『美女と野獣』はアニメーション映画で初めてアカデミー賞作品賞候補に
1989年『リトル・マーメイド』
アリエル[代表曲]♪パート・オブ・ユア・ワールド
これがニュー・ディズニーと呼ばれる80年代に入ると曲調も歌詞の内容も一気に変わっていく。ニュー・ディズニーになって初のプリンセス映画が89年の『リトル・マーメイド』。人間の世界に憧れ、王子との愛を成就するために自らの声を魔女に差し出しもする行動的なヒロイン、アリエルが歌う「Part of Your World」は、足が生えて地上で暮らせるなら何でもすると、積極的なヒロインの心を見事なまでに反映。またアラン・メンケンという強力な作曲家が作る主題歌は、楽曲がすべて完璧なミュージカル調へと変化していく。
1991年『美女と野獣』
ベル[代表曲]♪朝の風景
1992年『アラジン』
ジャスミン[代表曲]♪ホール・ニュー・ワールド
だからメンケンが手掛けた『美女と野獣』(91年)、『アラジン』(92年)などは全てミュージカルとしても完成度の高い作品になっており、特に『美女と野獣』はアニメーション映画で初めてアカデミー賞の作品賞候補にまで登りつめることにもなった。
90年代後半からは魂を揺さぶるプリンセスの名曲が誕生
1995年『ポカホンタス』
ポカホンタス[代表曲]♪カラー・オブ・ザ・ウィンド ♪川の向こうで
そんなメンケンが、自然の中で生きるネイティブ・アメリカン部族の酋長の娘を描いた『ポカホンタス』(95年)で生み出した名曲が「Colors of the Wind」。自然を敬う大切さ、互いに関わり合うことの重要性をパワフルに歌いあげた圧巻の主題歌となっている。そしてここらあたりからプリンセスたちは、自らの夢と愛を勝ち取るために、精神的にも強くなっていき、それは歌にも見事なまでに反映されていくことになる。
1998年『ムーラン』
ムーラン[代表曲]♪リフレクション
中国を守るために男装して闘うヒロインを綴る『ムーラン』(98年)は、水面に映った自らの姿を見つつ「常に自分らしくありたい」と歌う「Reflection」が最高にカッコイイ。魂を揺さぶるような強さにあふれていた。
2009年『プリンセスと魔法のキス』
ティアナ[代表曲]♪夢まであとすこし
2010年『塔の上のラプンツェル』
ラプンツェル[代表曲]♪自由への扉 ♪輝く未来
2012年『メリダとおそろしの森』
メリダ 歌わないプリンセス
2016年『モアナと伝説の海』
モアナ[代表曲]♪どこまでも ~How Far I'll Go~ ♪いるべき場所
2021年『ラーヤと龍の王国』
ラーヤ 歌わないプリンセス
16年には『モアナと伝説の海』の「How far I'll Go」(邦題「どこまでも 〜How Far I'll Go〜」)で、ヒロインのモアナが幼い頃から強く惹かれ続けてきた海への思いを朗々と歌いあげている。つまりプリンセス主題歌の変遷は、女性が強く自立して生きる現代像と呼応しており、尻込みせず欲しいものを自分で取りにいく女性の解放の歌にもなっていているのだ。最新作『モアナと伝説の海2』の「ビヨンド 〜越えてゆこう〜」は、ヒロインにどんな人物像としての深味を与えてくれるのか。実に楽しみだ。
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