後半は『胸騒ぎ』と違う怖さ!『スピーク・ノー・イーブル』
今回は別のページに2025年のアメコミ事情について書いたので、それ以外のトピックス(特に年末年始の話題作)についてお書きします。まずは12月13日(金)から公開中のブラムハウス×ジェームズ・マカヴォイの映画『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』。今年日本でも公開された北欧のホラー映画『胸騒ぎ』のハリウッド・リメイクです。旅先で出会った家族に「今度の休暇、うちに泊まりにおいでよ」と誘われ遊びに行く。しかしその家族は…というスリラーです。
このオリジナル版『胸騒ぎ』は本当によくできていて、ラストも後味が悪いというかぞっとする。それ以上に、主人公たちが逃げられるチャンスがいくつもあるのに無駄にする。それで観ている方もイライラしてくるので、すごく身に染みて怖い作品なのです。この家族の家に泊まるんだったら、湖でジェイソンに追っかけられる方がまだましです(笑)。なので『胸騒ぎ』は今年のベストホラーの1つ。これをブラムハウスがどうリメイクするか、お手並み拝見でした。
まず驚いたのは前半2/3ぐらいまではオリジナルの忠実なリメイク。同じ舞台を違う役者で観ているぐらい同じです。しかし後半の展開が『ゴジラ-1.0』が『ゴジラxコング 新たなる帝国』になるぐらいにテイストが変わります。しかもこれはこれですごく面白いのです。オリジナル版『胸騒ぎ』が好きな人が本作をどう判断するか興味がありますが、『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』だけ観ても十分楽しめるでしょう。そしてマカヴォイが『スプリット』以来の怪演を見せます。
ブラムハウスの狼男映画が全米公開!
ブラムハウスは年明けに狼男映画『ウルフマン(原題)』が控えています。予告や関係者のインタビュー読む限り、自分の父親が狼男になっていく恐怖が描かれるようです。ブラムハウスお得意の家族ドラマ×ホラーですね。肝心の狼男のデザインがまだ発表しておらず、狼男好きとしてはそこが気になります。世間的な評価は別としてベニチオ・デル・トロ出演の2010年の『ウルフマン』は自分にとってベスト1狼男映画。その衝撃を超えてくれるでしょうか?
サンディエゴでも大熱狂!『カルキ 2898-AD』遂に上陸
年明けには派手なインド映画、『カルキ 2898-AD』が公開。この作品について思い出があります。2023年のサンディエゴ・コミコン。この時、ハリウッドの脚本家・俳優のストライキの最中で、いわゆるマーベルやDC映画の大発表が行われませんでした。ファンはがっかり。しかし!それを救ってくれたのが、この『カルキ 2898-AD』だったのです!本作はもちろんインド映画だからハリウッドのストライキの影響は受けない。さらに『RRR』がアメリカでも大人気だったのでインドの、この超大作映画がサンディエゴ・コミコンに来るということで一気に会場のテンションはあがりました。この時は『カルキ 2898-AD』というタイトルが伏せられ“PROJECT-K”と呼称されていました。会場中に“UNVEILING INDIA’S BIGGEST CINEMATIC UNIVERSE. WHAT IS PROJECT-K”(インド映画史上、最大のシネマティック・ユニバースがついに解禁。プロジェクトKとはなにか)とに告知され、期待は高まるばかり。筆者は幸運にもその場に参加することが出来ましたが、プラバースが登壇したときの会場の大拍手のすごかったこと。あれから1年半。ついに『カルキ 2898-AD』を観ることが出来ました。
本作はインドの神話がベースのアクション映画ですが、SFエピック映画として面白い。SF映画と言うのは世界観作りが大事です。本作では多くの戦争を経て文明が崩壊しその後できたデストピアが舞台の1つになっており、そこに「スター・ウォーズ」シリーズや『ブレードランナー』『アリータ:バトル・エンジェル』を思わせるような街並みやガジェット&ビークルが沢山つめこまれていて楽しい。本作はインド神話とSFの融合ですが、マーベルの「マイティ・ソー」映画シリーズがまさに北欧神話とSFの融合を試みています。プラバース演じる主人公はまさにマイティ・ソー×アクアマン×バーフバリ。来年の初もうでは映画館でインドの神様に会うのはいかがでしょうか?