクションを中心とした大規模な展覧会が催された。

本作では、そんな彼と生涯の伴侶となるマルトの半生を実話に基づき描いている。マルトはピエールにとって、単なるミューズをはるかに超えた存在となるのだが、二人の関係は謎に満ちていた。当時の常識からはかけ離れた破天荒な愛の形を営みつつも、生涯をかけ共同で充実した芸術的成果を生み出していく。

ピエールを『セラヴィ!』『夜明けの祈り』でフランス映画界実力派の代表格に称されるヴァンサン・マケーニュが演じ、妻・マルト役を『ヒアアフター』『少年と自転車』『メビウス』『幻滅』など数々の名作で知られる今やフランスを代表する名女優・セシル・ドゥ・フランスが演じる。メガホンを取るのは名匠マルタン・プロヴォ監督。『5月の花嫁学校』『ルージュの手紙』『ヴィオレット ある作家の肖像』『セラフィーヌの庭』などフランス映画らしい芸術作品に定評がある。

今回解禁となったのは、ピエール・ボナールとクロード・モネが睡蓮をめぐって会話をし、スケッチをするワンシーン。

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セーヌ川を小舟で渡ってきたモネは、ボナールの案内で草木の間を縫いながら歩き、水辺へと辿り着くと……。双眼鏡を構えた先にあるのは、もっとも珍しい種である”アルバ”という青い睡蓮。自然の中で暮らし、この”アルバ”を偶然見つけたというボナールに対し「君は幸運だよ」というモネは、自身は莫大な費用をかけて睡蓮を栽培しているのだと語りながら筆を走らせる。

実際にボナールが家を構えていたフランス・ノルマンディー地方と、モネが晩年を過ごしたヴェルニーとは5kmほどしか離れておらず、深い親交があったことが窺えるシーン。

モネの描く睡蓮のスケッチの鮮やかさや二人に降り注ぐ木漏れ日の眩さが、色彩あふれる暮らしの一片を感じさせ、誰もが一度は聞いたことのある・見たことのある名画家ふたりの人生がそのまま飛び出してきたような、穏やかで美しい時間を切り取った映像となっている。

画像1: 横浜フランス映画祭 2024 観客賞受賞『画家ボナール ピエールとマルト』本編映像解禁!
画像2: 横浜フランス映画祭 2024 観客賞受賞『画家ボナール ピエールとマルト』本編映像解禁!

【STORY】
1893年、ピエールとマルトは画家とモデルとしてパリで出会う。ブルジョア出身のピエールは謎めいて型破りなマルトに強く惹かれ、二人はともに暮らし始める。田舎に家を見つけ社交的な世界から遠ざかり、クロード・モネなど限られた友人との交流を除いては半ば隠遁生活の中で絵画制作に励むピエール。マルトをモデルにした赤裸々な絵画は評判となりピエールは展覧会で大成功をおさめる。1914年第一次世界大戦が始まった夏、仕事で毎週パリに赴くピエールに不安がつのるマルト、終戦間近にはパリのアトリエでピエールのモデルになっている美術学校生ルネと出くわす。なぜかマルトはルネを気に入り3人の関係は複雑なものに……。

『画家ボナール ピエールとマルト』 
9月20日(金)より、シネスイッチ銀座・UPLINK吉祥寺ほか全国ロードショー 
監督:マルタン・プロヴォ 
出演: セシル・ドゥ・フランス、ヴァンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン、アヌーク・グランベール、アンドレ・マルコン 
2023年/フランス/フランス語/123分/1:1.85/5.1ch/原題:BONNARD, Pierre et Marthe/日本語字幕:松岡葉子 
配給:オンリー・ハーツ 
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ 
本国公開日:2024年1月10日(初登場フランス映画1位) 
(c)2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk

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