映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(12月13日公開)で原作でも人気が高いキャラクター、謎の駄菓子屋「たたりめ堂」の店主・よどみ役を演じる上白石萌音。自身初の悪役で、憧れの天海祐希演じる銭天堂の店主・紅子との対決シーンに挑んだ本作の撮影裏話を教えてもらった。(文・タナカシノブ/写真・奥田耕平(THE96)/デジタル編集・スクリーン編集部)

上白石萌音 プロフィール

1998年1月27日生まれ。鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞しデビュー。2014年、『舞妓はレディ』で映画初主演。2016年にはアニメーション映画『君の名は。』でヒロインに抜擢。2016年に「chouchou」で歌手デビュー。主な出演作はドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」「カムカムエヴリバディ」、舞台「千と千尋の神隠し」「ジェーン・エア」、映画『夜明けのすべて』(24)など。

画像1: 映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』上白石萌音 インタビュー

──初の本格的な悪役・よどみでのオファー。出演の決め手となったのは?

「原作を読み、作品の世界観にとても魅力を感じたこと。そして、ずっとご一緒するのが目標だった天海(祐希)さんと敵対できる機会はこの先ないだろうと思い“ぜひ、やらせていただきます!”とお返事しました(笑)。ここまで振り切った悪を演じたことはなかったので、挑戦し甲斐がありそうだとも思いました」

──よどみというキャラクターにはどんな魅力を感じていますか?

「名前は“よどみ”ですが、ものすごくピュアな人だと感じます。ダークサイドにはいるけれど、本人の目的や狙いはまっすぐなところが面白いと思いました。原作でもアニメでも楽しそうに悪意を集めている姿が印象的ですぐに大好きになったし、演じていてもとても気持ちよかったです」

──現実離れした世界観で、よどみのようなキャラクターを演じる際に、上白石さんが意識していることはありますか?

「すごく現実的に考えることを意識しています。挙動や言葉はファンタジックで浮世離れしていても、発する言葉には絶対に理由があるし、何か目的があるからやっていること。よどみの行動にも全部理由があるはずと考え、分析して演じました」

──よどみの気持ちで理解するのが難しいと感じたところはありましたか?

「恨み、妬み、人を羨む気持ちは私の中にもめちゃくちゃある感情。知らない感情ではないので、理解できない部分はなかったです(笑)。“分かるな〜”という気持ちを膨らませてよどみというキャラクターを作り上げていきました。悪にも理由がある、といったことが描かれている作品に触れる機会も多いので、そういう感情を理解できるようになっているのかもしれません」

画像2: 映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』上白石萌音 インタビュー

──上白石さんには、恨み、妬み、羨ましいといった感情とはあまり縁がないイメージを勝手に抱いていますが……。

「めちゃくちゃあります、嫉妬心の塊です(笑)。見せないようにニコニコしているだけです。嫉妬や羨む気持ちを燃やして、エネルギーにするタイプです」

──うまくコントロールして、糧にしているのですね。

「このお仕事の特殊性かもしれません。そういう気持ちがすべて糧になって、いつか使えるという思いで、味わい尽くすというところがあります。例えば自分の中で羨ましいという感情が湧いた時は、なぜ羨ましいのか、なんでモヤモヤするのかを分析すると種が分かります。それが分かる頃には、気持ちも冷静になっているという感じで、うまく付き合っています!」

──なるほど、勉強になります(笑)。憧れの天海さんとの共演はいかがでしたか?

「二人きりでバチバチやり合う対決シーンは一番緊張しましたし、負けそうでした(笑)。完成したものを観ても、ちょっと様子がおかしいぞと思うくらい緊張が出ている気がします。お芝居の話はほとんどせずに、雑談をすることが多かったです。天海さんは、本番とそれ以外をパキッと切り替える方。スイッチがスッと入るんです。現場での姿を拝見しているだけでも、とても刺激的で。本当に勉強になりました」

──印象に残っていることをひとつ挙げるとしたら?

「紅子さんはアニメでもほとんど表情を変えないキャラクターです。天海さんもスッとした余裕のある表情をされているのですが、ちょっとした筋肉の動きや目の使い方で相手をドキッとさせる威力みたいなものを放たれています。それを目の前で見た時にはゾクゾクしました。特によどみには一番厳しい目を向けていらっしゃるので、作品の中でそれを一身に浴びられたのは本当にうれしかったです!」

hair&make/山田佳苗 Styling/佐藤里沙(BE NATURAL)
シャツ¥15,400・ラメカーディガン¥9,900/ジャーナル スタンダード レリューム(ジャーナル スタンダード 自由が丘店)
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※全文はSCREEN2025年1月号に掲載

映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』

画像1: 映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』

細い路地を抜けた先には、世にも不思議な駄菓子屋がありました。そこで売るのは、どんな願いもかなえる駄菓子。それは幸せを呼ぶのか、はたまた不幸を招くのか……。

よどみ(上白石萌音)

画像2: 映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』

謎の駄菓子屋「たたりめ堂」の店主。“人々の悪意”を集めて作った駄菓子を、自身の店「たたりめ堂」で売り、客から吸い取った悪意をエネルギーにしている。。

映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』
2024年12月13日(金)公開
日本/2024年/東宝配給
監督:中田秀夫 脚本:吉田玲子
原作:「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ  廣嶋玲子・作/jyajya・絵(偕成社刊)
出演:天海祐希、大橋和也、伊原六花、平澤宏々路、伊礼姫奈、白山乃愛、番家天嵩、今濱夕輝乃、山本未來、渡邊圭祐、田中里衣、じろう(シソンヌ)、上白石萌音

©2024 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会

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