アカデミー賞を席巻した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 以降も勢いが止まらない映画スタジオA24。そんなA24史上最高の製作費が投じられた『シビル・ウォー アメリカ最後の日』がいよいよ今週10月4日(金)より公開となる。それを記念し、「A24 the works+ A24 誰も観たことのない世界」の一部をちょい見せ!

A24を代表する作品の数々を紹介する【3大テーマ別! A24オススメ作品】コーナーより、『Pearl パール』の部分をお届け!

A24ד恐怖”
時代に縛られた女性がシリアルキラーへ
『Pearl パール』Pearl(2023)

A24にとって初のオリジナルシリーズものであり、タイ・ウェストが監督を務めた「X」3部作の第2作。1970年代を舞台にした第1作『X エックス』の約60年前にさかのぼり、シリアルキラーの老婆・パールの若き日を描く。前作でパールと主人公マキシーンの2役を演じわけたミア・ゴスが主演・脚本・製作総指揮を務めており、なぜパールは殺人鬼になったのか――その原点を掘り下げるエピソード・ゼロ的なストーリーが展開。華やかな都会で活躍したいと願う女性が周囲に精神をむしばまれ、やがて一線を越えてしまうプロセスはショッキングでありながらも、どこか悲喜劇的な要素もたたえており、なんとも複雑だ。

第1作は「エロ映画の撮影クルーが借りたロケ地の所有者が殺人鬼夫婦だった」というエッジの利いた設定にふさわしく、血しぶきが舞うスラッシャーホラーのルックやエロテイストの中に「時代や社会、家族に翻弄され、抑圧された女性の哀しみ」といったテーマを忍ばせ、マーティン・スコセッシ監督が絶賛するなど各方面で高評価を獲得。続く『Pearl パール』もその特徴を受け継ぎつつ、さらに「ミュージカル」という要素をプラスした。第1作では『悪魔のいけにえ』のオマージュがみられたが、今回は『オズの魔法使』『メリー・ポピンズ』といった名作ミュージカルをシニカルな目線で引用し、パールの心の内に巣食う“闇”を強調。マリオネットのような動きにひきつった笑顔で舞台に立つパールの華やかながら痛々しく、哀れな姿は時代(戦争・疫病)や環境(親・家)に縛り付けられた状態を痛烈に風刺している。

さらにクライマックスには「まるでジョーカーだ」と評された衝撃的な長回しの泣き笑いシーンが用意され、徹頭徹尾観る者の心をざわつかせる怪作に仕上がった。なお、第1作ではVHS、第2作ではフィルムと映画愛が描かれるのも本作の特色。第3作『MaXXXine(原題)』では1980年代のハリウッドが舞台になるとアナウンスされている。

STAFF&CAST
監督・脚本:タイ・ウェスト
出演:ミア・ゴス、デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ

STORY

1918年のアメリカ・テキサス。ショービジネスの世界に憧れ、スターを夢見る女性パール(ミア・ゴス)。しかし彼女は厳格な母親に監視されて自由に外出できず、病気でほぼ寝たきりの父親や農場の動物たちの世話を日々強いられていた。いつかこの生活から抜け出したいと願い、お使いの帰りにこっそりと映画館に通ったりするものの、戦争で出征中の夫も待たねばならない身……。そんなある日、パールは地方巡業のオーディション開催の知らせを聞きつける。

text/SYO

画像1: 【誌面ちょい見せ】「A24 the works+ A24 誰も観たことのない世界」より『Pearl パール』紹介部分を特別公開

『Pearl パール』
Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:6600円(税込) DVD:4400円(税込)
発売元:ハピネットファントム・スタジオ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
© 2022 ORIGIN PICTURE SHOW LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「A24 the works+ A24 誰も観たことのない世界」

画像2: 【誌面ちょい見せ】「A24 the works+ A24 誰も観たことのない世界」より『Pearl パール』紹介部分を特別公開

CONTENTS
A24史上最大規模&全米 1位獲得!世界最大国家の終焉を描く超話題作
『シビル・ウォーアメリカ最後の日』
キルステン・ダンストインタビュー
【3大テーマ別! A24オススメ作品】
●A24ד青春”
『mid90s ミッドナインティーズ』
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』
「ユーフォリア/ EUPHORIA」
『Zola ゾラ』
『グリーン・ナイト』
●A24ד家族”
『カモンカモン』
『A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー』
『フロリダ・プロジェクト真夏の魔法』
『フェアウェル』
『アフター・ヤン』
『アイアンクロー』
『マルセル靴をはいた小さな貝』
『プリシラ』
「サニー」
●A24ד恐怖”
『X エックス』
『ヘレディタリー継承』
『ライトハウス』
『LAMB/ラム』
『MEN 同じ顔の男たち』
『Pearl パール』
『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』
「THE CURSE/ザ・カース」
『ボーはおそれている』
●どう見る ? どう見える ?『ミッドサマー』
●『ミッドサマー』鑑賞後に観たい ! ジャンル別オススメ「 A24」ムービー
A24 OSCAR HISTORY
●A24はなぜアカデミー賞に愛されるのか
●A24作品アカデミー賞受賞・ノミネート歴一覧
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『ザ・ホエール』
『ルーム』
『エクス・マキナ』
『ムーンライト』
『ミナリ』
『レディ・バード』
『マクベス』
『関心領域』
『aftersun/アフターサン』
『パストライブス/再会』
●A24 推しディレクターズ・ファイル
●A24の忘れられないキャラクターたち
●映画ファンを惹きつける ! A24の基礎知識
●話題作と振り返る A24のあゆみ
●A24に惹かれる 4つの理由
●NEXT A24 さらに広がる A24の世界
●A24 Product Item

※この本は『A24 the works』(2023年スクリーン4月増刊号)に新しい情報・内容を入れ再編集したものです。掲載されている情報・内容は掲載時点のものも含まれます。また現在の情報・内容と異なる場合があります、ご了承ください。

全96ページ
定価:1,800円(本体1,636円)
発行:近代映画社
2024年9月3日(火)発売

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