カンヌ・ヴェネチア・ベルリン3大映画祭を制し、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に8作品連続選出されている『ローマ法王の休日』のナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』が、11月22日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。本作のタイトルにあるヨーロッパ最大の撮影スタジオ“チネチッタ”とは?

早熟の異才ナンニ・モレッティ監督50年のキャリアの集大成となる最新作は、時代の変化についていけず、真ん中にいると思っていたらはみ出してしまっていた映画監督が、失意の後に大切なことに気づくというヒューマンドラマ。フェリーニやキェシロフスキ、スコセッシなど映画へのオマージュを交えながらところどころに自身の過去作品を引用して、変化の激しい世界に適応することの難しさをユーモラスに描きだす。人生を肯定し生きる元気を与えてくれると絶賛されイタリアで大ヒットを記録。終始笑えるコメディタッチでありながらも、作家性と娯楽性とを見事に両立し、独特のユーモアとやさしい眼差しが観客の心を掴む、モレッティ作品の魅力が満喫できる作品に仕上がっている。

モレッティ自身が、製作・脚本・出演も兼ね、共演にはモレッティ作品の常連マルゲリータ・ブイや、俳優であり監督のマチュー・アマルリックなどが脇を固める。撮影は90年余の歴史を持つヨーロッパ最大の撮影スタジオであるチネチッタ撮影所で行われ、音楽はフェリーニの音楽を手がけていたニーノ・ロータの弟子フランコ・ピエルサンティが担当し、ポップミュージックを効果的に使っている。

本作のタイトルにもあるチネチッタとは、いったい何なのか。それは、数々の名作が生まれたヨーロッパ最大の撮影スタジオのことを指す。1930年代に首相ムッソリーニのもと設立され、広大な屋外セットと21のスタジオで構成されている。最初は、ファシズムの宣伝のための映画撮影が行われていたが、戦争や様々な歴史の変化を経て、現在の撮影スタジオとなった。

1980年代に映画産業が衰退し危機的状態に陥ったが、国営化となり立て直すに至った。名前の由来は、イタリア語でチネマは映画、チッタは町とされ、チネチッタは「映画都市」を表す造語になっている。1935年には世界最古の映画学校であるイタリア国立映画学校が隣接され、チネチッタ一帯は言葉の通り映画都市となっている。

フェデリコ・フェリーニ『青春群像』、フランシス・フォード・コッポラ『ゴッドファーザー』、阿部寛主演で話題となり大ヒットした武内英樹『テルマエ・ロマエ』などがチネチッタで撮影された。夢の工場とも呼ばれ、約3,000本の映画がこのスタジオで撮影され、そのうち90本がアカデミー賞にノミネート、51本が受賞している。撮影所にあるセットは実物より小さく作られており、重そうに見える壁や石畳は実際には軽く、それもセットならではの面白さといえる。

当初一般公開はされていなかったが、現在は映画の歴史の展示や、ガイドツアーでローマ帝国のセットなどを見ることが可能に。フェリーニの映画の世界を展示したエリアから、小道具の展示まで、充実の観光地となっている。そんなチネチッタでの映画撮影を題材にした『チネチッタで会いましょう』は、11月22日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。

『チネチッタで会いましょう』
11月22日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:チャイルド・フィルム
© 2023 Sacher Film–Fandango–Le Pacte–France 3Cinéma

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