キロスはヴィランながらも共感できるキャラクターだと語った渡辺
『ライオン・キング』(2019)で、息子シンバを命がけで守った父ムファサ王。彼の命を奪い、“ヴィラン”として強烈な存在感を放ったスカー。最新作『ライオン・キング:ムファサ』では、親と生き別れ孤児となったムファサが、後にスカーとなる若き王子”タカ”と出会いふたりの運命が大きく動き出す。
今回渡辺が演じることとなったのは、ムファサとタカを追い詰める“冷酷な敵ライオン”キロス。孤児から王へ自身の力で運命を切り拓くムファサと、王の血筋を受け継ぐ“弟”タカ(若き日のスカー)の運命を左右する重要キャラクターだ。
ヴィラン・キロス役の超実写吹替版声優がお披露目されたのは、最新作『ライオン・キング:ムファサ』の舞台となるサバンナの世界観で彩られたスペシャルステージ。MCの掛け声で太陽を模したパネルがステージ高く昇ると、世界的スター渡辺謙がキロスさながらの凛々しい顔で登場。
渡辺は「ディズニー作品は子供たちが小さいころからレーザーディスクでほぼ全作品持っていて、子供たちに見せていた。素晴らしいエンターテイメント、楽曲、映像はもちろん、必ずそこに人生のアイロニーや無常観が描かれているのがディズニー作品の魅力」と語り、“キロス”の役どころについて、「悪役と捉えられるが、キロスの群れは社会から疎外されている」と説明。「この物語は、キロスの群れとムファサの群れとの対立軸の話。今の世の中でも社会から疎外されている中で必死に生きていこうとする人たちがいて、共通する部分がある」とヴィランながらも、共感できるキャラクターなのだと熱く語った。
マッツ・ミケルセンが演じていることから役柄に興味を持ったという渡辺
今回、“キロス”役をオーディションで勝ち取ったという渡辺は、ディズニー映画初参加、またディズニー作品で初めてヴィランを演じることとなった。ヴィランを演じることになった気持ちを問われた渡辺は、字幕版でキロス役を演じるマッツ・ミケルセンについて触れ、「マッツ・ミケルセンが独特で素晴らしい俳優なので彼がどういう風にこの作品を捉えて演じたのかとても興味を持ち、キロス役を演じてみたいと思った」とコメント。
「正義と悪をきちっと色分けした方がエンターテイメントの映画としては良いかと思ったら、マッツ・ミケルセンはその微妙なところを狙って演じられていた。それに影響を受け、キロスはただの悪役ではなく、彼が守ろうとしているものに対してぶつかってきたものを跳ね飛ばしていくという役にしようと思いました」とマッツを参考に役作りをしたと話す。
また、オーディションを受ける上でもマッツの演技は参考になったといい、「セリフはまあそんな緊張しなかったんですけれども、つかみどころのないキロスの歌が大変でした。キロスの陰湿さなど出さないといけないと思いながら、やってだめなら仕方がないという気持ちで必死でやりました」と語った。
そんな渡辺に、超実写吹替版の監督から起用について「キロスのキャラクターは孤高の存在感と確かな演技力を兼ね揃えた渡辺謙さんのイメージとピッタリ重なりました。また、キロスは想いを歌で表現するシーンもあり、演技だけでなく歌唱力も必要な役柄であり、唯一無二のエンターテナーである渡辺謙さんに是非、キロス役をお願いしたいと思いました」とコメントが寄せられると、渡辺は「買い被りだと思う。これまでミュージカル作品をやらせてもらっているが作品によってそれぞれ違い、別の山を登るようだ」と謙遜した。
世界中を魅了してきた「ライオン・キング」について問われた渡辺は「親子のつながりや友情など動物の話ではあるが、根源的に人間が持っている悲しみや苦しみも含まれている。これが皆さんに支持されている理由だと思うので、かなり必死にやりました」と語った。
前作『ライオン・キング』(2019)に続く大きな見どころのひとつとなりそうなのが、ディズニー作品には欠かせない珠玉のミュージカルナンバー。最新作の音楽を手掛ける巨匠リン=マニュエル・ミランダは、かつて渡辺が主演したブロードウェイミュージカル「王様と私」を鑑賞するなど、渡辺とも親交もある模様。
今回作品を共にする感想について問われると「リンが楽屋に訪ねて来てくれて一緒に写真を撮った。その翌年にリンが手掛けた「ハミルトン」を鑑賞後に楽屋にお邪魔したが、こんなややこしい音楽を作る方とは知らなかった(笑)。劇中の音楽はアフリカのビートが効いたノリのいい音楽で、キロスのキャラクターとどのように整合性を持たせればいいかわからなかった。なのでマッツの歌を参考に聴くと結構ねっとりしていて、テイストはキャラクターを引きずって行かないといけない、とリセットさせてもらった。」とリンやマッツとのエピソードを紹介しながら音楽の魅力も熱く伝えた。
すでに発表されているムファサ役とタカ役を務める尾上右近、Travis Japan松田元太との共演についても、まだ会えていないのでこれからだと期待を寄せた。
ムファサ役・尾上右近が駆け付け、獅子舞演舞とオリジナルケーキで祝福!
イベントには、主人公ムファサ役の超実写吹替版声優として渡辺と共演することとなった尾上右近がサプライズで登場。**「今⽇は私から『ライオン・キング』、そして“キロス”にちなんでお祝いの⽩獅⼦をご用意させていただきました!」という尾上の掛け声のもと、ライオンを意味するとも言われている「獅子舞 嘉例(カリー)」もステージ上に姿を現し、一夜限りの「獅子舞」の演舞が披露された。
一説では、“獅子の口の中にそれぞれ書かれた「嘉」「例」の文字を見ることが出来ると毎日が一粒万倍日になり幸せをもたらす”とされる「獅子舞 嘉例(カリー)」。渡辺は早速「嘉」「例」の文字を発見し嬉しそうな様子。2頭の白い獅子舞によるパフォーマンスを楽しんだ様子で「迫力がありますね。劇中でキロスとムファサが対決するシーンあるが、そのシーン思い出すくらい。」と感想を述べた。
尾上によるサプライズはこれで終わらず、続いてステージに運び込まれたのは『ライオン・キング:ムファサ』をイメージしたスペシャルケーキ。当日ちょうど65歳の誕生日を迎えた渡辺。キロス役決定のお祝いにかけ、作品の象徴であるプライドロックやライオンをモチーフに作られた完全オリジナルな誕生日ケーキでお祝いした。相次ぐサプライズに渡辺は「甘い匂いがすごい、おなかすいてきた!(笑)」と茶目っ気たっぷりにコメント。
映画『ライオン・キング:ムファサ』は現在絶賛収録中ということで、渡辺は改めて「友情や愛の話というエンターテイメントだが、人生の深いところに触ってくる瞬間がある素晴らしい作品になると確信しています。きっと大人の方も喜んでいただける、どんな世代の方でも楽しんでいただける作品になっていると覆います」とコメントした。
尾上も「僕もオーディションでムファサ役にチャレンジした。謙さんや他のキャストの発表があり公開日が近づいていることを実感してわくわくしています。壮大な愛がテーマの映画でたくさん感動していただけると思います」と思いを込めたメッセージを贈り、イベントは終了した。
『ライオン・キング:ムファサ』
12月20日(金)全国劇場にて公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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