ありふれた日常の中で出会う、誰にでも起こりうる恐怖
新しくできた友人に、これからもっと親しくなるであろう期待を膨らませ、交流を深めることはよくある事ではないだろうか。そんな些細な期待が、とんでもない悪夢へと豹変していってしまったら…?
本作で登場するイギリス人一家の夫ベン(スクート・マクネイリー)も楽しい時間を過ごそうと、妻ルイーズ(マッケンジー・デイヴィス)と娘アグネス(アリックス・ウェスト・レフラー)を連れ、旅行先で新しくできた友人のパトリック(ジェームズ・マカヴォイ)一家のもとで休暇を過ごすこととなるが、そこで待ち受けていたのは、身の毛もよだつような"最恐のおもてなし"だった―。
20年近くにわたり、超常現象や白昼でのあらゆる悪を斬新な手法で描き、観客の肝を冷やし、震え上がらせてきたブラムハウス・プロダクションズ。今回題材として選んだのは、ありふれた日常の中で出会う、誰にでも起こりうる恐怖だった。
プロデューサーのジェイソン・ブラムは、そんな本作の完成に独自のひねりを加えるため、かねてより大ファンだったというジェームズ・ワトキンスを監督・脚本としてオファーした。ワトキンスは、『バイオレンス・レイク』(日本未公開)や『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012)など、日常に潜む暴力を巧みに描いた衝撃的な社会派スリラー作品を手掛けてきた。
約20年前に『バイオレンス・レイク』でワトキンスと初めて仕事をした製作のポール・リッチーは、「彼は登場人物を知り尽くし、非の打ちどころのないタイミングセンスを持っている。作品を観て、観客が何を体験できるのか意識しているので、この種の映画にピッタリだ」と絶賛。ブラムハウス・プロダクションズの製作責任者ベアトリス・セケイラも、「彼は本作の脚本と監督にうってつけだった。リアリティがあって、誰にでも起こりうる恐怖、そんなホラーを得意としているから」と高く評価し、ワトキンスがいかに本作との親和性が高いクリエイターであるかを語っている。
ブラムからのオファーを受け、オリジナル版を観てすぐに映画化の可能性を見出したというワトキンス。「人生の転換期を迎えたタイミングに家族で旅行に出かけ、漠然とした不安への"答え"を持っているかもしれないと思わせるようなある家族に出会い、親しくなる…といった巧妙で親近感が持てる構想が気に入った。この作品は、現代社会でいかに私達がルールに縛り付けられ、そのルールと折り合いをつけようと奮闘しているかというテーマを描いている部分に魅了されたんだ。」と振り返るように、本作はまさにワトキンスの知性と想像力をかき立てるような題材だったことを明かしている。
そんなワトキンスが描く"リアルな人間関係の恐怖"は、本作でも存分に発揮されている。物語は新しい友人との関係構築という、一見何の変哲もない状況から始まり、休暇中に出会った魅力的な夫婦に惹かれていく主人公夫婦の様子は、多くの観客が共感できるような出来事として描かれる。
しかし、この親近感のある状況が徐々に不安と恐怖に満ちたものへと変貌していく。ワトキンスは本作について「これは"社会的ホラー"とでも言うべき作品で、世代間の対立、社会における階級間で生まれる恐怖や暴力の連鎖を描いているんだ。」と語るように、普遍的で日常的な親近感を巧みに脚本に織り込み、観客が自身の経験と重ね合わせやすい状況を作り出している。当初は友好的だった関係が徐々に歪み、最終的には生存をかけた戦いへと変わっていく展開は、人間関係の表面的な親密さと、その裏に潜む不信感や恐怖を映し出している。
本作は単に恐怖を描くだけでなく、観客の心に深く入り込み、日常生活に潜む人間関係の脆さや予測不可能性を鮮明に浮彫にしている。心理描写の名手、ジェームズ・ワトキンスが現代人の抱えている不安を圧倒的なリアリティをもってあぶりだした。
STORY
アメリカ人のベン一家は旅行中に意気投合したイギリス人のパトリック一家に自宅に招待され、週末を一緒に過ごすことに。楽しく滞在していたが、次第に一家の“おもてなし”に違和感を抱き始める。“異常な家族”のおもてなし“とは?そしてその裏に隠された、想像を絶する衝撃の真実とは−−−
『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』
12月13日(金)全国公開
監督&脚本:ジェームズ・ワトキンス
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マッケンジー・デイヴィス、アシュリン・フランチオージ、アリックス・ウェスト・レフラー、ダン・ハフ、スクート・マクネイリー
映倫:PG12
配給:東宝東和
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