出典元「Kofic」
マ・ドンソク/마동석 プロフィール
1971年3月1日生まれ、韓国・ソウル出身。18歳で家族と共にアメリカへ移住し、アメリカ国籍を取得。子どもの頃に観た『ロッキー』の影響でボクシングを始め、俳優を志すようになる。1994年にアメリカでミュージカル俳優としてデビューし、2000年代からは韓国で本格的に俳優活動をスタート。『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)、『犯罪都市』(17)でブレイクし『エターナルズ』(21)でハリウッド進出も果たす。また『悪人伝』(19)ハリウッドリメイク版では、シルヴェスター・スタローンと共同プロデュースおよび主演を務める。
“エンタメ作品を作ったり、エンタメ作品で演じることは簡単なことではないと気づいてもらえればと思っています”
──『犯罪都市 PUNISHMENT』のボクシングシーンは際立っています。この作品において、アクションシーンを準備する際に何に重きを置きましたか?
「僕が若い時、『ロッキー』を見て、ボクサーになることを夢見るようになりました。14歳でボクシングを始めたおかげで、現在、映画で生活することができています。山を走り登ったり、スパーリングや試合をしたり、眼窩骨折しても激しいトレーニングをしていました。しかし、バイク事故で肩を怪我してしまったことにより、もうこれ以上ボクシングをすることができないと言われてしまいました。休養後、テキサスに住んでいる間にボクシングを再開しました。ボクシングへの情熱がまた再燃したんです。」
「韓国に戻り俳優としてのキャリアをスタートした後は、いつもボクシングアクションを紹介したいと思っていました。だけど、俳優としてはプロデューサーが求めるアクションシーンを提供せねばならず、自分が知っていたり、生み出したりした動きはできませんでした。僕が自分で立ち上げた『犯罪都市』シリーズでは、長きにわたる夢を満たすことができました。次に、退屈だろうけど、ボクシングについて詳しく話させてください。これもインタビューに加えてくれますか?」
──もちろんです(笑)
「ボクシングにはインファイト、アウトボクシング、ボクサーパンチャー、スラッガーの4つのスタイルがあります。インファイトは近づいて力強くパンチを繰り出すスタイルで、それに対してアウトボクシングは、対戦相手が届かない距離から素早く打って、動くスタイルです。マイク・タイソンは有名なインファイターで、モハメド・アリやフロイド・メイウェザーなんかはアウトボクサーです。ボクサーパンチャーは、なんでもできるオールラウンダーなボクサーでシュガー・レイ・レナードのようなタイプです。最後に、スラッガーは他のスタイルほどテクニックを多くは持たないタイプです。しかし、強烈なパンチで勝つタイプで、ジョージ・フォアマンや…マ・ドンソクですね(笑)」
──リアルなボクシングの動きを映画に組み込む上で、何か大変だったことはありましたか?
「パンチが体や顔にとても近くなることですね。時々、顔からたった1㎝のところで止めたりするのですが、セットでは危険につながりかねないです。二名以上が一緒にボクシングアクションシーンをする際は、その動きをリアルに、かつ、映画的にする必要がある。『犯罪都市』シリーズはリアリティを追及しているため、ファストモーションを使わずに、実際のスピードで戦っています。一瞬輝くディティールを捉えることに大変な努力を費やしています」
──いろいろなことが不確かな状況で、何があなたを励まし、諦めさせなかったのでしょうか?
「子供のころは、ボクシング以外にはすぐに飽きて、何事にも熱中できませんでした。ボクシングでトップに立ったと感じた時でさえ、上には上がいるという風に感じており、もっとやらなきゃと感じていました。それが理由で、長い間ボクシングに熱中していたんです。アメリカで苦労しながらトレーナーとして生計を立てられるようやってきたけど、どうしても俳優になりたかったから、全て捨てて韓国に戻ったんです。演技を始めてからは、振り返りませんでした。演技をすればするほど、演じることは僕を魅了していきました。演技はボクシングのようです。目標に届きそうと思っても、それはまた遠く離れるので、僕自身をチャレンジさせ続けさせたいと思わせてくれました。この業界に長くいる為には、よりよくいなければならないので、何をするべきかを見つけることに沢山の時間を費やしました」
──マ・ドンソクさんが代表的なアクションスターになるところを見たいです。
「アクションスターは自身のブランドで作品を作るのです。僕より武術に長けている人は多いですが、僕の強みはボクシングや総合格闘技のような実際の戦闘にあります。例えば、ドウェイン・ジョンソンはどちらかと言うとパフォーマンス・レスラーですよね。実際のスポーツからアクション映画に移行した人は多くありません。例えば、タイソン・フューリーは偉大なヘビー級ボクシングチャンピオンですが、演技はできません。本物の戦闘の経験を持ち、演技力も兼ね備えた人物によるアクション映画というのはある観客層にとっては特別なものになり得るのです」
──それはこのジャンルへの偏見のせいでしょうか?
「韓国では、アクション・エンタメのジャンルへの映画的な価値があまり高くありません。『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズが素晴らしい演技をしようとも、演技賞の候補としては滅多に話に出てきません。人間のジレンマや人生の意味を扱う映画のほうが価値があるということには賛成です。しかし、エンタメ作品を作ったり、エンタメ作品で演じることは簡単なことではないと気づいてもらえればと思っています」
──「犯罪都市」シリーズのキャリアの成功がハリウッドでのプロデューサーとしての認知に大きく貢献しているようですね。
「海外では多くの方が『犯罪都市』シリーズを観ています。過去には、『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『エターナルズ』を観て手紙を書いてくれるファンがほとんどでしたが、最近は『犯罪都市』シリーズでファンになってくれた方も多いです。映画は言語や国境を本当に超えますね。幸運にも、『犯罪都市』は韓国でヒットし、僕はこの作品のプロデューサーでした。キャスティングやクリエイティブの側面で多くの決定が僕の確認を通して行われました。海外にいる時は、Zoomを通してミーティングやコラボレーションを行ったんですよ」
──『新感染 ファイナル・エクスプレス』でハリウッドの注目を集めたあと、複数のプロジェクトを行っているようですね。インターナショナルでの活動に力を入れていたのでしょうか?
「長い間、仕事のためにアメリカを行き来していました。アメリカの友人は『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『犯罪都市』シリーズを大変気に入ってくれています。『スパイダーマン』シリーズなどマーベル作品にも何度か出演するチャンスもありましたし、『ジョン・ウィック』シリーズの2〜4作目の出演オファーもありました。残念ながら、『悪人伝』があったので『ジョン・ウィック:チャプター2』には参加できず、『Holy Night:Demon Hunters(英題)』のために『ジョン・ウィック:パラベラム』も断念しました。」
「チャド・スタエルスキ監督は連絡をくれて、別の作品でご一緒したいと言ってくれました。脚本ができたら送ってくれるそうなので、心待ちにしています。現在は、韓国よりアメリカでオファーを多くいただいています。また、日本やその他の国でもプロジェクトの提案をいただいています」
──マ・ドンソクさんは大変愛されている俳優で、国籍や言語に関わらず観客から賞賛されていますね。インスタグラムでハローキティの携帯ケースをつけて撮った自撮り動画は13億回再生で、960万のイイネがつきましたね。
「シンプルな動画だったので、こんなに大事になるとは思ってもみませんでした。インスタグラムで面白い動画を投稿した時に、ある人がメッセージを送ってくれました。『数か月間笑うことができずに落ち込んでいましたが、あなたの写真を見て初めて笑顔になれました。ありがとう』と言ってくれたのです。このコメントに非常に感動したので、映画の宣伝とは別に、人々を幸せにできる内容を投稿することを心がけているのです。また、これは僕が映画を作る根本的な理由のひとつでもあります。俳優として、プロデューサーとして、エンターテイナーとして、人々に喜びを届けたいです」
『犯罪都市 PUNISHMENT』STORY
ヤクザも恐れる怪物刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)とソウル広域捜査隊は、デリバリーアプリを悪用した麻薬密売事件を捜査していた。捜査を進めると手配中のアプリ開発者が謎の死を遂げた事件の背後に、フィリピンに拠点を置く国際IT犯罪組織の存在を突き止める。組織のリーダーは、拉致、監禁、暴行、殺人をいとわず、韓国の違法オンラインカジノ市場を掌握した特殊部隊出身の“元傭兵“ペク・チャンギ(キム・ムヨル)。マ刑事は、IT犯罪計画を殲滅するため、広域捜査隊、サイバー捜査隊と新たなチームを結成し捜査を始めるのだが…。
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『범죄도시4(The Roundup: Punishment)』
2024年9月27日(金)公開
韓国/2024/1時間49分/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督:ホ・ミョンヘン
出演:マ・ドンソク、キム・ムヨル、パク・ジファン、イ・ドンフィ