季節も秋になり、そろそろ次年度の映画賞レースが始まるシーズンに突入。重要な映画祭も開催され、早くも受賞予想がちらほら聞こえ始めていますが、賞を狙う年末公開作品が待機する中、2つの有力作品が日本公開されます。今回はカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した名匠ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『憐れみの3章』。その気になる内容はどんなものか、先陣を切って詳細をお届け!(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

2025年主要な映画祭・映画賞のスケジュール

  • 2024年
    9月27日 ニューヨーク・フィルム・フェスティバル
    10月23日 AFIフィルム・フェスティバル
    11月17日 ガバナーズ・アワード
    12月2日 ゴッサム・アワード
    12月9日 ゴールデングローブ賞ノミネーション
  • 2025年
    1月5日 ゴールデングローブ賞授賞式
    1月17日 アカデミー賞ノミネーション
    1月26日 サテライト・アワード
    2月8日 全米監督協会賞
    2月22日 スピリット・アワード
    2月23日 全米俳優協会賞
    3月2日 アカデミー賞授賞式
    (2024年9月上旬現在の予定、日程は現地時間)

イントロダクション

画像: イントロダクション

『哀れなるものたち』でベネチア国際映画祭金獅子賞や、アカデミー賞4部門を受賞するなど大成功を収めたばかりのヨルゴス・ランティモス監督が、前作から一年も経たず発表した新作は三つの独立した物語から、支配と欲望、愛と服従、信仰と妄信の間で揺れ動く人間の本質に、ユーモラスかつ残酷なタッチで迫った独特なスタイルのドラマ。出色の出演者たちは三つの物語でそれぞれ異なるキャラクターを演じ、先日のカンヌ国際映画祭ではその中からジェシー・プレモンスが最優秀男優賞を受賞している。

 他に『哀れなるものたち』でオスカー主演女優賞を受賞したエマ・ストーン、同作のウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーが連続出演。『女王陛下のお気に入り』のジョー・アルウィンがランティモス作品に帰還し、さらに『ザ・ホエール』のホン・チャウら実力派俳優が共演。脚本はランティモスと監督と5度目のタッグになるエフティミス・フィリップの共同。撮影は常連のロビー・ライアン、音楽も前作に続きジャースキン・フェンドリックスが担当している。

あらすじ

R.M.F.の死

画像: R.M.F.の死

 故意に自身の運転する車で別の車に追突事故を起こし病院に運ばれたロバート(プレモンス)。軽症で家に戻った彼に上司のレイモンド(デフォー)から高価な贈りものが届いていた。レイモンドは部下ロバートの私生活を含むすべての行動を管理していた。ロバートの妻サラ(チャウ)の流産もレイモンドが仕組んだことだった。レイモンドはロバートに今度はもっと高速で同じ車に衝突事故を起こすよう強要するが、ロバートがこれを渋るとサラが行方不明になった。上司の信頼を失ったと思い呆然となったロバートは、レイモンドに言われたバーに出向き自傷行為に出ると、そこに居合わせた女性リタ(ストーン)に助けられた。そのお礼にと彼女をディナーに誘ったロバートだが、なんとリタは全く同じような交通事故に遭い入院してしまう。そして病室にはレイモンドの姿が…。

R.M.F.は飛ぶ

画像: R.M.F.は飛ぶ

 警察官のダニエル(プレモンス)は海洋調査に出たまま妻のリズ(ストーン)が行方不明となり、精神的にダメージを受けていた。同僚のニール(ママドゥ・アティエ)とその妻マーサ(クアリー)は彼を励まそうとするが、ダニエルが望んだのは彼ら4人で性行為をした思い出のビデオを一緒に見ることだった。しばらくして急にリズが発見されたという報せが届く。彼女は衰弱していたが命に別状はなく、同行者のうち3名は遺体で見つかり、もう一人は重体だという。やがてリズは退院し、元の日常が戻って来たと思われたがダニエルはリズの細かな変化に違和感を覚える。ダニエルの頭の中に、戻ってきたのはリズの姿をした何か別のものという考えが住み着き、仕事にも支障が生じてくる。そんな彼に献身的に寄り添うリズだが、ダニエルはそんな妻に驚くべき注文を出す…。

R.M.F.サンドイッチを食べる

画像: R.M.F.サンドイッチを食べる

 エミリー(ストーン)とアンドリュー(プレモンス)は、オミ(デフォー)とアカ(チャウ)がリーダーを務めるカルト教団に帰依し、彼らの教祖に相応しい、死者を蘇らせるという特殊能力を持つ人物を探して各地を移動していた。教祖の資格として求められるのは、双子の女性の一人で、もう一人が亡くなっていること。ある時、エミリーは不思議な夢に現れた双子こそが求めている人だと確信する。そのイメージ通りの女性レベッカ(クアリー)を発見したエミリーだが、彼女の元夫ジョセフ(アルウィン)が仕掛けた計画で望まぬ性行為の結果、不浄として教団を追われてしまう。それでもレベッカの手引きによって、夢に見た双子の姉ルース(クアリー二役)に近づくことに成功。だが果たしてルースは教団の求める、死者を蘇らせる能力を持った人物なのか…?

『憐れみの3章』
2024年9月27日(金)公開
イギリス=アメリカ/2024/2時間44分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:ジェシー・プレモンス、エマ・ストーン、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ジョー・アルウィン、ホン・チャウ

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