(文・奥村百恵/写真・久保田司/ヘアメイク・秋月庸佑/スタイリスト・渡邊奈央(Creative GUILD)/デジタル編集・スクリーン編集部)

中島健人 プロフィール
1994年3月13日生まれ。東京都出身。2011年、Sexy ZoneとしてCDデビューを果たし、俳優としてもさまざまな作品で活躍中。近年の主な出演作はドラマ「シッコウ!!〜犬と私と執行官〜」(23)、「リビングの松永さん」(24)、「しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜」(24)、「コンコルディア/Concordia」(24)、Netflix映画『桜のような僕の恋人』(22)、映画『ラーゲリより愛を込めて』(22)、『おまえの罪を自白しろ』(23)。また、レギュラー番組にWOWOWの「中島健人映画の旅人」(毎月1日先行配信開始、第2日曜日午前0:00放送)がある。
──初タッグを組まれた三木孝浩監督の作品は以前からよくご覧になっていたそうですね。
「『陽だまりの彼女』や『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、『きみの瞳が問いかけている』など、三木さんが撮った恋愛映画がすごく好きで憧れの監督でもあったので、今回主演として声をかけていただけたのは光栄でした。それと同時に、“本作は自分にとって挑戦になる”と感じたので、全力でこの作品と向き合っていこうと、そんな思いを持ちながら準備をしていきました」
──miletさん演じる前園ミナミと結婚する世界では人気作家、そしてミナミと出会っていない世界では編集部員のリクを演じるにあたりどのような役作りをしましたか。
「過去にカメラマンの役を演じた時は、カメラマンのアシスタントとして働いたこともありましたし、いつもは徹底的に役作りをして準備していたのですが、本作に関してはそこまで作り込む必要はないと判断しました。なぜなら、三木監督から『あんまり考えなくていいからね』と言われていたのと、あまりにも作り込んでしまうと自分がどんなお芝居をするのか予測できてしまうと思ったからです。なので“カメラの前では自分のナチュラルな部分をさらけ出して、なるべく嘘をつかずにいること”を大事に演じるようにしていました」
──今回は泣くシーンも多かったですし、割と喜怒哀楽を表に出すような、感情表現豊かなお芝居をされていると感じました。
「これまで何作か映画に出演してきましたが、今回ほど心の機微を表現する役は初めてなんじゃないか、そんな風に感じて最初はプレッシャーでした。リクをしっかりと演じることができなければ自信を喪失するかもしれないという不安があったので、全身全霊でこの作品と向き合っていきましたね。いざ撮影が始まったら監督をはじめスタッフのみなさんや共演者の方々がいろいろとサポートしてくださって、泣くシーンも自然に演じることができたので、本当にありがたかったです」

──miletさんと初めてお会いになられたのは音楽番組の時だと伺いました。
「そうですね。miletさんと初めて音楽番組でご一緒したのは、2019年に『ミュージックステーション』のクリスマススペシャルに出演した時だったと思います。その時miletさんは真っ黒の衣装を着て屋外ステージでパフォーマンスされていて、“ザ・歌姫”というオーラを纏ってらっしゃったのを覚えています。それ以来、音楽番組でご一緒すると必ず挨拶を交わすようになったのですが、彼女の『おはようございます』がなぜか『Hello!』に聴こえて、外国人のようなノリだなと勝手に思っていました(笑)」
──映画で共演すると知った時はどう思われましたか?
「最初に聞いた時はmiletさんがミナミを演じるイメージが全く想像できなくて、“どんなお芝居をされるんだろう?”とワクワクしました。いざ現場に入ってみたら、長台詞も間違えないし話し方も雰囲気も完全にミナミになっていたので驚いて、それと同時にやはりプロフェッショナルな方なんだなと感じました。冒頭でリクとミナミが出会ってから結婚するまで、そしてリクがベストセラー作家になるまでがダイジェスト映像のように流れますが、その中でミナミがギターを、リクがパソコンを持って背中合わせになっているシーンは初日に撮っているんです」
──撮影初日とは思えないぐらいリクとミナミの素敵な関係性が伝わる場面でした。
「ありがとうございます。クランクインまでに入念に読み合わせをしたり、スタッフさんも含めてみんなで一度食事に行ったりしてmiletさんと会話をする機会をたくさん作っていただいたのが大きかったと思います。あと、シンプルにお芝居のヘルツが近い方だったのでやりやすかったですね。ソロアーティストとしてステージに立ち続けてきた彼女のストイックさみたいなものを、芝居を通じて感じましたし、そんなmiletさんの姿を見て“自分も負けられない。化学反応を起こさないといけない”と、いい刺激を受けた現場でした」
※全文はSCREEN2025年4月号に掲載
映画『知らないカノジョ』

「1番大切な人と出会わなかったら…」という“もしも”を描いたファンタジック・ラブストーリー。ある日突然、妻・ミナミと出会っていなかった世界線で生きることになった夫・リクが、困惑しながらも人生の全てを取り戻すため、奔走する姿を描いた本作。日本で2021年に公開されたフランス映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)を日本風にリメイク。三木孝浩が監督を務め、主演を中島健人、ヒロインをmiletが務めた。
他キャストに、リクの大学時代からの親友・梶原恵介を桐谷健太、ミナミの祖母・前園和江を風吹ジュン、もう一つの世界のミナミの音楽プロデューサーであり恋人・田所哲斗を眞島秀和、新人作家・金子ルミを中村ゆりか、リクが働く編集部の編集長・春日研一を八嶋智人が演じる。

神林リク(中島健人)
大学時代から小説家を目指し、ベストセラー作家として成功。ところがある朝目覚めると世界が一変しており、大切な人を取り戻そうと奔走する。
映画『知らないカノジョ』
2025年2月28日(金)公開
日本/2025年/配給:ギャガ
監督:三木孝浩
出演:中島健人、milet、桐谷健太、中村ゆりか、八嶋智人、円井わん、眞島秀和、風吹ジュン
©2025『知らないカノジョ』製作委員会