Who is ダリル・ディクソン
主人公・リックのグループの一員。クロスボウとナイフの名手で、狩猟や追跡が得意。貧しい育児放棄家庭で、粗暴な兄メルルと共に育ち、犯罪に手を染めていた。兄が行方不明になった後は、グループの一員として行動するようになり、リックの右腕的存在になる。
ダリル・ディクソンというキャラクターを一体“何が”特別なものにしているのか?
バイクに乗った無法者。クロスボウとナイフの名人で、戦えば無敵。それでいて、娘の失踪に心を痛めるキャロルに、一輪の白いチェロキーローズを届けるほどのロマンチスト。無愛想なのに、子供には優しい。どれもダリルの魅力だが、典型的な設定ともいえる。また、イケメンなこと、なのにシーズン10でリアが登場するまで恋人がいないらしいことも、ダリルの魅力の一つだろう。
しかし、それだけだったら、主要登場人物がどんどん死んでいく「ウォーキング・デッド」(以下「TWD」)の世界で、最終シーズンであるシーズン11のラストまで生き延びられたはずがない。では何がダリルを特別な存在にしているのか。それは、彼の「弟キャラ」という属性にあるのではないだろうか。「TWD」を振り返ると、ダリルには兄が2人いるのに気づく。1人は、実の兄メルル。そして、もう1人は、親友リック。ダリル本人は意識していないだろうが、リックはダリルにとって、“彼が欲しかった兄”にも見えるのだ。
心の底ではメルルを愛し信頼しているダリル
ダリルの2人の兄への思いは熱い。ダリルはメルルを疎んじているように見えるが、彼の本当の想いがわかるのが、シーズン2第5話「無限の生命力」。谷底に落ちて意識が朦朧となったダリルは、死んだ(とその時点では思っている)兄メルルの幻影を見る。そのメルルは、いつもの口の悪さでダリルを嘲るが、その罵倒によってダリルは奮起し、死の淵から這い上がる。これまでも2人は、他に誰も頼る者のいない世界で、こうやって生きてきたのだ。ダリルは心の底ではメルルを愛し信頼している。一方、いつも弟をバカにするメルルが本当は弟を愛していることは、シーズン3第15話「この世の定め」で、彼がダリルたちのために自己犠牲になることが証明している。この兄と弟の絆が熱い。
弟キャラを演じる時に独自の魅力を発揮する
そして、ダリルが見つけたもう1人の信頼できる人物が、リックだ。2人は互いに硬い絆で結ばれるが、ダリルがリックより前に出ることはない。これはダリルの集団を好まない性格のせいでもあるが、無意識のうちに、弟的な位置にいようとしてしまうからではないか。そして、リックが行方不明になった後は、集団を離れて犬と暮らし、ずっとリックを探し続ける。この一途さが胸を打つ。こうした、ダリルが2人の兄に対して抱く一途な熱い想いが、このキャラクターに特別な魅力を与えているのではないか。
そこで思い出すのは、ノーマンがやはり弟キャラを演じて熱狂的なファンを集めた『処刑人』(1999)。人気は根強く、10年後にまさかの続編『処刑人II』(2009)が生まれ、今も第3作が製作準備中だ。やはりノーマンは、弟キャラを演じる時に、独自の魅力を発する俳優なのではないか。彼のその不思議な力が、ダリルを特別なキャラクターにしているのかもしれない。
「ウォーキング・デッド」シーズン1〜11 ディズニープラスのスターで配信中
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