「続編映画に名作なし」という格言のような言葉をよく聞くことがありますが、オリジナルに匹敵するあるいはそれを越えるパート2もちゃんと存在します。それを立証するような好例作品をセレクト。もちろん第1作も面白いものばかりですので、連続して鑑賞してみては?(デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『トップガン マーヴェリック』より © 2022 Paramount Pictures.

『ダークナイト』(08/クリストファー・ノーラン監督)

闇のヒーロー、バットマンは何度か映画化されているが、これはクリトファー・ノーラン監督が手がけた『バットマン ビギンズ』に続く第2作で、悪役の一人となるジョーカー(ヒース・レジャー演)がバットマン以上に重要な意味合いを持つキーパーソンに。バットマンが英雄として闘う理由にも及ぶ善悪の道義的判断に関する深遠な内容などが、観客だけでなく批評家からも絶賛を呼び、前作を上回る記録的大ヒットに。アカデミー賞では、神がかり的な熱演を見せたレジャーが悲劇的な早逝後、助演男優賞を受賞した。

画像: 『ダークナイト』(08/クリストファー・ノーラン監督)

『ダークナイト』

4K ULTRA HD&ブルーレイセット(3枚組)6,589 円(税込)

発売元:ワーナー・ブラザースホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

BATMAN and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics.
© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『ターミネーター2』(91/ジェームズ・キャメロン監督)

前作はまだ無名に近かったキャメロン監督を一躍人気監督に押し上げる成功を収める大ヒットを記録。主演のアーノルド・シュワルツェネッガーの出世作にもなった。これを受けて権利を獲得したカロルコ社が当時の史上最高の製作費を投じた第2作で、1作目では悪役だったT−800が今回はプログラムし直されて善役に。代わって悪役となったT−1000は最新VFX技術でどんな姿にも流動的に変化できる最恐のターミネーターとなり、映画的な革新感もグレードアップした。さらに人間の感情を理解できないはずのT-800と運命の少年ジョン・コナーに生まれる絆など物語性もファンに愛され、最高の続編となった。

画像: Jean-Paul Aussenard/WireImage

Jean-Paul Aussenard/WireImage

『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74/フランシス・フォード・コッポラ監督)

イタリアン・マフィアの世界をファミリードラマとして描きアカデミー賞作品賞を受賞した第1作に続き、同じくコッポラ監督が作った第2作は、前作でコルレオーネ・ファミリーを継いだマイケルのその後と、父ヴィトーの若き日を交互に描き、脈々と続く家族の絆の光と闇をさらに深め、2作連続でオスカー作品賞受賞となった。冷徹なバイオレンス描写も含みながら家族愛、人生における哲学に言及し、コッポラは前作では受賞できなかったオスカー監督賞を本作で初受賞。最初、監督をする気がなかったが製作の全面的決定権や予算増大を条件に引き受けたという。再び原作者マリオ・プーゾと脚本も担当している。

画像: 『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74/フランシス・フォード・コッポラ監督)

『007/ロシアより愛をこめて』(63/テレンス・ヤング監督)

いまや世界的なスパイ・アクション・シリーズとなった「007」だが、俄然人気が出たのは第2作から。日本でも前作(『ドクター・ノオ(007は殺しの番号)』よりも本作(初公開時の題名は『007/危機一発』)で一躍007=ジェームズ・ボンドの名が有名になった。低予算だった前作の成功で予算が増えて大作感が醸しだされ、作品自体の出来栄えも「シリーズ最高傑作」というファンが多い。シリーズおなじみの、オープニングタイトル前のプレシークエンスや、秘密兵器での格闘などもここから始まった。ショーン・コネリーが彼なりのボンド像を確立し人気爆発、ヤング監督のアクション・サスペンス演出も冴えている。

画像: 『007/ロシアより愛をこめて』(63/テレンス・ヤング監督)

『マッドマックス2』(81/ジョージ・ミラー監督)

オーストラリア製の低予算カーアクション映画として大成功を収めた第1作に続いて、ミラー監督が10倍の予算を獲得し、舞台を同国の田舎町から世界大戦後の荒廃した砂漠地帯に移し、地方警官と暴走族集団の戦いから、V8インターセプターで荒れ地を彷徨う孤独な男と石油を狙う掠奪者と化した暴走族たちの激闘にスケールアップ。近未来サバイバル・アクションとして自動車マニア以外からも大きな支持を得た。マックス役のメル・ギブソンも1作目より本作で人気爆発。日本の人気漫画「北斗の拳」など本作を基に影響を受けたという例は多く、カルチャー的な意味でも前作を越える結果を残している。

画像: 『マッドマックス2』(81/ジョージ・ミラー監督)

史上最高の続編映画

 2009年、英国のエンパイア誌が発表した「50 Greatest Movie Sequels」ではオリジナルに匹敵するあるいは凌駕する続編50作をランキングしている(元々二部作、三部作にすることで製作されたものを除く)。その顔触れの一部を見てみると、1位は『エイリアン2』で以下、2位『ゴッドファーザーPARTⅡ』、3位『ターミネーター2』、4位『トイ・ストーリー2』、5位『ダークナイト』とほぼこのコーナーでピックアップした作品が上位を占めている。他に『ボーン・スプレマシー』『スーパーマンⅡ冒険篇』『死霊のはらわたⅡ』なども選ばれているが、続編でも良作は数多く作られていることを証明している。

あまり知られていない名作の続編

『ゴッドファーザー』のような例外もあるが、アカデミー賞を受賞した『スティング』や『愛と追憶の日々』といった名作に続編があることはあまり知られていない気がする。前者の第2作『スティング2』は日本ではビデオ公開だったし、後者の続編『夕べの星』はあまり話題にならなかった。名作として名高い『サイコ』『ある愛の詩』『明日に向って撃て!』『ポセイドン・アドベンチャー』なども『サイコ2』『続・ある愛の詩』『新・明日に向って撃て!』『ポセイドン・アドベンチャー2』といった後日談や前日譚が作られているが、殆んど知られていない。このように第1作の陰に埋もれてしまったパート2を発掘してみるのも楽しいかもしれない。

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