カバー画像:『グラディエーターⅠⅠ 英雄を呼ぶ声』より ©2024 PARAMOUNT PICTURES
演技賞部門で注目しておきたいスターはこの人たち
演技部門で候補入りと下馬評が高い俳優たちを挙げていくと、パブロ・ラライン監督のNetflix作品『マリア(原題)』でソプラノ歌手の女王、マリア・カラスを演じたアンジェリーナ・ジョリーが久々にアカデミー賞レースに帰ってきそう。助演賞は受賞済みだが、初の主演賞受賞となるか気になるところ。このアンジーのライバルになるかもしれないのがベネチア国際映画祭で女優賞を受賞したA24作品『ベイビーガール(原題)』のニコール・キッドマン。若いインターンに夢中になる企業CEOを彼女が熱演するエロティック・スリラーだ。ビッグネームでは、ウィリアム・バロウズの半自伝的小説の映画化『クィア(原題)』で大変身を遂げたダニエル・クレイグの初の主演男優賞候補入りも実現するかもしれない。
オーガスト・ウィルソンの戯曲を映画化するNetflix作品『ピアノ・レッスン』からはジョン・デヴィッド・ワシントン(主演男優)、サミュエル・L・ジャクソン(助演男優)、ダニエル・デッドワイラー(助演女優)がいずれも高い評価を得ている。またジェシー・アイゼンバーグが監督・主演した『リアル・ペイン~心の旅~』からはキアラン・カルキンが助演男優賞本命かという下馬評も。一方アイゼンバーグは脚本賞候補になるかもしれない。
他には『シンシン(原題)』で有名なシンシン刑務所に無実の罪で入れられた男が、刑務所内で演劇に目覚めていく姿を演じたコールマン・ドミンゴの主演男優賞候補入りも確実視されているし、あのドナルド・トランプの若き日を描く『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』でトランプを演じたセバスチャン・スタンが主演、弁護士ロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングが助演男優として揃ってノミネートされると推す声も少なくない。
トロント映画祭のミッドナイトマッドネス部門で観客賞を受賞した『ザ・サブスタンス(原題)』からは、美と若さに異常な執着を見せる女性を怪演したデミ・ムーアを主演女優賞にと支持する声も上がっている。作品賞候補もありと言われる『セプテンバー5(原題)』は1972年ミュンヘン・オリンピックで起きたテロ事件を取材するジャーナリストたちの物語で、本作のピーター・サースガードが助演男優賞候補入りする可能性もある。
現時点での有力作品・俳優たちの名前をざっと挙げてみたが、オスカー・レースの本番はこれから。作品評価はともかく、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』のホアキン・フェニックスの演技はオスカーに相応しいという声も消えていないし、ここに入れられなかったタイトルもまだまだ浮かんでくる。年末に発表される恒例の全米各州批評家賞の結果次第で新たな作品、俳優に脚光が当たるかもしれないので、今後の動向も注視したい。
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