現代にも通じるテーマを描く感動の物語
ニコライ・アーセル監督と“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンのタッグは第62回ベルリン国際映画祭でふたつの銀熊賞に輝いた、18世紀デンマーク王宮を舞台にしたラブストーリー『ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮』（12）に続き、二度目となる。ふたりが描くのは、時を同じくしたデンマーク開拓史の裏に隠された、ある愛の物語である。
原作は、デンマーク出身の作家イダ・ジェッセンによる史実に基づく歴史小説「The Captain and Ann Barbara（英題）」。発売前に読んだアーセル監督が感銘を受け、マッツに声をかけたことで本作の企画が動き出す。そして、『悪党に粛清を』（14）、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』（20）など、これまで多くのマッツ出演作に携わってきたアナス・トマス・イェンセンも脚本に加わり、壮大で美しい一大叙事詩を見事映画化。アカデミー賞Ⓡ国際長編映画賞デンマーク代表に選出、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されるなど、北欧のみならず世界で高く評価された。
日本でも劇場には20代～シニアまで、マッツファンや映画ファンなど幅広い客層が来場し、都心部では満席回も見られる盛況ぶり。SNSには「今年ベスト級の傑作」「今年、スクリーン初泣き」「涙が止まらない」「マッツに愛を耕された」「観終えると邦題が沁みる」といった満足度の高い口コミが多数上がっている。レビューサイトFilmarksの初日満足度ランキングでは1位を獲得。その後も公開前から引き続き4.0の高評価をキープしている（2/28現在）。
この度、本作の撮影裏を写した貴重なメイキング写真が4点解禁に。ニコライ・アーセル監督の指示に耳を傾ける主演マッツ・ミケルセンの姿などが切り取られている。
本作は、アーセル監督が原作小説に感銘を受けたところから企画が始まっている。それには、物語に惹かれたことはもちろんのこと、実はもうひとつ理由があったという。アーセル監督は、「ちょうど同じ頃、わが子が生まれ、人生で初めて人の親になったところだったんです。子どもを持つことは、僕に大きな変化をもたらしてくれました。この物語の主人公ケーレン大尉は、野心に燃え、成功することにすべての努力を捧げていましたが、そのうち、人生、愛というものを発見していきます。一番大切なのは何なのかを。僕は、個人的にその部分にとても共感したのです」と明かす。
そして、そんな心に刺さった1本を委ねる主演俳優は、かつて『ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮』でタッグを組んだマッツ・ミケルセンしか考えられなかったと言い、すぐさま彼に電話したそう。マッツは、「彼は電話で「じゃがいもを育てる男の話だ」と言いました。その後が続かないので、僕は「それだけ？」と聞きました（笑）。でもそれは僕が10年待ち望んできたものでした。彼はあの原作を素晴らしい形で脚色してくれたと思います。通常、歴史ものの作品は硬くなりがちですが、監督は現代にも通じる生き生きとした物語を伝える、魔法のような力を持っているんです」と当時を振り返り、盟友を称する。
称号という名誉のためにまわりを顧みず孤独に生きる男が、荒野の開拓という目的を果たす最中で出逢う女性や少女たちの存在で、人生にとって本当に大切なものを見つめ直していく――
18世紀のデンマークを舞台にしているが、そのテーマは現代に生きる我々にも深く共鳴するはずだ。
<STORY>
舞台は18世紀デンマーク。退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を懸け、ひとり荒野の開拓に名乗りを上げる。しかし、それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルが、ありとあらゆる手段でケーレンを追い払おうと躍起になる。襲い掛かる自然の脅威とデ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながら、彼のもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの頑なに閉ざした心に変化が芽生えてゆく…。
『愛を耕すひと』
新宿ピカデリーほか全国公開中
監督：ニコライ・アーセル
脚本：アナス・トマス・イェンセン、ニコライ・アーセル
原作：イダ・ジェッセン「The Captain and Ann Barbara（英題）」
出演：マッツ・ミケルセン、アマンダ・コリン、シモン・ベンネビヤーグ
原題：Bastarden｜2023年｜デンマーク、スウェーデン、ドイツ｜字幕翻訳：吉川美奈子｜127分｜G
配給：スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ
後援：デンマーク王国大使館
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